シニアからのはるめくせかい

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シニアの友達以上恋人未満を諦める勇気と新しい一歩

「友達としか見られていない」

そう気づいた瞬間、胸がキュッと締め付けられる感覚は、何歳になっても変わりませんよね。若い頃なら、まだ時間があると思えたかもしれません。でも、この年齢になると「もう最後のチャンスかもしれない」という思いが、判断を難しくさせます。

配偶者を亡くして数年が経った方。長年連れ添ったパートナーと別れた方。あるいは、ずっと独身を貫いてきた方。人生の後半戦で芽生えた「好き」という気持ちは、若い頃とは違う重みと切なさを持っています。

私はこれまで、多くのシニアの方々の恋愛相談に寄り添ってきました。驚くことに、60代、70代の方々の恋の悩みは、若者とほとんど変わりません。「あの人は私をどう思っているんだろう」「告白して断られたらどうしよう」「もう遅すぎるんじゃないか」...。

今日は、「友達としか思われていない」と気づいた時、どう向き合い、どう前に進めばいいのか。実際にあった体験談と共に、優しくお伝えしたいと思います。


シニアの恋愛が「友達枠」から抜け出せない理由

まず、なぜシニアの恋愛は「友達枠」に入りやすいのか。これには、若い世代とは違う背景があります。

長年の関係が「安全地帯」を作る

地域のサークルや趣味の集まりで、何年も顔を合わせている関係。お互いの家族も知っていて、時には一緒に旅行にも行く。こういう関係は、安心感がある一方で、「今さら恋愛対象として見られない」という壁を作ってしまいます。

68歳の女性、ヨシコさんは、3年前に夫を亡くしました。悲しみが癒えてきた頃、地域のコーラスサークルで知り合った男性、タケシさん(70歳)に惹かれていきました。タケシさんも5年前に奥様を亡くした一人暮らし。練習後のお茶、時には食事にも行く仲になりました。

でも、ある日、タケシさんが何気なく言った言葉が、ヨシコさんの心を凍らせました。

「ヨシコさんとは、亡くなった妻の友人と話してるみたいで落ち着くんだよね」

ヨシコさんは笑顔で「そうですか」と返しましたが、心の中では「ああ、私は奥様の代わりなんだ...」と悟りました。恋愛対象ではなく、亡き妻を思い出す「懐かしい友人」としか見られていなかった。

過去の影が「新しい恋」を妨げる

若い頃と違って、シニアの恋愛には「過去の比較」がついて回ります。「亡くなった夫と比べたら...」「元妻と比べたら...」。相手も、自分も、無意識のうちに過去のパートナーと比較してしまう。

すると、「恋愛」という新しい感情より、「安心できる友人」という位置に収まろうとしてしまうんです。


体験談1:カルチャーセンターの仲間(女性・65歳)

トモコさんは、定年退職後、絵画教室に通い始めました。そこで出会ったのが、同じクラスの男性、ヒロシさん(67歳)。妻と死別して8年という彼は、いつも優しく、絵の描き方を丁寧に教えてくれました。

2年間、毎週のように一緒に絵を描き、時には美術館巡りにも出かけました。トモコさんの心は、いつしかヒロシさんで満たされていました。「もしかしたら、この人と残りの人生を...」。そんな淡い期待を抱きながら。

ある日、勇気を出して「これからもずっと一緒にいたいです」と伝えました。言葉を選びながら、遠回しに気持ちを表現したつもりでした。

ヒロシさんの返事は、優しくて、そして残酷でした。

「トモコさんは、本当に大切な友人です。亡くなった妻以外と恋愛するなんて、考えたこともなくて...。これからも、良い友達でいてもらえませんか」

トモコさんは、笑顔で「もちろんです」と答えました。でも、家に帰って一人になった時、涙が止まりませんでした。「友達として大切」。その言葉が、何度も頭の中で繰り返されました。

その後、トモコさんは絵画教室を辞めました。ヒロシさんから「また一緒に描きませんか」とメールが来ましたが、「体調を崩して...」と断り続けました。半年間、辛い日々が続きましたが、徐々に心が回復していきました。

そして1年後、トモコさんは新しい趣味の陶芸教室で、別の男性と知り合いました。今度は友達関係を大切にしながら、ゆっくりと関係を深めています。

「あの時、諦めて本当に良かった。ヒロシさんとは、友達以上にはなれなかった。それを受け入れられたから、今の私がいるんです」


体験談2:町内会のゴルフ仲間(男性・72歳)

タダシさんは、週に2回、町内会のゴルフ仲間と練習に励んでいました。その中に、明るくて素敵な女性、ミチコさん(68歳)がいました。夫を亡くして10年という彼女は、いつも笑顔で、タダシさんにもよく話しかけてくれました。

1年以上、一緒にラウンドを回り、時には食事にも行きました。タダシさんは、「もしかして、この人も自分に好意を...」と期待していました。でも、ある日のコンペの後、ミチコさんが何気なく言った言葉が、全てを変えました。

「タダシさんって、本当に兄弟みたいで話しやすいわ。恋愛とかそういうんじゃなくて、家族みたいな安心感があるのよね」

タダシさんは、ドキッとしました。「兄弟みたい」「家族みたい」。これは完全に、恋愛対象外だという証拠でした。

その場では笑って受け流しましたが、帰り道、タダシさんの心は重く沈んでいました。「告白しても無駄だな...」。そう悟りました。

それから、タダシさんは少しずつミチコさんとの距離を取るようにしました。ゴルフは続けましたが、個別に食事に行くことはやめました。ミチコさんからも「最近、あまりお誘いないわね」と言われましたが、「忙しくて」とだけ答えました。

半年後、ミチコさんは別の男性と付き合い始めたと聞きました。タダシさんは、少し寂しかったですが、「友達枠で良かった」と思えるようになっていました。無理に告白して、気まずくなるより、自然とフェードアウトできて良かった、と。

今、タダシさんは別の趣味の集まりで、新しい出会いを楽しんでいます。


ここで、少し面白いエピソードを。実は私の知人で、75歳で初めて恋愛をした男性がいるんです。奥様を亡くして3年、ずっと一人で暮らしていましたが、地域の合唱団で知り合った女性に一目惚れ。でも、なんと彼、最初は「友達として仲良くなろう」と自分から決めていたそうです。「もう年だから恋愛なんて」と。ところが、半年ほど友達として付き合ううちに、相手の女性から「実は、あなたのことが好きです」と告白されたとか。今では二人で仲良く旅行を楽しんでいます。つまり、「友達枠」が必ずしも悪いわけじゃない。でも、それは両思いの場合の話。片思いの「友達枠」は、やっぱり辛いものです。


体験談3:同窓会で再会した初恋の人(女性・69歳)

サチコさんには、高校時代の初恋の人がいました。当時は何も言えずに卒業。それから50年以上、お互い別々の人生を歩んできました。

65歳の時、高校の同窓会で再会。相手の男性、ケンイチさん(70歳)も妻を亡くし、一人暮らしでした。再会をきっかけに、二人は時々会うようになりました。お茶をしたり、散歩したり。サチコさんの胸には、高校時代の淡い気持ちが蘇ってきました。

「今度こそ、気持ちを伝えたい」

2年間、勇気を貯め続けて、ついに告白しました。「あなたのことが、高校時代からずっと好きでした。今も、その気持ちは変わりません」

ケンイチさんは、優しく微笑みながら言いました。

「サチコさん、ありがとう。でも、僕には妻しかいないんだ。彼女が亡くなって10年経つけど、まだ彼女以外の人を恋愛対象として見ることができない。サチコさんは、昔からの大切な友人として、これからも付き合っていきたい」

サチコさんは、涙をこらえて「分かりました」と答えました。家に帰って、一人で泣きました。50年越しの思いが、届かなかった。

その後、サチコさんはケンイチさんとの連絡を絶ちました。辛すぎて、友達としても会えなかったんです。1年間、心が痛む日々が続きました。

でも、ある日、孫と公園で遊んでいた時、ふと思ったそうです。「私、ずっとケンイチさんのことばかり考えて、自分の人生を生きてこなかったんじゃないか」。

それから、サチコさんは新しいことに挑戦し始めました。ヨガ教室、読書会、ボランティア活動。そこで出会った人たちとの交流が、少しずつ心を癒してくれました。

「諦めたことで、初めて自分を大切にできた気がします。ケンイチさんに執着していた時間が、もったいなかったって思えるようになりました」


友達としか思われていないサインを見極める

シニアの恋愛では、相手の気持ちを見極めることが大切です。無駄に時間を費やさないためにも、以下のサインに注意しましょう。

「家族みたい」「兄弟姉妹みたい」と言われる

これは、恋愛対象として見ていないという明確なサインです。家族は大切だけど、恋愛対象ではない。そういう意味です。

亡くなった配偶者の話ばかりする

あなたと一緒にいる時、頻繁に「亡くなった妻は...」「主人は...」と話す。これは、まだ過去のパートナーを引きずっている証拠。あなたは、過去を思い出すための「聞き役」でしかないかもしれません。

二人きりの誘いを避ける

何度誘っても、「他の人も呼びましょう」と言われる。二人きりになることを避けている様子がある。これは、恋愛関係に発展することを警戒している可能性が高いです。

将来の話に自分が入っていない

「来年は一人でのんびり旅行でもしようかな」「老後は施設に入るつもりだから」など、将来の話にあなたが全く登場しない。これは、あなたとの未来を考えていないということです。


諦めるための優しいステップ

では、「友達としか思われていない」と分かった時、どうすればいいのか。若い頃のように、すぐに次の恋を探すのは難しいかもしれません。でも、自分を大切にするための方法はあります。

ステップ1:自分の気持ちを書き出す

ノートでもスマホのメモでも構いません。「私は○○さんが好きだった」「でも、○○さんは私を友達としか見ていない」と、事実を書き出してみてください。書くことで、気持ちが整理されます。

ステップ2:距離を少しずつ取る

急に連絡を絶つ必要はありません。でも、自分から誘う頻度を減らしてみてください。メールやLINEの返信も、少し時間を置いてから。相手がそれに気づいて追いかけてこなければ、それが答えです。

ステップ3:新しい場所に足を運ぶ

趣味のサークル、地域の活動、習い事。何でもいいので、新しい場所に行ってみてください。恋愛相手を探すためではなく、自分の世界を広げるために。「ここには他にも素敵な人がいる」と思えるだけで、心が軽くなります。

ステップ4:過去の思い出に感謝する

相手に直接言う必要はありません。でも、心の中で「好きだった時間をありがとう」と思ってみてください。その恋があったから、まだ人を好きになれる自分がいる。それは、素晴らしいことなんです。


シニアの恋愛は「諦める勇気」も愛の形

若い頃なら、「諦めるなんて負けだ」と思ったかもしれません。でも、人生の後半戦では、「諦める勇気」も立派な選択です。

限られた時間を、報われない恋に費やすのか。それとも、自分を大切にして、新しい可能性に心を開くのか。どちらが正解というわけではありません。でも、もし今、あなたが苦しんでいるなら、少し立ち止まって考えてみてください。

「この恋に執着することで、私は幸せですか」

もし答えが「いいえ」なら、それは手放す時かもしれません。


諦めた後に見えてくる新しい景色

トモコさん、タダシさん、サチコさん。三人とも、諦めた後、新しい人生が始まりました。恋愛相手が見つかった人もいれば、新しい趣味や友人関係を得た人もいます。

大切なのは、「諦める=終わり」ではないということ。諦めることで、新しい扉が開くこともあるんです。

シニアの恋愛には、若い頃にはない深みがあります。相手の人生を尊重し、自分の人生も大切にする。そのバランスが取れた時、本当の意味での「大人の恋愛」が始まります。