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60代からの人間関係:癒着を解いて自分らしく生きる方法

人生の折り返し地点を過ぎて、ふと「自分の人生、これで良かったのかな」と感じることはありませんか。長年連れ添った夫婦の関係、成人した子供たちとの距離感、気がつけば相手に合わせてばかりの日々。もしかしたら、それは「癒着」という状態にあるのかもしれません。

癒着という言葉を聞くと、医療用語のように感じるかもしれませんね。実際、お医者さんの世界では手術後に臓器同士がくっついてしまう現象を指します。でも人間関係でも同じように、二人の境界線があいまいになって、お互いに息苦しさを感じる状態を「癒着」と呼ぶんです。

今日は、この人間関係における癒着について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。特に私たちシニア世代は、長い人生の中で様々な関係を築いてきました。その中には、知らず知らずのうちに癒着的になってしまった関係もあるかもしれません。でも大丈夫です。気づいたときが変わるチャンスなのですから。

癒着とは何か、シニアの視点から

人間関係における癒着とは、簡単に言えば「健全な距離感を失って、過度に依存し合っている状態」のことです。相手がいないと不安で仕方がない、相手の機嫌が自分の気分を左右する、相手のために自分を犠牲にし続けている…こんな状態が続いているなら、それは癒着かもしれません。

私たちの世代は「家族のために尽くす」「夫を立てる」「子供のために我慢する」という価値観の中で育ってきました。それ自体は素晴らしいことですし、そうやって家庭を守ってきた皆さんの努力は本当に尊いものです。

でも、尽くすことと自分を失うことは違います。相手を大切にすることと、自分を犠牲にすることも違うんです。この境界線があいまいになってしまうと、人間関係は癒着的になり、お互いに息苦しさを感じるようになってしまいます。

定年後の夫婦関係に見る癒着

特に私たちシニア世代で多いのが、定年後の夫婦関係における癒着です。現役時代は仕事で忙しく、家にいる時間が少なかった夫が、定年を機に一日中家にいるようになる。すると妻は「私の時間がなくなった」「息が詰まる」と感じ始めます。

ある68歳の女性の話です。ご主人が定年退職してから、朝から晩まで「お茶」「昼ごはん」「あれはどこ」と呼ばれる日々。最初は「やっと二人の時間が持てる」と喜んでいましたが、数ヶ月もすると「自分の時間が全くない」と気づきました。

趣味の編み物をしていても「また編み物か」と言われ、友人とのランチに出かけようとすると「俺の昼ごはんはどうするんだ」と不機嫌な顔をされる。彼女は次第に「私は夫のお世話係なのだろうか」と悩むようになりました。夜も眠れないほど悩んだ末、思い切って夫に「二人で少し距離を持ちませんか」と提案したそうです。

最初は夫も戸惑っていましたが、話し合いを重ねるうちに、お互いに依存しすぎていたことに気づきました。夫は妻に頼りすぎて自分で何もできなくなっていた。妻は夫の世話をすることが自分の役割だと思い込んでいた。二人とも、相手がいないと生活できない状態になっていたんです。

その後、夫は地域のボランティア活動に参加するようになり、妻は週に2回、友人とのサークル活動を始めました。お互いに自分の時間を持つようになると、不思議なことに会話も増え、「今日こんなことがあったよ」と報告し合う楽しみができたそうです。

心理学から見る癒着の仕組み

心理学では、癒着を「境界線の欠如」と説明します。つまり、自分と相手の感情や責任を区別できなくなっている状態です。相手が不機嫌だと自分のせいだと思ってしまう、相手が悲しんでいると自分も同じように悲しくなってしまう。これは共感力とは違います。共感は相手の気持ちを理解すること。癒着は相手の気持ちと自分の気持ちを区別できなくなることなんです。

家族心理学では「母子癒着」という言葉がよく使われます。母親が子供から離れられず、子供も母親に依存し続ける状態です。でもこれは母子だけの問題ではありません。夫婦でも、親子でも、友人同士でも起こりうることなんです。

特に私たち日本人は「一心同体」「二人三脚」という言葉を美しいものとして受け止めてきました。夫婦は一つ、家族は一つ。確かに素敵な価値観です。でも行き過ぎると、個人の尊厳や自由が失われてしまいます。一心同体と癒着は紙一重なんですね。

成人した子供との関係における癒着

もう一つ、シニア世代に多いのが成人した子供との癒着です。特にお母さん方に多いのですが、子供が大人になっても「心配で心配で仕方がない」という方がいらっしゃいます。

60代後半の女性は、40歳になる息子のことが心配で、毎日のように電話をかけていました。「ちゃんと食べてる?」「仕事は大丈夫?」「風邪ひいてない?」。息子さんも最初は優しく応対していましたが、次第に電話に出なくなり、連絡が取れない日が続くようになりました。

彼女は不安で眠れなくなり、息子の家まで様子を見に行ったこともありました。すると息子から「もう勘弁してよ、僕は子供じゃないんだから」と怒られてしまったそうです。彼女は泣きながら「心配してるだけなのに」と訴えましたが、息子は「その心配が重いんだよ」と言いました。

この言葉にショックを受けた彼女でしたが、同時にハッとしたそうです。「私は息子のためと思ってやっていたけれど、実は自分が安心したかっただけなのかもしれない」と。子供の心配をすることで、自分の存在意義を確認していたのかもしれない、と気づいたんです。

それから彼女は意識的に息子への連絡を控え、代わりに地域の読書サークルに参加するようになりました。同年代の仲間ができて、話す相手が増えると、息子のことを考える時間が自然と減っていきました。そして不思議なことに、こちらが連絡を控えると、息子の方から「元気?」とメッセージが来るようになったそうです。

脳科学が教えてくれる依存の仕組み

ここで少し科学的なお話をさせてください。癒着的な関係がなぜ心地よく感じられるのか、それは脳の働きと関係しています。人と親密な関係を持つと、脳内ではドーパミンという快楽物質と、オキシトシンという愛情ホルモンが分泌されます。

特にオキシトシンは「抱擁ホルモン」とも呼ばれ、人との絆を深める働きがあります。孫を抱っこしたときに感じる幸せな気持ち、あれもオキシトシンの働きなんです。この物質は素晴らしいものですが、過剰になると依存を生み出してしまいます。

相手といると安心する、相手がいないと不安になる。これは脳が「この人といるとオキシトシンが出て気持ちいい」と学習してしまった結果なんです。まるで癖のようなもの。でも癖は意識すれば変えられます。

ちょっと面白い話をしましょう。江戸時代の夫婦関係って、今とはずいぶん違っていたそうなんです。武家社会では、夫婦は互いに一定の距離を保つことが美徳とされていました。「親しき仲にも礼儀あり」という言葉がありますが、夫婦間でも敬語を使い、お互いの領域を尊重していたといいます。

現代の私たちは「夫婦は何でも共有すべき」「隠し事をしてはいけない」と考えがちですが、実は適度な距離感を持つことの方が、長続きする関係を築けるのかもしれません。昔の人の知恵には、学ぶべきことがたくさんありますね。

癒着のサインを見逃さない

では、自分が癒着的な関係にあるかどうか、どうやって気づけばいいのでしょうか。いくつかのサインがあります。

まず一つ目は「相手がいないと不安で仕方がない」という感覚です。夫が友人とゴルフに行くと言っただけで不安になる、子供から連絡がないと心配で何も手につかない。こういった状態は要注意です。

二つ目は「相手の機嫌に自分の気分が左右される」こと。夫の機嫌が悪いと自分まで落ち込んでしまう、子供が悩んでいると自分も眠れなくなる。これは共感を超えて、相手と自分の境界線が曖昧になっている証拠です。

三つ目は「自分の時間や趣味を諦めている」状態。「夫がいるから旅行には行けない」「孫の面倒を見なきゃいけないから習い事は無理」。こんな風に、自分のやりたいことを後回しにし続けていませんか。

四つ目は「相手をコントロールしようとしている」こと。「あなたのため」と言いながら、実は自分の不安を解消するために相手の行動を制限していないでしょうか。

70代の男性から聞いた話です。彼は妻が友人と旅行に行くことに反対していました。「俺の世話はどうするんだ」「二泊三日も家を空けるなんて」と。でも娘さんから「お父さん、それってお母さんを縛ってるよ」と指摘されて、ハッとしたそうです。

彼は妻が自分から離れることが怖かった。一人になることが不安だった。でもそれは妻への愛情ではなく、自分の不安だったんだと気づきました。その後、妻を送り出すことを決意。妻が旅行から帰ってくると、お土産話を楽しそうに語る姿が新鮮で、「こんなに生き生きとした表情を久しぶりに見た」と感じたそうです。

スピリチュアルな視点から見る癒着

ここで少しスピリチュアルなお話もさせていただきますね。「そういうのは信じない」という方もいらっしゃるでしょうが、一つの考え方として聞いてください。

スピリチュアルの世界では、癒着は「魂の課題」だと考えられています。人は生まれる前に「この人生で何を学ぶか」を決めてくるといいます。そして癒着的な関係に陥るのは「自分を愛すること」「自立すること」を学ぶためだというんです。

考えてみれば、私たちシニア世代は「自分より他人を優先する」ことを美徳として育てられてきました。特に女性は「良妻賢母」を目指し、自分のことは後回しにしてきた方が多いですよね。

でも人生の後半戦に入った今、「自分を大切にすること」を学ぶ時期が来ているのかもしれません。相手に依存せず、相手をコントロールせず、でもお互いを大切にする。そんな成熟した関係を築くことが、この年齢での課題なのかもしれないですね。

65歳の女性は、長年の夫婦関係で苦しんでいました。夫は昔ながらの亭主関白で、彼女は常に夫の顔色をうかがう日々。でもある時、娘さんに勧められて瞑想を始めました。

最初は「こんなことして何になるの」と思っていましたが、毎朝10分間、静かに座って呼吸に集中する時間を持つようになると、不思議と心が落ち着いていきました。そして「私は私でいいんだ」という感覚が芽生えてきたそうです。

夫への接し方も変わりました。以前は夫の言葉に一喜一憂していましたが、「夫は夫、私は私」と思えるようになると、夫の不機嫌に巻き込まれなくなりました。すると夫も変わり始めたんです。妻が動じなくなると、夫も穏やかになっていきました。

癒着から抜け出すための実践的な方法

では具体的に、癒着的な関係をどうやって健全な関係に変えていけばいいのでしょうか。いくつかの方法をご紹介します。

まず一番大切なのは「自分の時間を持つこと」です。趣味でも習い事でも、ボランティアでも構いません。週に一度でもいいので、自分だけの時間を作ってください。最初は罪悪感を感じるかもしれません。「夫を置いて出かけるなんて」「家事が残っているのに」と。でもそれこそが癒着の証拠なんです。

自分の時間を持つことは、わがままでも自己中心的でもありません。自分を大切にすることは、結果的に周りの人も大切にすることにつながります。自分が満たされていれば、相手にも優しくなれるんです。

次に「相手の責任を肩代わりしない」こと。成人した子供の問題、配偶者の機嫌、これらは本来、相手自身が対処すべきことです。もちろん相談に乗ったり、助言したりすることは大切です。でも代わりに解決してあげることは、相手の成長を妨げることになります。

72歳の男性は、娘夫婦の金銭トラブルにいつも巻き込まれていました。お金を貸しては返ってこない、でも頼まれると断れない。そんな繰り返しでした。ある時、友人に相談すると「それは娘さんのためにならないよ」と言われました。

勇気を出して娘に「もう援助はできない」と伝えると、最初は娘も困った顔をしましたが、その後、夫婦で家計を見直して自力で立て直したそうです。「あの時、突き放してくれてありがとう」と後から感謝されたそうです。

「感情を日記に書く」のも効果的です。相手に対する不満、自分の気持ち、なぜ苦しいのか。紙に書き出すことで、頭の中が整理されます。書いているうちに「あれ、これって私の思い込みかも」と気づくこともあります。

「相手と話し合う」ことも大切です。でもこれが一番難しいんですよね。長年連れ添った相手に、今さら「距離を持ちたい」なんて言いづらい。でも言わなければ、相手は気づきません。

話すときのコツは、相手を責めないこと。「あなたが悪い」ではなく「私はこう感じている」と伝えることです。「あなたが束縛する」ではなく「私はもっと自分の時間が欲しい」というように。

実際に癒着を乗り越えた人たちの声

ここで、実際に癒着的な関係を乗り越えた方々の体験をご紹介します。

69歳の女性は、夫との関係に長年悩んでいました。夫は何をするにも「お前も一緒に」と言い、彼女が一人で出かけようとすると不機嫌になる。彼女自身も「夫婦なんだから一緒にいるべき」と思い込んでいました。

でも娘の結婚式で久しぶりに会った学生時代の友人たちが、皆それぞれの趣味を楽しんでいる姿を見て、「私だけが取り残されている」と感じたそうです。それがきっかけで、夫に「週に一度、友人と会う時間が欲しい」と伝えました。

最初は夫も渋りましたが、妻が毎週友人と会うようになると、夫も自分の趣味を見つけ始めました。今では「お互いの時間を持つようになってから、会話が増えた」と笑顔で話してくれました。

別の例では、75歳の男性が息子夫婦との関係を見直しました。彼は毎週末、孫の面倒を見ることが当然だと思っていました。でもある日、体調を崩して断ったところ、息子から「無理しないで」と優しい言葉をかけられました。

そこで彼は気づいたんです。「息子は私に頼りすぎていた、そして私も孫といることで自分の存在価値を確認していた」と。それからは月に1、2回に減らし、代わりに夫婦で旅行に行く時間を作りました。孫とは会う回数が減りましたが、会ったときの喜びが増したそうです。

63歳の女性は、友人関係での癒着に気づきました。彼女には長年の親友がいて、何でも話し合う仲でした。でも次第に、友人の悩みを聞くことが負担になっていきました。友人の不幸が自分のことのように重く感じられ、夜も眠れなくなることがありました。

カウンセラーに相談したところ「それは共依存の状態」だと言われました。お互いに依存し合い、境界線がなくなっている。彼女は勇気を出して友人に「少し距離を置きたい」と伝えました。友人は最初、傷ついた様子でしたが、時間をかけて話し合い、今では健全な距離感を保つ関係になったそうです。

また別の67歳の男性は、妻との癒着を友人の言葉で気づきました。妻と二人で喫茶店にいると、隣のテーブルの高齢夫婦が「今日は別々に行動して、夕方ここで待ち合わせね」と話しているのを聞きました。

「夫婦なのに別行動?」と驚きましたが、よく考えると、自分たち夫婦は常に一緒で、お互いの領域がなくなっていました。それから夫婦でルールを作りました。「午前中は自由時間」「お互いの予定を尊重する」「週に一度は別々の活動をする」。このルールを作ってから、夫婦の会話が楽しくなったそうです。

これからの人生を自分らしく生きるために

人生100年時代と言われる今、60代はまだまだ若い世代です。これからの20年、30年を、どう生きていきたいですか。相手に合わせて生きるのではなく、自分らしく、でも相手も大切にする。そんなバランスの取れた関係を築いていきたいですよね。

癒着は決して悪いことではありません。それだけ相手を大切に思っているということです。でも大切にすることと、自分を失うことは違います。健全な距離感を保つことで、お互いをもっと尊重し合える関係になれるんです。

私たちの世代は「我慢すること」「相手を優先すること」を美徳として生きてきました。それは素晴らしいことです。でも人生の後半戦では「自分を大切にすること」も学んでいいんじゃないでしょうか。

自分の時間を持つこと、自分の感情を大切にすること、相手の問題と自分の問題を区別すること。これらは決してわがままではありません。むしろ成熟した大人の関係を築くために必要なことなんです。

もし今、誰かとの関係で息苦しさを感じているなら、それは変わるチャンスのサインかもしれません。一人で抱え込まず、信頼できる友人に相談したり、場合によってはカウンセラーの力を借りたりすることも大切です。

人生の残りの時間を、もっと自由に、もっと自分らしく生きていきましょう。相手を大切にしながらも、自分も大切にする。そんな素敵な関係を、今から築いていけたら素晴らしいですね。あなたの人生が、これからもっと輝きますように。心から応援しています。