長い人生を歩んでこられた皆さまなら、きっと何度も感じたことがあるんじゃないでしょうか。「この人は本当に強いな」って思える人との出会い。若い頃は、強さというと「感情を出さない」とか「弱音を吐かない」ことだと思っていたかもしれません。でも、年を重ねるにつれて、本当の強さって、もっと深いものだって気づいてきますよね。
今日は、人生のパートナーとして、あるいは人として、本当にタフな人とはどういう人なのか、そしてそういう人とどう向き合っていけばいいのか、一緒に考えていきたいと思います。
私たちの世代だからこそわかる、本物の強さ
若い頃の恋愛と、人生経験を重ねてからの恋愛や夫婦関係って、根本的に違うものですよね。20代や30代の頃は、相手の見た目や雰囲気、その場の感情で恋に落ちることもあったかもしれません。でも、50代、60代、70代と年を重ねていくと、本当に大切なのは「この人と一緒に、残りの人生を歩んでいけるか」ということになってくる。
そして、そこで重要になってくるのが、相手の「タフさ」なんです。ここで言うタフさっていうのは、筋肉質だとか、声が大きいとか、そういう表面的なことじゃありません。人生の荒波を一緒に乗り越えていける、精神的な強さのこと。
70代の女性の方から、こんなお話を聞いたことがあります。ご主人と結婚して45年、その間には本当にいろんなことがあったそうです。会社の倒産、お子さんの病気、ご両親の介護。若い頃なら、どれか一つだけでも押しつぶされそうな出来事ばかり。
でも、ご主人はどんな時も「なんとかなる」って言い続けてくれたそうです。それは無責任な楽観主義じゃなくて、「必ず道はある」という確信を持った言葉だったって。会社が倒産した時も、ご主人は一晩だけ落ち込んだけれど、翌朝には「さあ、次どうするか考えよう」って前を向いていた。
その姿を見て、奥様も「この人についていけば大丈夫」って思えたそうです。実際、その後ご主人は小さな事業を始めて、今では安定した生活を送っておられる。「あの人のタフさがなかったら、今の私たちはなかった」って、しみじみと語っておられました。
これが、本当の意味での「タフさ」なんですよね。表面的に強がるんじゃなくて、困難な状況でも冷静に、そして前向きに物事を考えられる力。
感情に振り回されない、でも冷たくない
年を重ねると、若い頃みたいに感情の波に激しく揺さぶられることは少なくなってきますよね。でも、それは感情がなくなったわけじゃなくて、感情との付き合い方が上手になったってことなんだと思います。
タフな人というのは、この感情のコントロールが本当に上手なんです。
60代の男性の方のお話です。奥様が数年前に大病をされて、入院生活が長く続いたそうなんです。当然、彼は心配で心配で仕方なかった。夜も眠れない日が続いて、仕事も手につかない。でも、病院で奥様の顔を見る時だけは、必ず笑顔でいようって決めたんだそうです。
「自分が不安な顔してたら、女房はもっと不安になる」って思ったんだって。だから、病室では明るく振る舞って、奥様の好きな話をして、笑わせるように努めた。でも、帰りの車の中では涙が止まらなかったって言ってました。
これって、感情がないんじゃないんですよね。むしろ、深い愛情があるからこそ、自分の不安を押し殺してでも、相手を支えようとする。それが本当の強さなんだと思います。
幸い、奥様は回復されて、今では二人で散歩を楽しんでおられるそうです。奥様は後から、「あなたがいつも笑顔でいてくれたから、私も頑張れた」って言ってくれたそうで。彼は「女房のために強くなれたんだ」って、少し照れながら話してくれました。
若い頃だったら、こういう強さって持てなかったかもしれません。感情を隠すことは偽善だとか、素直に泣いた方がいいとか思っていたかもしれない。でも、長い人生の中で、「相手のために自分の感情をコントロールすることも、愛の形だ」って学んでいくんですよね。
自分の足で立っている人の魅力
ここで少し、面白い話を一つ。実は昔、昭和の時代には「女性は男性に頼るべき」「男性は女性を守るべき」という固定観念が強かったですよね。でも、今の時代、そして特に私たちシニア世代が改めて恋愛や夫婦関係を見直す時、この考え方は大きく変わってきているんです。
最近、シニア向けの婚活サービスが人気だって知ってました?配偶者を亡くされた方や、離婚された方が、人生の後半戦を一緒に楽しめるパートナーを探すというものなんですけど、そこで人気があるのが「自立している人」なんだそうです。
つまり、相手に全てを頼るんじゃなくて、自分の人生をしっかり持っている人。趣味があって、友人関係があって、自分なりの生活リズムを持っている。そういう人が魅力的に見えるんだって。
考えてみれば、当然ですよね。人生の後半戦で新しくパートナーを見つけるとなったら、お互いに「相手がいないと生きていけない」という依存関係じゃなくて、「一緒にいるとより豊かな人生になる」という関係を求める。
65歳の女性の方から聞いた話です。ご主人を亡くされて5年ほど経った頃、地域のサークル活動で知り合った男性と親しくなったそうです。その男性も奥様を亡くされていて、最初は同じ境遇の者同士として話が合ったんだとか。
でも、彼女が惹かれたのは、その男性が「自分の人生を楽しんでいる」ことだったそうです。料理も自分でできるし、掃除も洗濯も問題ない。趣味の写真撮影で地域の風景を撮り歩いていて、その写真を見せてもらうのが楽しみだったって。
「この人は、私がいなくても大丈夫な人なんだな」って思ったそうです。でも、不思議なことに、それが安心感につながったんだって。「必要とされてる」んじゃなくて、「一緒にいることを選んでくれている」という感覚。それが、若い頃の恋愛とは違う、深い信頼関係を生んだそうです。
今、二人は再婚はしていないけれど、お互いの家を行き来しながら、ゆるやかに支え合う関係を築いているそうです。「お互いに自立しているからこそ、無理なく長く続けられる」って、嬉しそうに話してくれました。
これも一つの「タフさ」ですよね。誰かに依存しなくても、自分の人生を自分で歩んでいける強さ。それは、長い人生を一人でも生き抜いてきた経験があるからこそ、身についた強さなんだと思います。
困難を乗り越えてきた者同士だからわかること
私たちシニア世代の強みって、何と言っても「経験」ですよね。人生の中で、いろんな困難を乗り越えてきた。病気、仕事の失敗、経済的な苦労、家族の問題。数え上げたらきりがないくらい、いろんなことがあったはずです。
そして、その全てを乗り越えてきたからこそ、「まだ何とかなる」って思える。これが、本当の意味でのタフさなんだと思います。
75歳の男性の方の話です。奥様とは50年以上連れ添ってこられたそうですが、最初の10年は本当に大変だったって。彼は事業に失敗して借金を抱え、奥様は朝から晩まで働いて家計を支えた。子どもも小さくて、将来が見えなくて、何度も「もうダメかもしれない」って思ったそうです。
でも、奥様は一度も「離婚したい」とは言わなかった。「大変だけど、一緒に乗り越えよう」って、いつも言ってくれた。彼女自身も疲れてヘトヘトだったはずなのに、彼が落ち込んでいると「大丈夫、あなたなら立ち直れる」って励ましてくれたんだって。
その姿を見て、彼は「この人を幸せにしなきゃ」って思ったそうです。そして、必死で働いて、少しずつ借金を返済していった。時間はかかったけど、最終的には全部返し終えて、今では余裕のある生活を送っておられる。
「女房のタフさがなかったら、俺は途中で諦めてた」って、彼は言います。「彼女は俺より強かった。その強さに支えられて、ここまで来れたんだ」って。
奥様の方は、「強くなんてなかったわよ。ただ、この人と一緒にいたかっただけ」って笑っておられました。でも、その「一緒にいたい」という思いを貫くこと自体が、どれだけの強さを必要としたか。それは、経験した人にしかわからないことなんですよね。
困難な時期を一緒に乗り越えた夫婦やパートナーの絆って、本当に強いものだと思います。若い頃の恋愛みたいな華やかさはないかもしれないけど、その代わりに、深い信頼と安心感がある。
「この人となら、これから先、何があっても大丈夫」って思える。それは、過去に一緒に困難を乗り越えてきたからこそ持てる確信なんですよね。
正直であることの大切さ
年を取ると、だんだん遠慮がなくなってくるって言いますよね。若い頃は気を遣って言えなかったことも、歳を重ねると「もういいや」って、ストレートに言えるようになってくる。
これ、実は悪いことじゃないんです。むしろ、タフな人の大事な特徴の一つなんだと思います。
68歳の女性の方の話です。ご主人との関係について、こんなことを言っておられました。「若い頃は、主人の機嫌を損ねないようにって、いつも気を遣ってた。でも、60過ぎた頃から、もう我慢するのやめたの」
最初、その言葉を聞いた時、夫婦仲が悪くなったのかと思ったんですけど、全く逆だったんです。お互いに本音を言うようになってから、むしろ関係が良くなったんだって。
例えば、ご主人が退職後、毎日家にいるようになって、細かいことにあれこれ口を出すようになった。最初は我慢していたけど、ある日「あなたのそういうところ、正直イライラする」ってハッキリ言ったそうです。
ご主人は最初驚いたけど、「そうか、悪かった」って素直に認めてくれた。そして、「俺も言いたいことあるんだけど」って、奥様の気になる点を伝えてきた。お互いに言いたいことを言い合って、少し気まずくなったそうです。
でも、その話し合いの後、不思議と二人の関係がスッキリしたんだって。今まで溜めていたものを吐き出せた感じ。それからは、お互いに思ったことを率直に伝えるようになって、変な我慢がなくなった。
「今の方が、昔よりずっと仲良くなった気がする」って、彼女は笑いながら言っておられました。「正直に言い合えるって、これもお互いの信頼があってこそなのよね」って。
これも一つのタフさですよね。相手に嫌われることを恐れずに、言うべきことを言う勇気。そして、相手から何を言われても、それを受け止める強さ。長年連れ添ってきたからこそ持てる、お互いへの信頼があるからできることなんだと思います。
若い頃だったら、「そんなこと言ったら嫌われるかも」って怖くて言えなかったことも、今なら言える。それは、お互いの関係に自信があるから。ちょっとやそっとのことで壊れない、強い絆があるからなんですよね。
これからの人生を一緒に歩むために
さて、ここまで、タフな人の特徴についていろいろお話ししてきました。でも、大事なのは、「タフな人を見つけること」だけじゃないんです。自分自身もタフになることが、同じくらい大切なんですよね。
私たちシニア世代は、これまでの人生でいろんな経験をしてきました。その経験は、全て自分を強くする糧になっています。若い頃は泣いて過ごした出来事も、今振り返れば「あの時があったから、今の自分がある」って思えることも多いんじゃないでしょうか。
70代の男性の方が、こんなことを言っておられました。「人生の後半戦ってのは、これまでの経験を活かす時期なんだと思う。若い頃は、いろんなことに傷ついて、立ち直るのに時間がかかった。でも今は、ちょっとやそっとのことじゃ動じなくなった」
それは、感情が鈍くなったわけじゃないんです。むしろ、いろんなことを経験してきたからこそ、「これくらいなら何とかなる」って思える。その安心感が、周りの人にも伝わって、「この人は頼りになる」って思われるんだと思います。
パートナーとの関係でも同じです。若い頃みたいに、相手に完璧を求めることもなくなったし、自分も完璧である必要はないってわかってきた。お互いに欠点があって当たり前。大事なのは、その欠点も含めて、一緒にいることを選び続けられるかどうか。
タフな人というのは、決して完璧な人じゃないんです。むしろ、自分の弱さも認めながら、それでも前を向いて歩いていける人。そして、パートナーの弱さも受け止めながら、一緒に歩いていける人。
これからの人生、まだまだいろんなことがあると思います。健康の問題も出てくるかもしれないし、経済的な不安もあるかもしれない。家族のことで悩むこともあるでしょう。
でも、タフなパートナーが隣にいれば、きっと乗り越えていける。そして、自分自身もタフであれば、相手を支えることができる。お互いに支え合いながら、これからの人生を歩んでいく。それが、私たちシニア世代の恋愛や夫婦関係の理想の形なんじゃないかなって思います。