長年一緒に暮らしてきたパートナーとの関係に、ふと距離を感じることってありませんか。定年を迎えて家にいる時間が増えたり、子どもたちが独立して二人きりの時間が増えたり。人生の節目を迎えると、今まで見えなかった問題が浮き彫りになることがあるんですよね。
「最近、会話が減ったな」「なんだかギクシャクしているな」そんな風に感じている方、実は少なくないんです。でも大丈夫。何十年も一緒に歩んできたお二人なら、きっとまた心を通わせることができます。
ただ、関係を修復しようと焦るあまり、かえって状況を悪くしてしまう行動があるんです。今日は、専門家やカウンセラーの方々が口を揃えて「これだけは避けてほしい」とおっしゃる10の行動について、お話しさせていただきますね。
何十年も一緒にいたからこそ、難しいこともある
私の知り合いに、結婚40年を超えるご夫婦がいらっしゃいます。お二人とも70歳前後で、傍から見れば仲の良いご夫婦なんですが、ご主人が定年退職されてから、少しずつ関係がぎこちなくなっていったそうなんです。
奥様は長年、家のことを一人で切り盛りしてこられた。ご主人は仕事一筋で、家のことはほとんど任せきり。それが、定年後は一日中家にいるようになって。
最初は「やっと二人でゆっくり過ごせる」と喜んでいたそうなんですが、次第にお互いのペースの違いにイライラするようになって。そこから少しずつ、会話が減っていったんだそうです。
こういうお話、実は珍しくないんですよね。長年連れ添ってきたからこそ、環境の変化が関係に影響を与えることがある。でも、それは決して「もう終わり」という意味ではないんです。
一つ目の落とし穴、しつこく話し合いを迫ること
関係がギクシャクしてくると、「ちゃんと話し合わなきゃ」って思いますよね。その気持ち、すごくよくわかります。
でもね、相手がまだ心の整理がついていないときに、「話し合おう」「向き合ってよ」と迫ってしまうと、かえって逆効果になってしまうんです。
千葉市に住む、今年63歳になる男性の話を聞いたことがあります。奥様との関係が冷え込んだとき、彼は毎晩のように「話し合おう」と声をかけたそうなんです。
でも奥様は、日中の家事や孫の世話で疲れていて、夜は静かに過ごしたかった。それなのに毎晩話し合いを迫られて、ついに「もう無理」と言われてしまったそうです。
後日、カウンセラーの方に相談したら、「相手が話せる状態になるまで待つことが大切です」と言われて、初めて自分の焦りが裏目に出ていたことに気づいたんだそうです。
人には、心の準備が必要な時間があります。特に長年一緒にいると、「言わなくてもわかる」と思いがちですが、こういう繊細なときこそ、相手のペースを尊重することが大事なんですよね。
二つ目の落とし穴、一方的に要求や主張をぶつけること
「あなたがこうしてくれたら」「あなたが変わってくれれば」そんな言葉、つい口から出そうになることってありませんか。
でも、これも関係修復を遠ざけてしまう行動なんです。
夫婦の問題って、どちらか一方だけが悪いということは、ほとんどありません。何十年も一緒に暮らしてきた中で、お互いに譲れないこと、我慢してきたこと、いろいろあったはずです。
だから、「あなたが悪い」ではなく、「私たちの問題」として考える姿勢が大切なんですよね。
私の親戚に、定年後の生活で揉めたご夫婦がいらっしゃいました。ご主人は「毎日ゴルフに行きたい」、奥様は「もっと二人で旅行に行きたい」と、お互いの要求をぶつけ合ってしまったそうなんです。
でも、あるとき奥様が「私たち、これからどんな風に過ごしたいのかしら」と、二人の未来について話し始めたら、ご主人の表情が柔らかくなったそうです。「要求」ではなく「相談」の形にしたことで、対話が生まれたんですね。
三つ目の落とし穴、過去の出来事を蒸し返すこと
これは、本当に気をつけていただきたいことなんです。
何十年も一緒にいると、忘れられない出来事や、許せなかったことって、いくつかあるものですよね。でも、それを今、関係が揺らいでいるときに持ち出すのは、修復を一番遠ざけてしまう行動なんです。
65歳の女性の方から聞いたお話があります。ご主人との小さな喧嘩のときに、つい「前もそうだったわよね」「あなたっていつも」と、過去の失敗を持ち出してしまったそうなんです。
そうしたら、ご主人は「もう何をしても責められるんだな」と感じて、心を閉ざしてしまった。それから会話が減って、食事も別々に取るようになってしまったそうです。
後で専門家の記事を読んで、過去を蒸し返すことが最悪の行動だと知って、深く後悔されていました。
過去は変えられません。でも、これからの未来は二人で作っていけます。だから、「あのときは」ではなく、「これからは」という言葉で話せるといいですよね。
四つ目の落とし穴、感情的に責め立てること
年齢を重ねても、感情的になることってありますよね。長年一緒にいるからこそ、相手の嫌なところが目についてしまうこともある。
でも、怒りに任せて言葉をぶつけたり、泣いて訴えたり、皮肉を言ったり。そういう感情的なアプローチは、相手の心を閉ざしてしまうんです。
特にシニア世代の男性は、感情をストレートに表現するのが苦手な方が多いんですよね。だから、感情的に責められると、どう対応していいかわからなくて、黙り込んでしまったり、家から出て行ってしまったり。
冷静さを保つって、簡単なことではありません。でも、深呼吸して、一晩寝てから話す。それだけでも、ずいぶん違うものなんです。
五つ目の落とし穴、過度な謝罪や執拗な謝罪
「ごめんなさい」「悪かった」と何度も謝る。それが誠意だと思っていませんか。
実は、謝罪の繰り返しは、相手に圧迫感を与えてしまうんです。
60歳の男性から聞いた話ですが、奥様との関係がギクシャクしたとき、嫌われたくない一心で「ごめん」を連発してしまったそうです。
でも奥様は、謝られるたびに「また同じことを繰り返すのでは」という不安と、「謝れば済むと思っているのかな」という気持ちが湧いてきて、かえって距離を感じてしまったそうです。
謝罪は、一度、心を込めて。そして、その後は行動で示す。それが一番伝わるんですよね。
六つ目の落とし穴、スマホや行動の監視
これは少し耳が痛い話かもしれません。
定年後、特に家にいる時間が増えると、相手の行動が気になることってありますよね。「どこに行ってたの」「誰と会ってたの」「何してたの」と、つい聞いてしまう。
でも、監視や詮索は、相手から「信用されていない」というメッセージになってしまうんです。
何十年も一緒にいても、いや、長く一緒にいるからこそ、お互いに自由な時間や空間が必要なんですよね。趣味の時間、友人との時間、一人でゆっくり過ごす時間。
そういう時間を尊重し合えることが、実は関係を良好に保つ秘訣だったりします。
七つ目の落とし穴、第三者を勝手に巻き込むこと
夫婦の問題を、つい子どもや親、友人に相談してしまうこと、ありませんか。
もちろん、一人で抱え込むのは辛いですし、誰かに話を聞いてもらうことで気持ちが楽になることもあります。
でも、その人が直接パートナーに意見したり、家庭の問題に介入してくると、話は別なんです。
68歳の女性の話ですが、ご主人との喧嘩のたびに娘さんに相談していたそうです。娘さんは母親の味方をして、父親に「お母さんを大事にしてよ」と言うようになった。
最初は娘が味方してくれて心強かったそうですが、ご主人は「家庭の問題に子どもを巻き込むな」と激怒して、余計に心を閉ざしてしまったそうです。
後に夫婦カウンセリングで、「第三者介入は最も関係を壊す行動の一つ」と知って、深く反省されたとか。
夫婦の問題は、やはり夫婦で解決するのが基本。どうしても専門家の助けが必要なら、お二人で一緒にカウンセリングを受けるのがいいんですよね。
八つ目の落とし穴、自分は変わらず相手だけに変化を求めること
「あなたが変わってくれればうまくいくのに」
そう思ったこと、ありませんか。正直、私もあります。
でも、関係は二人で作るものです。片方だけが変わっても、うまくはいかないんですよね。
定年後、ご主人が家にいる時間が増えて、「もっと家事を手伝ってほしい」と思う奥様は多いと思います。逆に、「もっと自分の時間を尊重してほしい」と思うご主人も多いでしょう。
でも、お互いに「相手が変わるべき」と思っていたら、平行線のままです。
ここで少し面白いエピソードを。私の知り合いのご夫婦、70代のお二人なんですが、定年後にお互い「料理教室」に通い始めたんです。奥様は和食、ご主人は洋食。
最初は別々に通っていたんですが、ある日「お互いの習った料理を週末に披露し合おう」と決めたそうなんです。そうしたら、二人の会話が一気に増えて、今では一緒にキッチンに立つのが日課になったとか。
お互いが新しいことに挑戦したことで、関係が新鮮になったんですね。変化を相手に求めるのではなく、まず自分から。それが大事なんだと教えてもらいました。
九つ目の落とし穴、別居を急ぐこと
「距離を置いた方がいいのかしら」
そう考えることもあるかもしれません。実際、少し距離を置くことで、お互いの大切さに気づくこともあります。
でも、衝動的に別居を決めてしまうのは、リスクが高いんです。
一度離れてしまうと、元に戻るのが難しくなることもあります。特に、長年一緒に暮らしてきた生活パターンが変わると、それに慣れてしまうんですよね。
もし距離が必要だと感じたら、まずは家の中で別々の部屋で過ごす時間を作るとか、それぞれ旅行に行ってみるとか。小さな距離から試してみるのがいいかもしれません。
十個目の落とし穴、自分を責めすぎること
これまで、してはいけないことをたくさんお話ししてきました。でも、最後にこれだけは伝えたいんです。
「全部自分が悪い」と思い込みすぎないでください。
長年連れ添ってきた中で、いろいろなことがあったはずです。うまくいったこともあれば、すれ違ったこともある。でも、それは二人で積み重ねてきた歴史なんです。
自分を責めすぎると、健全な対話ができなくなります。「私が悪かったから」と卑屈になってしまうと、対等な関係が築けないんですよね。
必要なのは、「反省」ではなく「理解」です。何が問題だったのか、これからどうしたいのか。それを冷静に考える余裕を持ってください。
関係修復の本当の意味
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
夫婦関係の修復って、何か特別なことをすることじゃないんです。むしろ、してはいけないことをしない。それだけで、ずいぶん違うんですよね。
大切なのは、相手のペースを尊重すること。過去ではなく未来に目を向けること。感情ではなく、事実を見ること。そして、自分の行動を変えることから始めること。
何十年も一緒に歩んできたお二人なら、きっとまた心を通わせることができます。時間はかかるかもしれません。でも、焦らないでください。
これからの時間を、もう一度二人で
定年を迎えて、子どもたちが独立して。これから先の時間は、実は今までより長いかもしれないんです。
人生100年時代と言われる今、60代、70代はまだまだこれからです。この先の20年、30年を、どんな風に過ごしたいですか。
一緒に旅行に行きたいですか。孫の成長を見守りたいですか。静かに庭いじりをしたいですか。それとも、新しい趣味を始めたいですか。
そういう未来の話を、二人でゆっくりできる関係に戻れたら、素敵じゃないでしょうか。