シニアからのはるめくせかい

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30代の危機を越えて今がある〜シニアだから語れる人生の転機と新たな挑戦

私自身、66歳になった今だからこそ言えるのですが、32歳のときに人生で一番大きな迷いを経験しました。仕事も家庭も順調に見えたのに、心の奥底では何かが満たされていない。そんな不思議な感覚に襲われたんです。

当時は「中年の危機」なんて言葉も知りませんでしたし、誰にも相談できずに一人で悩んでいました。でも今思えば、あの時期があったからこそ、今の充実した日々があるんだなって、心から思えるんです。

今日は、30代で経験したあの揺らぎが、実は人生の大切な転換点だったこと。そして、その経験が、シニアになった今でも新しいことに挑戦する勇気につながっているということを、お伝えしたいと思います。

30代の危機というのは、実は昔から多くの人が経験してきたものなんですね。今の若い人たちだけの悩みじゃない。私たちの世代も、そのまた前の世代も、きっと同じような迷いを抱えていたんだと思います。

心理学者のユングという人が、人生の中年期に差し掛かると、誰もが自分の人生を見つめ直す時期が来ると言っています。それが30代後半から40代にかけて訪れることが多いんですね。

私の場合は32歳でした。周りからは「まだ若いのに何を悩んでいるの」って言われそうな年齢でしたが、心の中ではものすごく大きな葛藤がありました。

「このままでいいのか」という問いが、毎日のように頭の中を巡っていました。仕事は真面目にこなしていましたし、家族との関係も悪くなかった。でも、どこか満たされない。過去の選択は正しかったのか、この先の人生はこのままでいいのか。

今思えば、あれは人生の大切な問いかけだったんですね。若い頃は勢いで進んできた人生を、一度立ち止まって見つめ直す。そういう時期が、30代には必要だったんだと思います。

私の友人の69歳の男性が、先日こんなことを話していました。「35歳のとき、会社を辞めたくて仕方なかった。毎日が同じことの繰り返しで、自分の人生はこれでいいのかって悩んだ」って。

結局、彼は会社を辞めなかったのですが、その代わりに地域のボランティア活動を始めたそうです。仕事以外の場所で自分の居場所を見つけたことで、心のバランスが取れたんですって。

30代というのは、不思議な年代でしたね。20代の頃の勢いは落ち着いてきて、でもまだ40代、50代の落ち着きもない。中途半端な感覚が、余計に不安を大きくしていたのかもしれません。

私の場合、体力の変化を感じ始めたのも30代でした。徹夜ができなくなった。疲れが翌日に残るようになった。そういう小さな変化が、「ああ、自分も年を取っていくんだな」という現実を突きつけてきたんです。

両親の老いを感じ始めたのも、その頃でした。元気だと思っていた父が、ふと見ると背中が丸くなっていた。母の白髪が目立つようになった。人生には終わりがあるという当たり前のことを、初めて実感した時期だったように思います。

仕事でも、30代は複雑な時期でした。責任ある立場になって、部下を持つようになって。でも、自分が本当にやりたいことはこれなのか、という疑問が湧いてくる。

私の知り合いの64歳の女性は、33歳のときに大きな転機を迎えたそうです。それまで勤めていた会社での昇進の話が来たのに、なぜか素直に喜べなかった。

「この仕事を、あと30年も続けるのか」って考えたら、急に息苦しくなったんですって。周りは「チャンスだ」って言うのに、自分の心は「違う」って叫んでいた。

結局、彼女は昇進を辞退して、以前から興味があった保育の勉強を始めたそうです。周囲からは「もったいない」と言われたけれど、今振り返れば、あれが人生最大の正解だったって、目を輝かせて話してくれました。

人間関係も、30代で大きく変わりましたね。結婚する友人、子供が生まれる友人、離婚する友人。それぞれの人生が、違う道を歩み始める。

独身だった私は、結婚している友人と話が合わなくなっていくのを感じました。寂しいような、焦るような。「自分だけ取り残されているんじゃないか」という不安が、じわじわと心を侵食していったんです。

でも今思えば、あの時期の孤独感があったから、自分と向き合う時間が持てたんですね。一人でいろんなことを考えて、本当に自分が大切にしたいものは何なのか、ゆっくり見つめることができました。

30代の危機が、恋愛や結婚にも影響することがあります。これは私自身も経験しましたし、周りでもよく見かけました。

私は30代半ばで、長年付き合っていた人がいました。周りは「そろそろ結婚するんでしょ」って当然のように言う。でも、私の心の中では「本当にこの人でいいのか」という疑問がずっとありました。

相手が悪いわけじゃない。むしろ、とてもいい人でした。でも、何かが違う。その「何か」が何なのか、自分でもわからなくて、ずっと苦しんでいました。

結局、私たちは別れを選びました。周りからは「もったいない」「もう次はないよ」と散々言われました。でも、あの決断は間違っていなかったと、今でも思います。

その後、40歳で今の妻と出会いました。30代の迷いがあったから、本当に大切にしたい人が誰なのか、わかったんだと思います。

面白いことに、30代の危機を経験した人の中には、その後の人生がより豊かになった人が多いんですよね。

私の友人の67歳の女性は、36歳のときに大きな買い物をしたそうです。ずっと憧れていたピアノを、ローンを組んで購入したんですって。

「あの頃、何かを変えたくて仕方なかったの。でも具体的に何をすればいいかわからなくて」って彼女は言います。ピアノを買ったことで、週に一度レッスンに通うようになって、音楽仲間ができて、人生に新しい彩りが加わったそうです。

今でも毎日ピアノを弾いているそうで、「あの衝動買いが、人生を変えてくれた」って笑って話していました。

ちょっと面白い話を一つ。私の知り合いの68歳の男性が、34歳のときに突然バイクの免許を取りに行ったんですって。家族は大反対。「今さら何を考えているの」って。

でも彼は「どうしても取りたかった」と。結局、免許は取ったものの、実際にバイクに乗ったのは数回だけ。今となっては笑い話ですが、「あの行動力が、自分には必要だったんだと思う」って言っていました。

30代の危機を乗り越えて、今、私たちはシニアと呼ばれる年代になりました。でも、あの時期の経験は、決して無駄じゃなかったと思うんです。

むしろ、あの時に自分と向き合ったからこそ、今の人生を楽しめているんじゃないでしょうか。

私は定年後、ずっとやりたかった陶芸を始めました。なぜ陶芸かって? 実は30代の頃、陶芸教室の前を通るたびに「いつかやってみたいな」って思っていたんです。でも、忙しさを理由に、ずっと諦めていました。

定年を迎えたとき、ふとあの頃の気持ちを思い出したんです。「やりたいことは、やらなくちゃ」って。今は週に二回、陶芸教室に通っています。作品を作る時間は、本当に充実しています。

30代で感じた「このままでいいのか」という問いは、実は人生のどの段階でも大切な問いなんですね。60代、70代になっても、同じ問いを自分に投げかけることができる。

私の友人の71歳の女性が、最近スマートフォンの使い方を一から勉強し始めたそうです。「孫とビデオ通話がしたくて」って。周りからは「今さら難しいよ」って言われたけど、「30代で新しいことに挑戦できたんだから、70代でもできるはず」って、前向きに取り組んでいるそうです。

若い世代を見ていると、私たちが30代で経験した悩みと同じような悩みを抱えている人が多いように感じます。孫の世代、あるいは息子や娘の世代が、「このままでいいのか」って悩んでいる姿を見ると、他人事とは思えないんです。

でも、私たちには経験があります。30代の危機を乗り越えて、その先に続く人生を実際に生きてきた経験が。その経験を、若い世代に伝えていくことも、シニアの役割なんじゃないかって思うんです。

「迷ってもいいよ」「立ち止まってもいいよ」「でも、その先にはちゃんと道が続いているから」って。そんなメッセージを、自分の人生を通して示していけたらいいなと思います。

私自身の体験をもう少し詳しくお話しさせてください。32歳のとき、私は職場で中間管理職になったばかりでした。責任は増えるけれど、やりがいを感じられない。毎日が同じことの繰り返しで、心がどんどん疲弊していきました。

ある日の夜、一人で公園のベンチに座って、ぼんやり空を見上げていたんです。「自分の人生、これでいいのか」って、声に出して呟いてしまいました。

隣のベンチに座っていた老人が、こちらを見て微笑んでいました。今思えば、あの方は70代くらいだったでしょうか。「若いのに、難しい顔をしているね」って声をかけてくださったんです。

その方と一時間ほど話しました。詳しい内容は覚えていないのですが、最後に言われた言葉だけは、今でも鮮明に覚えています。

「迷っている時期は、人生の中で一番大切な時期かもしれないよ。迷わない人生なんて、つまらないからね」

その言葉に、どれだけ救われたか。迷っていいんだ。それも人生なんだって、初めて思えた瞬間でした。

今、私が66歳になって、公園のベンチに座っていると、時々あの頃の自分を思い出します。そして、もし今、隣のベンチに迷っている若者がいたら、あの時の老人のように、優しく声をかけられる人でありたいと思うんです。

30代の危機を経験して学んだことは、人生には何度でも転換期があるということです。30代だけじゃない。40代にも、50代にも、そして今、60代、70代にも、新しい扉は開かれているんです。

私の知り合いの73歳の男性は、70歳で絵画を始めました。「30代のとき、絵を描きたいって思ったけど、時間がなくて諦めた。でも70歳になって、もう時間しかないって気づいたんだよ」って笑いながら話していました。

今では地域の美術展に出品するまでになって、生き生きとした表情で絵筆を握っています。「遅すぎることなんてない」って、その姿が教えてくれます。

シニアになった今だからこそ、30代の危機の意味がわかります。あれは、人生の前半戦を振り返り、後半戦をどう生きるかを考える、大切な準備期間だったんですね。

そして、シニアになった今も、同じように自分に問いかけることができます。「この先の人生、どう生きたいか」って。年齢は重ねましたが、心の中には、30代の頃と同じような、新しいことへの憧れや期待があります。

むしろ、30代のときより、今の方が自由かもしれません。仕事のしがらみも減って、時間も増えて。やりたいことを、やりたいようにできる。そう考えると、ワクワクしてきませんか。

私は最近、地域のボランティア活動にも参加し始めました。子供たちに昔の遊びを教える活動なんですが、子供たちの笑顔を見ていると、自分も元気をもらえます。

30代で悩んで、40代で迷って、50代で少し落ち着いて。そして今、60代で新しい挑戦をしている。人生って、本当に面白いものですね。