シニアからのはるめくせかい

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シニア世代の恋愛における反動形成

反動形成という言葉、聞いたことありますか。心理学の用語なんですが、簡単に言うと、本当の気持ちとは逆の態度を取ってしまうことなんです。好きなのに冷たくしてしまったり、気になるのに無関心なふりをしてしまったり。若い頃ならまだしも、人生の後半に差し掛かった今、こういう癖で素敵な出会いを逃すのはもったいないですよね。今日は、シニア世代の恋愛における反動形成について、じっくりお話ししていきます。

まず、シニアの方々にとって、恋愛って若い頃とは違う意味合いを持っていることが多いんです。配偶者を亡くされた方、熟年離婚を経験された方、あるいはずっと独身でいらした方。それぞれに人生の物語があって、その上で新しい出会いに向き合う。だからこそ、余計な遠慮や照れ隠しで、せっかくのご縁を逃してしまうのは本当に残念なことなんです。

60代、70代、80代になっても、人を好きになる気持ちは変わりません。むしろ、人生経験を重ねた分、相手の良さをより深く理解できるし、本当に大切なものが何かもわかっている。でも、その一方で「今更恋愛なんて」「周りにどう思われるか」「子どもや孫に何て言われるか」という不安や遠慮も生まれやすいんですよね。

この不安や遠慮が、まさに反動形成を引き起こす原因になるんです。本当は気になる人がいるのに、「別に何とも思ってません」って態度を取ってしまう。デイサービスで毎週会う素敵な方がいるのに、わざと避けてしまう。趣味のサークルで話しかけられても、そっけない返事しかできない。こういうこと、ありませんか。

ある70歳の女性、ここでは花子さんとお呼びしますが、彼女の体験談をご紹介しましょう。花子さんは5年前に夫を亡くされて、娘さんの勧めで地域のカラオケサークルに参加するようになりました。そこで知り合った太郎さんという男性、同じく妻を亡くされて2年という方でした。

最初、花子さんは太郎さんのことを「いい声で歌う方だな」くらいにしか思っていなかったそうです。でも、サークルの後のお茶会で少し話をするうちに、太郎さんの優しい人柄や、趣味の園芸の話に引き込まれていきました。「この人、素敵だな」って思い始めたんです。

ところが、花子さん、その気持ちに気づいてから、太郎さんに対してどんどん冷たくなっていったそうなんです。太郎さんが話しかけても「ええ、そうですね」と短く答えるだけ。お茶会でも太郎さんとは違う席に座るようになった。心の中では「今日も素敵だな」って思ってるのに、態度は正反対。

なぜそうなったかって、花子さん自身も最初はわからなかったそうです。でも、ある日娘さんに「お母さん、最近カラオケ楽しそうじゃないね。何かあった?」って聞かれて、ぽろっと「実は気になる方がいるんだけど、今更恋愛なんて恥ずかしくて」って打ち明けたんです。

娘さんは「それって、もしかしてお父さんに申し訳ないって思ってる?」って聞いてきました。花子さん、そこでハッと気づいたそうです。亡くなった夫への申し訳なさ、周りから「お父さんが亡くなってまだ5年なのに」って思われることへの恐れ、そして何より「こんな歳で恋愛なんて」っていう照れくささ。それが全部絡み合って、素直になれなかったんだって。

花子さんの心の中では、こんな葛藤があったんです。「太郎さんとお話しするのは楽しい。でも、亡くなった夫に悪い気がする。それに、周りの人たちは私のことをどう見るだろう。不謹慎だって思われるかもしれない。孫たちに何て説明すればいいの。いっそ、何も感じないふりをしていた方が楽かもしれない」って。

でも、娘さんは優しく言ってくれたそうです。「お母さん、お父さんだってお母さんが幸せになることを望んでると思うよ。それに、お母さんにはお母さんの人生があるんだから、素直に生きていいんじゃないかな」って。

この言葉に背中を押されて、花子さんは少しずつ変わっていきました。まず、太郎さんに普通に挨拶することから始めたんです。「おはようございます」って笑顔で。たったそれだけのことなのに、最初はドキドキして、顔が赤くなったそうです。でも、太郎さんが嬉しそうに「おはようございます」って返してくれて、ちょっと嬉しかった。

次に、太郎さんが歌った後に「いい歌声ですね」って褒めてみた。太郎さん、照れくさそうに「ありがとうございます。花子さんの歌も素敵ですよ」って返してくれて、会話が弾むようになりました。それから、お茶会でも少しずつ近くに座るようになって、園芸の話を聞かせてもらうようになった。

半年後、太郎さんから「今度、一緒にバラ園に行きませんか」って誘われたそうです。花子さん、最初は「え、いいんでしょうか」って戸惑ったけど、娘さんの言葉を思い出して「はい、ぜひ」って答えたんです。

今では、花子さんと太郎さんは月に数回、一緒に美術館や公園に出かける仲になっています。お互いに配偶者を亡くした経験があるからこそ、相手の気持ちがよくわかる。無理に再婚とか、そういう形にこだわらず、ただ一緒にいて楽しい時間を過ごす。それが今の二人にとって一番心地いい関係なんだそうです。

花子さんは今、こう言っています。「あのとき娘に背中を押されて本当に良かった。もし冷たい態度を続けていたら、太郎さんとの素敵な時間を逃していたと思う。人生の残り時間は限られてるんだから、素直に生きなきゃもったいないわよね」って。

もう一つ、別の体験談もお話しします。今度は75歳の男性、正夫さんのケース。正夫さんは10年前に熟年離婚を経験されて、ずっと一人暮らしをしていました。子どもたちとは適度な距離を保って、趣味の囲碁や散歩を楽しむ日々。寂しくはないけど、どこか物足りない感じがあったそうです。

そんな正夫さんが通う地域のコミュニティセンターに、新しく参加してきた女性がいました。和子さん、68歳。離婚後ずっと働いていて、最近定年退職したので地域活動に参加し始めたんだそうです。

正夫さん、和子さんのことが気になって仕方なかったんです。明るくて活発で、みんなに優しい。囲碁は初心者だけど、一生懸命学ぼうとする姿勢が素敵だなって思った。でも、正夫さん、和子さんに対してなぜか高圧的な態度を取ってしまったんです。

囲碁を教えるときも「そうじゃない、もっと考えなきゃ」って厳しく言ったり、和子さんが何か提案しても「それは無理だな」って否定的な返事をしたり。周りの人たちからは「正夫さん、和子さんに厳しすぎるんじゃない?」って言われることもありました。

正夫さん自身、なぜそんな態度を取るのかわからなかったそうです。内心では和子さんと仲良くなりたいのに、言葉が出るときには冷たくなってしまう。ある日、古い友人に「お前、和子さんのこと好きなんだろ?素直になれよ」って言われて、正夫さん、ついにハッと気づいたんです。

正夫さんの心の中には、こんな思いがあったそうです。「離婚して子どもたちに迷惑かけた。今更恋愛なんて、子どもたちに何て思われるか。それに、もう75歳だ。今更女性に好意を持つなんて、おかしいんじゃないか。和子さんは明るくて素敵な人だ。自分なんかが近づいても迷惑だろう。だったら、距離を置いた方がいい。いや、でも本当は仲良くなりたい」って。

この葛藤が、高圧的な態度という形で表れていたんですね。好きだからこそ、傷つきたくないから、先に距離を作ってしまう。これがまさに反動形成なんです。

友人に指摘されて自分の気持ちに気づいた正夫さんは、まず自分の態度を変えることから始めました。和子さんに厳しく言いそうになったとき、一度深呼吸して、優しい言い方に変える練習をしたんです。「そうじゃない」じゃなくて「こういう考え方もありますよ」って。

最初は照れくさくて、自分でも変な感じがしたそうです。でも、和子さんの表情が明るくなるのを見て、「これでいいんだ」って思えるようになった。それから、和子さんが持ってきたお菓子を「美味しいですね」って素直に褒めてみたり、「囲碁、上手になりましたね」って認めてあげたり。

すると、和子さんも正夫さんに対して心を開いてくれるようになりました。「正夫さん、最近優しくなりましたね」って笑顔で言われて、正夫さん、照れくさかったけど嬉しかったそうです。

ある日、コミュニティセンターの帰り道、正夫さんは勇気を出して和子さんに声をかけました。「あの、もしよかったら、今度一緒にお茶でもどうですか」って。和子さんは少し驚いた様子でしたが、「いいですよ。ぜひお願いします」って答えてくれたんです。

お茶を飲みながら、正夫さんは正直に話しました。「実は、和子さんのことが気になってたんです。でも、どう接していいかわからなくて、つい厳しい態度を取ってしまって。ごめんなさい」って。和子さんは優しく笑って「気づいてましたよ。でも、正夫さんが変わろうとしてくれてるのもわかってました。嬉しかったです」って言ってくれたそうです。

今では、正夫さんと和子さんは週に一度、一緒に散歩に行ったり、お茶を飲んだりする仲になっています。お互いに一人の時間も大切にしながら、でも一緒にいる時間も楽しむ。そんな大人の関係を築いているんです。

ここで、ちょっと面白いエピソードを挟ませてください。ある地域の老人会で、恋愛に関するアンケートを取ったことがあったそうなんです。60代以上の方々に「今でも恋愛感情を持つことはありますか」って聞いたら、なんと6割以上の方が「はい」って答えたんだそうです。でも、「その気持ちを相手に伝えたことがありますか」って聞いたら、「はい」って答えたのはわずか2割だけ。

つまり、多くの方が気持ちはあるけど、表現できてないってことなんですよね。その理由を聞いたら、「恥ずかしい」「年齢的に適切じゃないと思う」「周りの目が気になる」「今更面倒なことになりたくない」という答えが多かったそうです。

でも、会の幹事さんが面白いことを言ってました。「人生100年時代って言われてるのに、60代や70代で恋愛を諦めるなんてもったいない。まだまだ30年、40年あるんですよ。その時間を素直に、楽しく生きた方が絶対にいいじゃないですか」って。本当にその通りだと思いませんか。

さて、では具体的に、シニア世代が反動形成を克服して、素直な気持ちを表現できるようになるにはどうすればいいのか、お話ししていきます。

まず一番大切なのは、自分の気持ちを認めることです。「この歳で恋愛感情を持つなんて」って否定するんじゃなくて、「そうか、私はあの人のことが気になってるんだな」って素直に認める。これが第一歩なんです。

日記をつけるのもいいですよね。毎日じゃなくてもいいから、気持ちを書き出してみる。「今日、あの人と話して嬉しかった」「あの人の笑顔が素敵だった」「でも、素直に話せなくて自己嫌悪」とか。書くことで、自分の気持ちが整理されていきます。

次に、過去の自分を許すことも大事です。配偶者を亡くされた方なら、「新しい人を好きになっても、亡くなった人への愛情は変わらない」って理解すること。離婚された方なら、「過去は過去、これからの人生を楽しんでいい」って自分に許可を出すこと。

実は、多くの心理カウンセラーが言ってることなんですが、亡くなった配偶者は残された人の幸せを願ってるものだそうです。「私が楽しんでたら、亡くなった夫が寂しがるかも」じゃなくて、「私が幸せなら、天国の夫も喜んでくれる」って考えた方が、きっと本当の気持ちに近いんじゃないでしょうか。

それから、周りの目を気にしすぎないことも大切です。確かに、子どもや孫、友人たちの反応は気になりますよね。でも、意外と周りは理解してくれることが多いんです。むしろ、「お母さん、楽しそうで良かった」「おじいちゃん、イキイキしてるね」って喜んでくれることも多いんですよ。

もし周りが理解してくれなくても、最終的にはあなたの人生です。誰かの許可を得なくても、あなたには幸せになる権利がある。このことを忘れないでください。

小さな行動から始めることも効果的です。いきなり告白とか、そういう大げさなことじゃなくて、まずは挨拶から。笑顔で「おはようございます」って言うだけでもいいんです。それができたら、次は「今日はいい天気ですね」って一言添えてみる。そうやって少しずつ、素直なコミュニケーションを増やしていく。

相手の良いところを褒めるのもいいですね。「その服、お似合いですね」「今日の料理、美味しかったです」とか。シニア世代だからこそ、褒め言葉には重みがあります。若い人の社交辞令とは違って、本心から言ってるって伝わりやすいんです。

もし可能なら、信頼できる友人や家族に相談してみるのも手です。自分一人で悩んでると、どんどん頭の中でこんがらがってしまいます。でも、誰かに話すことで「そんなに深刻に考えなくてもいいんじゃない?」って気づけることもあるんです。

それに、友人が応援してくれると、勇気が出ますよね。「次のサークルのとき、一緒にあの人に話しかけてみよう」とか、「もし緊張したら、私がそばにいるから大丈夫」とか、そういうサポートがあるだけで全然違います。

また、新しい趣味やコミュニティに参加してみるのもいいかもしれません。今までと違う環境なら、新しい自分になれる気がしませんか。「ここでは、素直な自分でいよう」って決めて参加すれば、反動形成の癖から抜け出しやすくなります。

ただし、焦りは禁物です。若い人の恋愛とは違って、シニアの恋愛はゆっくりでいいんです。急いで結果を出そうとしなくても、一緒にいて楽しい時間を積み重ねていく。それだけで十分価値があるんです。

相手の反応を恐れすぎないことも大事です。もし素直な気持ちを伝えて、相手が同じように思ってくれなかったとしても、それで人生が終わるわけじゃありません。むしろ、素直になれた自分を褒めてあげてください。勇気を出したことに意味があるんです。

そして、もし相手も同じ気持ちだったら、それは素晴らしいことですよね。人生の後半に、こんな素敵な出会いがあるなんて。お互いに人生経験を積んだ大人だからこそ、相手を思いやりながら、でも自分の気持ちも大切にできる。そんな成熟した関係を築けるはずです。