好きな人がSNSのストーリーに反応してくれない。そんな小さなことで胸がざわざわして、夜、スマホを何度も確認してしまう。若い頃なら考えもしなかった悩みが、今、あなたの心を占めているかもしれませんね。
「こんな年齢になってSNSで一喜一憂するなんて」と自分を笑いたくなる気持ちもあるでしょう。でも大丈夫です。人を想う気持ちに年齢は関係ありません。むしろ、人生の酸いも甘いも知った今だからこそ、相手を思いやる気持ちも、傷つくことへの恐れも、若い頃より深く感じるのかもしれません。
今日は、そんなあなたの気持ちに寄り添いながら、SNS時代のシニア恋愛について、一緒に考えてみたいと思います。
私たちの世代にとって、SNSという道具はまだまだ新しいものです。メールすらなかった時代を知っている私たちが、今、スマホを手に、ストーリーを投稿し、誰かの反応を待っている。考えてみれば不思議なことですよね。
でも、道具は変わっても、人を想う気持ちは変わりません。昔、好きな人から電話がかかってこないかと受話器の前で待っていたあの気持ちと、今、SNSの通知を待つ気持ちは、本質的には同じなのではないでしょうか。
まず、お伝えしたいのは、「SNSのストーリーに反応がない」ことが、必ずしも「あなたに興味がない」という意味ではないということです。特に私たちの世代では、SNSの使い方は人によって大きく異なります。
ある方は、毎日のようにストーリーを投稿し、友人の投稿にもこまめに反応します。一方で、アカウントは持っているけれど、たまに見る程度という方も多いのです。特に男性の方に多いのですが、「SNSは情報収集の道具」と割り切っていて、コミュニケーションツールとしては使わない方もいらっしゃいます。
ある女性の話を聞いてください。彼女は六十代半ばで、地域のサークル活動で知り合った同年代の男性に心惹かれていました。勇気を出してインスタグラムで繋がり、週に二、三回、散歩の写真や、育てている花の写真をストーリーに投稿していました。でも、彼からの反応は一度もありません。
「やっぱり私に興味がないのかな」と諦めかけていたある日、サークルの集まりで彼と話す機会がありました。何気なく「インスタ、見てくれてますか?」と聞いてみたところ、彼は少し照れくさそうに「実は、あまり使い方がよくわからなくて」と答えたのです。
彼のスマホを見せてもらうと、確かに彼女のストーリーは閲覧されていました。でも、「反応する」という機能があることすら、彼は知らなかったのです。彼女は笑いながら、その場で反応の仕方を教えてあげました。その出来事をきっかけに、二人の距離は一気に縮まったそうです。
この話からわかるように、SNSに不慣れな世代にとって、「反応しない」理由は「興味がない」ではなく、「やり方がわからない」「そういう機能があると知らない」ということも多いのです。
では、具体的にどう対処すればいいのでしょうか。いくつかの方法を、実際の体験談とともにご紹介します。
まず大切なのは、相手のSNSの使い方を観察することです。ただし、これは監視するという意味ではありません。相手が他の人の投稿にどう反応しているか、どのくらいの頻度で投稿しているか、さりげなく確認してみてください。
もし相手が誰の投稿にもほとんど反応していないなら、それはあなたに対してだけではなく、SNS全般に対して控えめな姿勢なのかもしれません。逆に、他の人には反応しているのにあなたにだけ反応がないなら、少し考える必要があるかもしれません。
七十代の男性の体験談です。彼は妻を亡くして五年、子供たちの勧めでSNSを始めました。そこで、昔の同窓会で再会した女性と繋がることになりました。彼女は活発にストーリーを投稿していて、彼はいつも楽しみに見ていました。
でも、彼はどう反応していいかわからず、ただ見るだけでした。ある日、彼女から「私の投稿、見てくれてますか?」というメッセージが届き、彼は慌てて「いつも楽しみに見ています。でも反応の仕方がわからなくて」と正直に答えました。
彼女は笑って、電話で反応の仕方を教えてくれました。そして「SNSの反応より、こうして声が聞けることの方がずっと嬉しい」と言ってくれたそうです。それから二人は、SNSだけでなく、時々電話で話すようになり、今では週末に一緒にウォーキングを楽しむ関係になっています。
この話が教えてくれるのは、「直接的なコミュニケーションの大切さ」です。SNSのストーリーは便利な道具ですが、それだけに頼る必要はありません。むしろ、私たちの世代は、電話や対面での会話の方が得意だったりしますよね。
ストーリーに反応がなくても、「この前、ストーリーで見たお花、とても綺麗でしたね。どこで撮ったんですか?」と、次に会った時やメールで話題にしてみてください。相手は見ていてくれたことに喜び、会話が弾むかもしれません。
ところで、少し脱線しますが、面白い話をひとつ。ある趣味のサークルで、皆がSNSで繋がった時のことです。七十代の女性が、「いいね」ボタンのことを「賛成ボタン」と呼んでいて、「あなたの意見に賛成します」という意味で、全ての投稿に押していたそうです。周りの人は「この人、なんでもかんでも賛成してくれるんだな」と不思議に思っていたとか。後で誤解が解けて、皆で大笑いしたそうです。
SNSの機能は、私たちの世代にはまだまだ謎が多いもの。だからこそ、反応がないことを深刻に考えすぎる必要はないのかもしれません。
さて、次に考えたいのは「過度な期待を控える」ということです。これは年齢を重ねた私たちだからこそ、できることかもしれません。
若い頃は、好きな人の一挙手一投足に一喜一憂していました。電話がかかってこない、手紙が来ない、そんなことで涙を流した日もあったでしょう。でも今の私たちは、人それぞれのペースがあること、表現の仕方が違うことを、人生経験から学んでいます。
SNSの反応がなくても、相手があなたを大切に思っている可能性は十分にあります。むしろ、軽々しく反応するよりも、じっくりと考えて、直接会った時に言葉で伝えたいと思っているのかもしれません。
ある六十代後半の女性は、ダンス教室で知り合った男性に惹かれていました。彼女は週に一度、ダンスの様子や日常の風景をストーリーに投稿していましたが、彼からの反応は一度もありませんでした。
でも、ダンス教室で会うと、彼はいつも「今週もストーリー見ましたよ。楽しそうでしたね」と声をかけてくれるのです。彼女は最初、不思議に思いましたが、ある日、彼がこう言いました。「SNSで簡単にボタンを押すより、あなたに直接伝えたいんです。その方が、私の気持ちが伝わる気がして」
彼女の胸は、温かい気持ちでいっぱいになりました。若い頃なら、「回りくどい」と感じたかもしれません。でも今は、彼のその想いの深さが、とても愛おしく感じられたそうです。
また、自分のストーリーを工夫してみるのも一つの方法です。ただし、これは「相手の反応を無理に引き出す」ためではなく、「より豊かなコミュニケーションのきっかけを作る」ためです。
例えば、相手が興味を持っている話題や、共通の趣味に関する投稿をしてみてください。「このお寺の紅葉、見事でした。おすすめの紅葉スポットがあったら教えてください」と質問形式にすれば、相手も反応しやすくなります。
ある男性は、好きな女性が園芸好きだと知り、自分の庭の花の写真を定期的にストーリーに投稿し始めました。最初は反応がありませんでしたが、ある日、珍しい品種の花を投稿したところ、彼女から「これ、育てるの難しいですよね。どうやって育てたんですか?」とメッセージが来たそうです。
それをきっかけに、二人は園芸の話題で盛り上がり、「今度、一緒にガーデニングセンターに行きませんか」という誘いに繋がりました。彼は「ストーリーは、会話のきっかけ作りなんだと気づきました」と話していました。
もし、どうしても不安が募るなら、勇気を出して相手に聞いてみるのも一つです。ただし、責めるような口調ではなく、軽い感じで。「私のストーリー、見てくれてますか?反応がないから、ちゃんと見えてるのかなって心配になっちゃって」と、笑いながら聞いてみてください。
相手が「ごめんなさい、実はSNSが苦手で」と答えるかもしれませんし、「見てますよ、いつも楽しみにしてます」と言ってくれるかもしれません。どちらにしても、その会話から新しい関係が始まる可能性があります。
そして何より大切なのは、「自分のペースを大切にする」ことです。これは、人生の後半を生きる私たちが、若い人たちより得意なことかもしれません。
好きな人の反応に振り回されすぎると、恋愛がストレスになってしまいます。人生経験を重ねた今だからこそ、「自分は自分、相手は相手」という健全な距離感を保つことができるはずです。
ストーリーの反応がなくても、あなたの日々は続いていきます。友人と会い、趣味を楽しみ、家族と過ごす。そういった日常の充実こそが、実は恋愛にも良い影響を与えるのです。
「あの人の反応を待つ」のではなく、「自分の人生を楽しむ」。その姿勢が、結果的に相手を惹きつけることもあります。誰かに依存するのではなく、自立した魅力的な大人として、相手と向き合うことができるからです。
最後に、もう一つの体験談をご紹介します。
七十代の女性は、夫を亡くして三年後、趣味の俳句教室で同年代の男性と出会いました。彼女は勇気を出してSNSで繋がり、時々、俳句や日常の写真を投稿していました。でも、彼からの反応は全くありませんでした。
半年ほど経ったある日、俳句教室の帰り道、彼が声をかけてきました。「あのね、実は言いたかったことがあって」。彼女の心臓は高鳴りました。
彼は続けました。「あなたのストーリー、いつも見ています。特に俳句の投稿が好きで。でも、SNSで反応するのは、なんだか軽々しい気がして。こうして直接、『素敵な俳句ですね』と伝えたかったんです」
彼女は涙が溢れそうになりました。若い頃なら、もっと早く言ってほしかったと思ったかもしれません。でも今は、彼のその真摯な態度が、何よりも嬉しかったのです。