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説教好きな人の心理を読み解く:シニアが教える人間関係の知恵

人生の様々な経験を重ねてこられた皆様に、今日は少し複雑な人間関係のお話をしたいと思います。それは「説教したがる男性」の心理についてです。

長い人生を歩まれる中で、きっと皆様も一度は出会ったことがあるでしょう。「あなたのためを思って言うのだけれど」という前置きで始まり、延々と自分の価値観を押し付けてくる人。職場でも、地域でも、時には家族の中にも、そんな方がいらっしゃるかもしれません。

若い頃は「この人は親切で教えてくれているのだ」と思いがちでしたが、年を重ねるにつれて「なにか違和感がある」と感じるようになった方も多いのではないでしょうか。その直感は正しいのです。なぜなら、本当の親切心と説教は、根本的に違うものだからです。

説教したがる人の心理とは

まず、説教したがる方の心理について考えてみましょう。表面的には「相手のため」と言いながら、実は心の奥には全く違う感情が潜んでいることが多いのです。

優越感を得たい・承認欲求

最も大きな要因は「優越感を得たい」という欲求です。相手を「教え導く立場」に立つことで、「自分はあなたより上だ」「あなたより物事を知っている」という優越感を感じ、自分の価値を確認したいという気持ちがあります。実は、こういった方は他の場所、例えば職場などで十分な評価や承認を得られていない可能性が高いのです。

私の知人の例をお話ししましょう。70歳になる田中さんという男性がいらっしゃいます。定年退職後、奥様や周りの人に対してやたらと説教をするようになりました。「そんなやり方では効率が悪い」「私の時代はもっと気合いが入っていた」といった具合です。最初は「経験豊富な方のアドバイス」と思われていましたが、次第に周りの人が離れていくようになりました。

田中さんの心の中を想像してみると、現役時代は部下もいて、それなりに尊敬もされていたでしょう。しかし退職後、社会での立場を失った寂しさや不安が、家庭や地域での説教という形で現れてしまったのかもしれません。この場合、田中さんが本当に必要としているのは説教をすることではなく、自分の存在価値を認めてもらうことなのです。

コントロール欲求

次に、「コントロール欲求」も大きな要因です。相手の考え方や行動を自分の理想や価値観に沿わせようとする、つまり思い通りにしたいという心理が働いています。これは単なる親切心ではなく、一種の支配行為なのです。

江戸時代の知恵:「隣の垣根越しに口を出すな」

興味深いエピソードをお話ししましょう。昔、江戸時代の町人の間では「隣の垣根越しに口を出すな」という言葉があったそうです。これは現代でいう「お節介焼き」を戒める教えでした。当時の人々は、人には人の生き方があり、むやみに他人の領域に踏み込むべきではないということを、生活の知恵として理解していたのですね。現代にも通じる深い教えです。

本当の共感ができない

また、説教したがる方の特徴として、「本当の意味での共感やサポートができない」ことが挙げられます。誰かが悩みを打ち明けた時、まず必要なのは共感したり寄り添ったりする「心のサポート」です。しかし、そういった情緒的なサポートの技術が不足しているため、「問題解決」という形でしか関われないのです。

これは、その方自身がそのような温かいサポートを受けた経験が少ない場合もあります。戦後の厳しい時代を生き抜いてこられた世代の中には、「感情を表に出さない」「弱音を吐かない」ことが美徳とされた環境で育った方もいらっしゃるでしょう。そのような背景があると、他人に対しても同じような接し方しかできなくなってしまうのです。

自信のなさの裏返し

さらに、「自信のなさの裏返し」という側面もあります。実は自分自身に自信がないために、他人に対して「正しい」ことを説くことで、自分を安心させているのです。「私は正しいことを言っている」という自己正当化が、揺らぐ自信を支える杖になっているのです。

実際の体験談から見える心理パターン

体験談1:仕事のミスを打ち明けた時

私の友人の娘さん、恵子さんの体験談です。恵子さんは30歳の会社員で、お付き合いしている男性がいました。ある日、仕事で小さなミスをして少し落ち込んでいた時のことです。

「今日、書類の提出期限を忘れてしまって、上司にちょっと注意されちゃった」と彼に打ち明けました。恵子さんが求めていたのは、「大変だったね、お疲れさま」という労いの言葉だったのです。

ところが、お相手の男性の反応は全く違いました。まるで機関銃のように言葉が飛び出しました。「なぜそんなことになるんだ。前日のうちに終わらせておくのが常識だろう。君はいつも締切ギリギリまでやらないからそうなる。時間管理がなっていない。僕は社会人になった時から、締切の2日前には必ず終わらせるようにしている。それができないと、社会人として信用されない。ちゃんとスケジュール帳に書いて、リマインダーもかけるようにしなさい」

恵子さんはその時の気持ちをこう語っています。「もうすでに自分でもわかっていることを、これでもかと責め立てられる感じでした。『私の気持ちをわかってくれない』というより、『わかろうとすらしていない』という失望感でいっぱいになりました。ミスのことより、彼の説教の方がずっと心に残り、結局慰めてもらうどころか、さらに落ち込んでしまいました」

この男性の心理を分析すると、まず「俺はできているお前はできていない」と比較することで、自分が優位に立っていることを確認したいという欲求が見えます。そして、恵子さんの傷ついた感情には一切触れず、ただ「解決策」を押し付けているのです。

恵子さんが本当に必要としていたのは、「今日は大変だったね。そんな日もあるよ。明日は気を付けようね」という、まずは気持ちに寄り添ってくれる言葉だったのです。その上で、もし何かアドバイスがあるなら、「何か手伝えることがあるかな?」と相手の立場に立った提案をするのが、本当の思いやりというものでしょう。

体験談2:楽しい旅行の話を共有した時

もう一つの例もご紹介します。同じく友人の娘さん、由美さんのお話です。由美さんが友人との旅行の計画を楽しそうに話していた時のことです。お付き合いしている年上の男性が、まるで水を差すような口調で割り込んできました。

「そのプランは効率が悪い。この電車に乗るなら、もっとお得な切符がある。君はそういう情報収集が全然足りない。それに、このホテルは評価がよくない。僕だったら絶対にここは選ばない。もっとレビューをしっかり読んで、比較検討しないとダメだ。人生、何事も準備と情報がすべてだ。そうしないと常に損をする側に回る」

由美さんはその時のことをこう振り返ります。「ただ楽しい話を共有したかっただけなのに、すべて否定されて、『あなたのやり方は間違っている』と宣言された気分でした。楽しむことより、『正しくあること』『損しないこと』の方が彼にとっては重要なんだと悟り、一緒にいてとても息苦しくなりました」

この男性の心理には、由美さんの自由な計画や楽しみ方を、自分の価値観である効率性や合理性に合わせて修正させようとする「コントロール欲求」が見られます。さらに、「お前はダメだ、俺は正しい」という見下しの構造も明確です。

由美さんが本当に欲しかったのは、「楽しそうだね!どんなところに行くの?」という共感や関心だったはずです。もしアドバイスをするとしても、「こんな情報もあるよ、参考になれば」という程度に留めるのが、相手への配慮というものでしょう。

説教が相手に与える深刻な影響

私たち人生経験豊富な世代から見ると、これらの男性の行動には深い悲しさを感じます。なぜなら、彼らは本当の意味で人とのつながりを築くことができていないからです。説教をすることで一時的に優越感は得られるかもしれませんが、相手の心を遠ざけてしまっているのです。

説教を受ける側の心境も理解しておくことが大切です。説教は一見「正論」であることも多いため、受ける側は「確かにその通りかも」と思いながらも、心がすり減り、自己肯定感を低下させていきます。「自分はいつも間違っている」「自分では何も決められない」という無力感を植え付けられ、対等な関係ではなくなってしまうのです。

説教される時の対処法

では、そんな状況に遭遇した時、どのように対処すればよいのでしょうか。

その場で軽く流す

まず、その場では軽く受け流すことです。「なるほど、そういう考え方もありますね」と言って、深く議論に乗らないことが賢明です。相手の土俵に上がってしまうと、延々と説教が続く可能性があります。

自分の気持ちを伝える

また、勇気があるときは、自分の気持ちを正直に伝えることも大切です。「あなたのお考えはよくわかりますが、今は共感していただきたかったのです」「楽しい話をしているので、細かい指摘は控えていただけませんか」と、自分の領域を守ることを示すのです。

本質を見極める

そして最も重要なのは、その行動の本質を見極めることです。単なる口癖や習慣なのか、それとも相手をコントロールしたいという根深い性格なのかを判断する必要があります。後者の場合は、その関係自体を見直すことも考えなければならないでしょう。

真の思いやりとは

私たちが長い人生で学んできたことの一つは、真の愛情や親身なアドバイスと、説教は全く別物だということです。本当にあなたのことを想ってくれる人は、あなたの気持ちを第一に考え、説教ではなく、寄り添うことを選びます。

人間関係において最も美しいのは、互いを尊重し合い、支え合うことです。一方的に教え込むのではなく、相手の立場に立って物事を考える。これが、長い人生経験から得られる深い知恵ではないでしょうか。

若い世代の方々にも、ぜひこのことを伝えたいと思います。人とのお付き合いでは、まず相手の気持ちに耳を傾けること。そして、アドバイスをする時も相手が本当に求めているものを理解してからにすること。これが、真の思いやりというものなのです。