「孫が来るのは嬉しいけれど、どう接していいかわからない」「昔と違って、今の子どもたちの考えていることがよくわからない」そんな風に感じていらっしゃる方、実はとても多いんです。
私自身、多くのシニアの方々とお話しする機会がありますが、孫との関係に少なからず戸惑いを感じている方が本当に多くいらっしゃいます。でも大丈夫です。少しのコツと、たくさんの愛情があれば、孫との素敵な関係は必ず築けます。今日は、そのヒントを一緒に考えていきましょう。
昔の祖父母と今の祖父母、何が違うのか
まず理解しておきたいのは、私たちが子育てをしていた時代と、今の時代では環境が大きく変わっているということです。これは決して悪いことではなく、ただ「違う」というだけなんですね。
昔は三世代同居が当たり前で、祖父母と孫は毎日顔を合わせていました。自然と関係が深まり、特別に何かを意識しなくても絆が育まれていきました。でも今は核家族が中心で、孫に会えるのは月に一度、あるいは年に数回という方も珍しくありません。
加えて、子育ての方法も随分変わりました。私たちの時代には当たり前だったことが、今では「それはちょっと」と言われることもあります。例えば、「赤ちゃんには母乳が一番」と思って言ったことが、実は娘さんやお嫁さんを追い詰めてしまうこともあるんです。
でもね、変わらないものもあります。それは、孫を思う気持ち、愛おしいと感じる心です。その気持ちさえあれば、時代が変わっても、距離があっても、必ず孫との良い関係は築けるんですよ。
孫との距離を縮める、たった一つの大切なこと
実は、孫と良い関係を築くために最も大切なのは、「孫の世界に興味を持つこと」なんです。これだけで、驚くほど関係が変わります。
65歳の男性の例をご紹介しましょう。この方は、8歳の孫息子がゲームばかりしていることが気になって仕方ありませんでした。「外で遊びなさい」と何度も言っていたそうです。でも孫は全然聞いてくれず、会うたびに気まずい雰囲気に。
ある日、思い切って「そのゲーム、面白いのかい?おじいちゃんにも教えてくれないか」と声をかけたそうです。最初、孫は驚いた顔をしましたが、すぐに目を輝かせて説明を始めました。「ここでこうするとね、敵をやっつけられるんだよ」「このキャラクターは強いんだ」と、嬉しそうに話す孫の姿を見て、この祖父は気づいたそうです。「ああ、この子は誰かに自分の好きなことを聞いてほしかったんだな」と。
それからというもの、孫が来るたびに「最近はどんなゲームをやってるの?」と聞くようになりました。すると不思議なことに、孫の方から「おじいちゃん、今度一緒に公園行こうよ」と誘ってくるようになったそうです。自分の世界を認めてもらえたことで、孫の心が開いたんですね。
年齢別、孫との関わり方のヒント
孫の年齢によって、喜ばれる関わり方は変わってきます。それぞれの時期に合わせた接し方を知っておくと、より良い関係が築けますよ。
乳幼児期、0歳から3歳くらいまでの孫には、とにかく「安全な場所」であることが大切です。この時期の子どもは、親以外の大人に対して人見知りをすることも多いもの。無理に抱っこしようとせず、まずは優しく見守ることから始めましょう。
「いないいないばあ」のような簡単な遊びを繰り返すだけで、孫はあなたを「楽しい人」として認識してくれます。そして何より、この時期は親、つまりあなたの息子さんや娘さんのサポートが重要です。「ちょっと休憩してきなさい」と声をかけて、親に息抜きの時間をあげることが、結果的に孫との関係も良くしてくれるんです。
幼稚園から小学校低学年、4歳から8歳くらいの孫は、好奇心の塊です。この時期は「一緒に発見する」ことを楽しみましょう。公園に行って「あ、てんとう虫がいるよ」「この花、きれいだね」と、小さな発見を共有するだけで、孫の心に深く残ります。
70歳の女性が、6歳の孫娘と一緒にベランダで朝顔を育て始めたそうです。毎日「大きくなったかな」と観察し、花が咲いた日には二人で大喜び。孫娘は今でも、その時のことを「おばあちゃんと育てた特別な朝顔」として覚えているそうです。特別なことをしなくても、一緒に何かを見守り、育てるという経験が、深い絆を作るんですね。
小学校高学年から中学生、9歳から15歳くらいになると、孫は自分の世界を持ち始めます。親には言えないことも、祖父母になら話せることもあるんです。この時期は「聞き上手」になることが何より大切。
「学校どう?」「友達とは仲良くやってる?」と質問攻めにするのではなく、「何か困ったことがあったら、いつでもおばあちゃんに話してね」と、ドアを開けておくイメージです。実際に悩みを打ち明けてくれた時も、すぐにアドバイスするのではなく、まずは「そうだったんだね」「それは辛かったね」と気持ちを受け止めることから始めましょう。
高校生以上になると、孫はもう立派な若者です。この時期は「一人の大人として尊重する」姿勢が大切になります。進路のことや将来のことについて、自分の経験を押し付けるのではなく、「おじいちゃんの時代はこうだったけど、今は違うんだろうね。あなたはどう思ってるの?」と、対等な立場で会話することを心がけましょう。
よくある失敗と、その乗り越え方
孫との関係づくりで、誰もが一度は経験する失敗があります。でも大丈夫、失敗は次につながるチャンスなんです。
一番多いのが「良かれと思ってしたことが、裏目に出る」というパターンです。例えば、孫が来るからと張り切ってご馳走を作ったのに、孫が「これ嫌い」と言って食べてくれなかった。あるいは、高価なおもちゃを買ってあげたのに、すぐに飽きてしまった。こんな経験、ありませんか?
68歳の男性は、孫の誕生日に高価なラジコンカーを買ってあげたそうです。自分が子どもの頃に欲しかったものを、孫に買ってあげたい。そんな純粋な気持ちからでした。でも孫は全然興味を示さず、別の部屋で絵を描き始めてしまいました。
この祖父は最初、とてもがっかりしたそうです。でもその後、孫が何に興味を持っているのかをよく観察することにしました。すると、孫は絵を描くことが大好きで、特に動物の絵ばかり描いていることに気づきました。次に会った時、祖父は動物の図鑑をプレゼントしました。孫は目を輝かせて、「おじいちゃん、この本すごい!」と大喜び。それからは、図鑑を見ながら二人で動物園に行く約束をするようになり、関係がぐっと深まったそうです。
失敗から学んだことは、「自分の価値観を押し付けない」ということ。孫が何を好きなのか、何に興味があるのかを、まず知ることが大切なんですね。
もう一つよくあるのが、「息子や娘との関係が悪化してしまう」というパターンです。孫可愛さのあまり、甘やかしすぎたり、親が決めたルールを破ってしまったりすると、親との間に溝ができてしまいます。
「うちでは甘いものは食事の後だけって決めてるんです」と娘さんが言っているのに、「少しくらいいいじゃないの」とお菓子をあげてしまう。こういった小さなことの積み重ねが、実は大きな問題になることもあるんです。
大切なのは、親の方針を尊重することです。自分の子育てとは違うやり方でも、それは今の時代の、そして息子さんや娘さんなりの考え方があってのこと。「私たちの時代とは違うけど、それでいいんだ」と受け入れる柔軟さが必要なんですね。
もし親の方針に疑問を感じることがあっても、孫の前で批判するのは避けましょう。どうしても気になることがあれば、孫がいないところで、「こういう考えもあるけど、どう思う?」と穏やかに相談してみるのがいいでしょう。
デジタル時代の新しいコミュニケーション
今の時代、孫とのコミュニケーションの方法も変わってきています。遠く離れて暮らしていても、テレビ電話で顔を見ながら話せる時代です。これを活用しない手はありません。
72歳の女性は、最初スマートフォンに苦手意識がありました。でも娘さんに教えてもらいながら、少しずつビデオ通話の使い方を覚えたそうです。今では毎週日曜日の夜、孫とビデオ通話をするのが楽しみになっています。
「今日は学校で何をしたの?」「ピアノの練習、見せてくれる?」と、画面越しに孫の成長を見守っています。直接会える回数は少なくても、こうして頻繁に顔を見て話すことで、孫との距離は近いまま保てるんですね。
最初は難しく感じるかもしれません。でも孫のためだと思えば、新しいことに挑戦する気持ちも湧いてきませんか?娘さんや息子さんに「教えて」と素直に頼めば、喜んで手伝ってくれるはずです。そうやって教えてもらう過程も、実は親子のコミュニケーションを深める良い機会になるんですよ。
ちょっと面白い話
ここで少し脱線しますが、面白いエピソードをご紹介しましょう。
ある75歳の男性が、10歳の孫に「おじいちゃん、YouTuberって知ってる?」と聞かれたそうです。この祖父は正直に「知らない」と答えました。すると孫が「じゃあ教えてあげる!」と大興奮。
孫はタブレットを取り出して、いろいろな動画を見せてくれました。ゲーム実況、料理動画、工作動画。祖父は最初、「何がそんなに面白いんだろう」と思っていたそうです。でも孫が嬉しそうに説明してくれる姿を見ているうちに、だんだん自分も楽しくなってきました。
そして数ヶ月後、なんとこの祖父、孫と一緒に「おじいちゃんと孫の工作チャンネル」を始めてしまったそうです。木工が得意な祖父と、絵を描くのが好きな孫が、一緒にいろいろなものを作る様子を動画にしています。
最初は家族しか見ていなかった動画が、今では数千人の人に見られるようになり、同じように孫との時間を大切にしたいシニアの方々から、たくさんのコメントが届くようになったそうです。「知らない」と正直に言ったことから、こんな素敵な展開が生まれたんですね。
心に残る思い出の作り方
孫との時間で大切なのは、「特別な何か」ではなく、「一緒に過ごす時間そのもの」です。豪華な場所に連れて行くよりも、家で一緒にクッキーを焼く。高価なプレゼントよりも、手作りの折り紙。そういった何気ない時間が、実は孫の心に深く残るんです。
67歳の女性が、5歳の孫娘と一緒にカレーライスを作った時のことです。孫娘は小さな手で一生懸命ニンジンを型抜きしていました。形はいびつで、大きさもバラバラ。でも祖母は「上手にできたね」「可愛い形だね」と褒めながら、一緒に鍋に入れました。
出来上がったカレーを食べながら、孫娘は「おばあちゃん、これ私が切ったんだよね」と誇らしげに言いました。その時の嬉しそうな顔が、今でも祖母の宝物だそうです。
それから10年後、孫娘は15歳になりました。反抗期で親とはよくぶつかるようになりましたが、祖母とは今でも仲良しです。先日、孫娘がこう言ったそうです。「おばあちゃんと作ったカレー、覚えてる。あの時、すごく楽しかった。今度は私がおばあちゃんにカレー作ってあげるね」
一緒に料理をした時間。その何気ない時間が、10年経っても孫の心に残っていたんですね。
これからの関係づくりのために
孫との関係は、一朝一夕に築けるものではありません。焦らず、ゆっくりと、でも確実に歩んでいけばいいんです。
大切なのは、孫の成長を見守り、必要な時にそばにいること。いつも一緒にいなくてもいいんです。でも「困った時には、おじいちゃん、おばあちゃんがいる」と孫が感じられれば、それが何よりの絆になります。
孫が赤ちゃんの時から知っている私たちだからこそ、親とは違う視点で孫を見守ることができます。親は日々の子育てに必死で、目の前のことに精一杯です。でも祖父母である私たちは、少し距離を置いて、長い目で孫の成長を見ることができるんです。
時には、孫が失敗した時に「大丈夫だよ」と包み込んであげられる存在になれます。親に叱られて落ち込んでいる時に、そっと味方になってあげられる存在になれます。そういう「安心できる場所」であることが、祖父母の大きな役割なのかもしれません。
もちろん、思うようにいかないこともあるでしょう。孫が素っ気ない態度を取ることもあるかもしれません。でもそれは、成長の証なんです。子どもは成長する過程で、いろいろな感情を経験します。反抗したり、距離を置きたがったりするのも、その一つ。
そんな時も、無理に距離を縮めようとせず、「いつでも待ってるよ」という姿勢でいることが大切です。必ず、孫が自分から近づいてくる日が来ます。