人生の後半戦を迎えた私たち世代にとって、新しい出会いや恋愛は決して諦めるものではありません。むしろ、これまでの人生経験を活かして、より深く心のつながりを築ける貴重な時期でもあります。しかし、そんな中で時々出会うのが「やたらと褒めてくる男性」です。
最初は嬉しいものの、だんだんと違和感を覚えてしまう…そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。夕暮れ時のカフェで、隣の席から聞こえてくる会話に耳を傾けると、「今日の洋服、とても素敵ですね」「お肌がきれいで羨ましいです」そんな声が聞こえてきます。聞いているこちらも、なんだかむずむずするような気持ちになってしまいます。
今日は、そんな状況に戸惑っているあなたに向けて、なぜ男性が過度に褒めたがるのか、その心理を紐解きながら、上手な対処法をお伝えしていきたいと思います。
年齢を重ねた私たちだからこそ、相手の本心を見抜く目を養い、心地よい関係を築いていきましょう。
やたら褒めてくる男性に隠された心理とは
まず最初に、なぜ男性が必要以上に褒め言葉を口にするのか、その背景にある心理を理解することから始めましょう。私たちの世代は、相手の気持ちを察することの大切さを知っています。だからこそ、表面的な言葉の奥にある真意を読み取ることが重要なのです。
過剰な承認欲求という名の不安
多くの男性、特に私たちと同世代の男性の中には、深い承認欲求を抱えている方がいらっしゃいます。それは決して悪いことではありませんが、時として相手を困らせてしまうこともあります。
例えば、ある女性のお話です。70歳を迎えたその方は、地域のボランティア活動で知り合った男性から、毎日のように「素晴らしい活動をされていますね」「あなたのような方がいてくれて心強いです」と褒められ続けました。最初の一週間は、長年の主婦生活から社会復帰を果たした自分を認めてもらえているようで嬉しく感じていました。
しかし、段々とその褒め言葉が型にはまったもので、本当に自分の活動内容を見てくれているのか疑問に思うようになったのです。彼女の心の中には、「私の何を見て言ってくれているのかしら」という戸惑いが生まれました。夜、一人でお茶を飲みながら振り返ると、なんだかとても空虚な気持ちになってしまうのです。
この男性の心の奥底には、「認められたい」「好かれたい」という強い欲求がありました。おそらく、過去の人間関係で傷ついた経験があったのかもしれません。だからこそ、相手を褒めることで自分への好意を確認しようとしていたのです。
会話をコントロールしたい主導権への渇望
私たちの世代の男性の中には、長年の社会生活で培った「会話をリードする」習慣が身についている方も多くいらっしゃいます。しかし、その方法が時として相手を疲れさせてしまうことがあります。
ある75歳の男性は、近所のカルチャーセンターで知り合った女性に対して、毎回の授業後に「今日の作品も素晴らしいですね」「色使いが本当にお上手で」と褒めた後、必ず「今度、私の知っている良いギャラリーをご案内したいのですが」と自分の提案に話を持っていくのです。
この女性は最初、親切な方だと思っていました。しかし、毎回同じパターンが続くうちに、褒め言葉が自分の提案を通すための手段として使われていることに気づいてしまいました。夕食の支度をしながら、「あの方は本当に私の作品を見てくださっているのかしら」とため息をつく日々が続きました。
この男性の心理には、会話の主導権を握りたいという強い欲求がありました。褒め言葉で相手の気持ちを良くしてから、自分の思う方向に話を進めたいと考えていたのです。しかし、その計算高さが相手に伝わってしまい、逆効果になってしまったのです。
本音を隠す防壁としての褒め言葉
私たちの世代の男性の中には、深い話題や自分の弱みを見せることに慣れていない方もいらっしゃいます。長年の社会生活で、常に強い自分でいなければならないと思い込んでいる方も多いのです。
ある80歳近い男性のお話です。奥様を亡くされて3年が経ち、友人の紹介で知り合った女性と月に一度お食事をするようになりました。しかし、その女性が仕事の大変さや健康の不安について話そうとすると、必ず「でも、あなたは本当に立派な方ですから大丈夫ですよ」「そんなに頑張り屋さんなら何でも乗り越えられます」と褒め言葉で話を終わらせてしまうのです。
この女性は、同じ人生の先輩として、お互いの悩みや不安を分かち合えると期待していました。しかし、いつも表面的な褒め言葉で会話が終わってしまうため、だんだんと物足りなさを感じるようになりました。一人でいる時間に、「あの方と本当の意味で心を通わせることはできるのかしら」と考え込んでしまうのです。
この男性の心の中には、自分の弱さや不安を見せることへの恐れがありました。長年、家族や部下を支えてきた経験から、常に前向きで強い言葉をかけなければならないと思い込んでいたのです。しかし、それが相手との距離を作ってしまっていることに気づいていませんでした。
器の大きさをアピールしたい自己顕示欲
私たちの世代の男性の中には、「優しく包容力のある男性」として見られたいという強い願望を持っている方もいらっしゃいます。しかし、その表現方法が時として相手に負担をかけてしまうことがあります。
これは少し違った角度からのお話ですが、ある地域の俳句の会でのことです。新しく入会した72歳の男性が、毎回の句会で他の参加者、特に女性メンバーの作品を「素晴らしい感性ですね」「こんな表現ができるなんて天才的です」と大げさに褒めちぎるのです。
最初は、新しいメンバーが場に馴染もうとしているのだと思われていました。しかし、回を重ねるごとに、その褒め言葉が作品の内容と関係なく、まるで決まり文句のように繰り返されることがわかってきました。他のメンバーたちは、だんだんと居心地の悪さを感じるようになりました。
実は、この男性は過去に趣味の集まりで女性に冷たくされた経験があり、今度こそは「優しくて素敵な男性」として受け入れられたいと思っていたのです。しかし、その思いが強すぎて、逆に不自然な印象を与えてしまっていました。
彼の心の中には、「自分は相手を認められる器の大きな人間だ」というアピールをしたい気持ちがありました。しかし、その方法が適切ではなかったため、周りの人たちに違和感を与えてしまったのです。
過去の傷から生まれる自己防衛本能
私たちの世代は、長い人生の中で様々な経験をしてきました。その中には、傷ついた経験や失敗した記憶もあります。特に、人間関係で痛い思いをした方の中には、「今度こそは」という強い思いから、過度に相手を褒めてしまう方もいらっしゃいます。
ある68歳の男性のお話です。若い頃から人間関係で苦労することが多く、特に女性との関係では何度も辛い思いをしてきました。退職後、新しい出会いを求めて社交ダンスを始めたのですが、パートナーになった女性に対して、毎回のレッスン後に「今日も本当に上手でした」「一緒に踊れて光栄です」「あなたのような方とパートナーになれて幸せです」と立て続けに褒め言葉を浴びせるのです。
この女性は最初、謙虚で紳士的な方だと思っていました。しかし、毎回同じような褒め言葉が続くうちに、なんだか重い気持ちになってきました。まるで自分が褒められることを期待されているような、プレッシャーを感じるようになったのです。帰宅後、鏡の前で「私、そんなに褒められるほど上手じゃないのに」とつぶやく日々が続きました。
この男性の心の奥底には、「嫌われるのが怖い」「拒絶されるのが怖い」という深い不安がありました。過去の痛い経験から、相手に好感を持ってもらうためには褒めるしかないと思い込んでしまっていたのです。しかし、その不安が強すぎて、逆に相手を疲れさせてしまっていました。
ここで少し心温まるエピソードをお話しましょう。実は、褒めることの大切さを教えてくれる素敵な逸話があります。昭和の名俳優として知られるある方が、共演者に対していつも心からの褒め言葉をかけていたそうです。しかし、その褒め言葉は決して表面的なものではありませんでした。相手の演技のどこが良かったのか、どんな努力を感じ取ったのかを具体的に伝えていたのです。そのため、多くの俳優たちから「あの方に褒められると、本当に嬉しかった」と語り継がれています。本当の褒め言葉とは、相手をよく見て、心から感じたことを伝えることなのですね。
褒められ上手になるための心構え
さて、ここまで男性が過度に褒める心理について見てきましたが、では私たちはどのように対応すれば良いのでしょうか。まずは、褒められ上手になるための心構えから考えてみましょう。
褒め言葉を受け流す技術
私たちの世代は、長年の人生経験から、相手の言葉の真意を読み取る力を身につけています。しかし、時にはその力を使って、上手に受け流すことも大切です。
ある77歳の女性は、こんな素敵な対応をされていました。地域の合唱団で知り合った男性から「今日の歌声も天使のようでした」と言われた時、にっこりと笑って「ありがとうございます。今日は特に気持ちよく歌えました」と返した後、すぐに「ところで、来週の曲の練習はいかがですか?」と話題を変えたのです。
この女性の心の中では、「この方はいつも大げさに褒めてくださるけれど、きっと照れ屋さんなのね」と温かく受け止めながらも、そこに留まらずに建設的な会話に持っていこうという思いがありました。彼女は長年の結婚生活で、夫の不器用な愛情表現を受け止めてきた経験があったため、このような対応ができたのです。
このように、褒め言葉を一度は受け止めつつ、そこに引きずられずに自然に話題を変えることで、相手にも自分にも心地よい空間を作ることができます。
相手の本音を引き出す質問術
私たちの世代は、相手の気持ちを大切にする文化の中で育ってきました。だからこそ、表面的な言葉の奥にある本当の気持ちを知りたいと思うのは自然なことです。
ある65歳の女性は、とても上手な質問をされていました。絵画教室で知り合った男性から「あなたの絵はいつも色彩が豊かで素晴らしいですね」と言われた時、「ありがとうございます。具体的にはどの色使いが印象的でしたか?」と聞き返したのです。
すると、その男性は少し戸惑いながらも、「特に、この空の青と雲の白のコントラストが、穏やかな気持ちにさせてくれます」と具体的に答えてくれました。この女性は、「この方は本当に私の絵を見てくださっているのね」と心から嬉しく感じたそうです。
このように、相手に具体的な理由を聞くことで、その褒め言葉が本心からのものなのか、それとも社交辞令なのかを見極めることができます。そして、本心からの褒め言葉であることがわかれば、より深い会話に発展させることも可能になります。
自分の気持ちを正直に伝える勇気
私たちの世代は、相手を傷つけないよう配慮することを大切にしてきました。しかし、時には自分の正直な気持ちを伝えることも、良い関係を築くために必要です。
ある70歳の女性は、こんな素敵な対応をされました。書道教室で知り合った男性から毎回のように「あなたの字は本当に美しいですね」「筆遣いが優雅で見とれてしまいます」と褒められ続けて、だんだんと重く感じるようになりました。
そこで、ある日勇気を出して、優しい笑顔でこう言ったのです。「いつも褒めてくださって嬉しいのですが、そんなに言われると恥ずかしくなってしまいます。もしよろしければ、私の字のどこを直したら良いか教えていただけませんか?」
この女性の心の中には、「この方の気持ちを傷つけたくないけれど、自分の気持ちも大切にしたい」という思いがありました。そして、この正直な気持ちを伝えたことで、その男性との関係はより自然で心地よいものになったそうです。
その男性は、最初は少し驚いたようでしたが、「そうですね、実は私も褒めることばかりで、建設的なお話ができていませんでした」と素直に受け入れてくれました。それからは、お互いの作品について具体的で建設的な感想を交換し合う、とても良い関係を築くことができたのです。
深い関係を築くための心がけ
私たちの世代だからこそできる、深くて温かい人間関係を築くためには、どのような心がけが大切でしょうか。
お互いの人生経験を尊重し合う
私たちは皆、長い人生の中で様々な経験を積んできました。その経験こそが、私たちの大切な財産です。相手の経験を尊重し、自分の経験も大切にしながら、お互いを理解し合うことが重要です。
ある73歳の女性と78歳の男性のお話です。二人は地域の歴史研究会で知り合い、最初は男性が女性の発言を「素晴らしい着眼点ですね」「さすがです」と褒めるばかりでした。しかし、女性が「あなたも長年この地域にお住まいなんですよね。どんな変化をご覧になってきましたか?」と尋ねたことから、会話が大きく変わりました。
男性は自分の経験や記憶を語り始め、女性もそれに共感したり、自分の体験と比較したりしながら、とても豊かな対話が生まれました。二人とも、相手の人生の重みを感じ、心から尊敬し合えるようになったのです。
真心のこもったコミュニケーションを心がける
私たちの世代は、形式的な付き合いよりも、心のこもった真のコミュニケーションを大切にします。相手の表面的な部分だけでなく、その人の本質を見ようとする姿勢が大切です。
ある69歳の女性は、こんな心温まる経験をされました。近所の男性から初めて「お庭の花がきれいですね」と声をかけられた時、単に「ありがとうございます」で終わらせず、「この花は主人が生前に植えてくれたもので、毎年この時期に咲くのを楽しみにしているんです」と自分の気持ちを込めて話したのです。
すると、その男性も「実は私も妻を亡くしてから、妻が大切にしていた植物の世話をするようになりました」と自分の体験を話してくれました。二人は表面的な褒め言葉を超えて、お互いの心の内を分かち合うことができたのです。
このように、真心を込めて自分の気持ちや体験を伝えることで、相手も心を開いてくれることが多いものです。
時間をかけてゆっくりと関係を育む
私たちの世代は、急ぐ必要がありません。時間をかけて、ゆっくりとお互いを理解し合うことができます。表面的な褒め言葉に惑わされず、相手の本当の人柄を見極めるためには、時間が必要です。
ある66歳の女性は、こんな賢明な判断をされました。カラオケサークルで知り合った男性から熱心にアプローチされ、毎回のように「歌声が素晴らしい」「一緒にいると楽しい」と褒められました。しかし、彼女は急がずに、まずは友人としての関係を大切にすることにしたのです。
半年ほど経った頃、その男性の本当の人柄が見えてきました。実は彼は、音楽に対して深い造詣があり、人の歌声の特徴をよく聞き分ける能力がありました。最初の褒め言葉は、決して空虚なものではなく、彼なりの音楽的な感性から出た言葉だったのです。
この女性は、時間をかけて相手を知ることの大切さを改めて感じたそうです。「最初は大げさに聞こえた褒め言葉も、この方の人柄を知ってからは、とても温かく感じられるようになりました」と語っています。
困った時の対処法
それでは、実際に困った状況に直面した時、どのように対処すれば良いでしょうか。具体的な場面を想定して考えてみましょう。
しつこく褒められ続ける時
例えば、習い事で一緒になった男性から、毎回のように同じような褒め言葉を繰り返し言われる場合があります。このような時は、相手の気持ちを傷つけずに、上手に距離を調整することが大切です。
ある74歳の女性は、こんな工夫をされていました。陶芸教室で知り合った男性から毎回「作品が美しい」「センスが良い」と言われ続けて困っていました。そこで、ある日こう言ったのです。「いつもありがとうございます。でも、私はまだまだ未熟なので、良いところだけでなく、改善点も教えていただけると勉強になります」
この言葉によって、男性は褒めるだけでなく、より建設的なアドバイスもするようになり、お互いにとって有益な関係に変わったそうです。
相手の本心がわからない時
褒め言葉が多すぎて、相手の本当の気持ちがわからない場合もあります。このような時は、褒め言葉以外の部分での相手の行動や態度を観察することが重要です。
ある71歳の女性は、こんな観察をされていました。ボランティア活動で知り合った男性から「いつも頑張っていて素晴らしい」と言われ続けていましたが、実際の活動中の様子を見ていると、彼が困っている参加者にさりげなく手を差し伸べたり、重い荷物を運んでくれたりする姿を目にしました。
「この方の褒め言葉は、もしかしたら不器用な愛情表現なのかもしれない」と感じた彼女は、その後、褒め言葉よりも彼の行動に注目するようになりました。そして、言葉よりも行動で愛情を表現するタイプの方だということがわかり、より深く理解し合えるようになったのです。
気持ちが重くなってしまった時
過度な褒め言葉によって、気持ちが重くなってしまうこともあります。このような時は、一人の時間を大切にして、自分の気持ちを整理することが重要です。
ある67歳の女性は、こんな体験をされました。近所の男性から連日のように褒められ続けて、だんだんと息苦しさを感じるようになりました。そんな時、彼女は信頼できる女友達に相談したのです。
「最近、とても褒めてくださる方がいるのですが、なんだか疲れてしまって」と正直に話すと、友人は「それは大変ね。でも、あなたが疲れるということは、きっと何か違和感があるのよ」と言ってくれました。
この会話によって、彼女は自分の感じている違和感が正当なものであることがわかり、その後は自分の気持ちを大切にしながら、適切な距離を保つことができるようになりました。