シニアからのはるめくせかい

年齢を重ねた今だからこそときめきはるめく!毎日が楽しくなるシニアのための悠々自適生活応援マガジンです

60代からの夫婦関係再構築、小さな一歩で始める第二の人生

長年連れ添ってきたパートナーとの関係、最近はどうでしょうか。朝起きて顔を合わせても、特に話すこともなく一日が過ぎていく。そんな日々が続いていませんか。

定年退職を迎えたり、子育てがひと段落したりすると、ふと気づくんですよね。夫婦二人きりの時間が増えたはずなのに、なぜか会話が減っている。一緒にいても、それぞれがテレビを見たり、新聞を読んだり、スマホを眺めたり。そんな毎日に、少し寂しさを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

でも、大丈夫です。何十年も一緒に歩んできた関係だからこそ、ちょっとしたきっかけで、また新しい関係を築いていけるんです。今日は、シニア世代の夫婦関係を見つめ直し、これからの人生をもっと豊かに過ごすためのヒントをお話しさせていただきますね。

なぜ長年連れ添った夫婦ほど会話が減るのか

まず、多くの方が感じている「会話の減少」について考えてみましょう。

若い頃は、あんなに話すことがあったのに。デートの時は時間が足りないくらい話したのに。結婚してからも、子育てのこと、家のこと、将来のこと、話題には事欠かなかったのに。

それが今は、「ご飯できたよ」「今日は寒いね」「明日病院行くから」程度の事務的な会話だけ。そんな状態に心当たりはありませんか。

これは決して珍しいことではありません。むしろ、長年一緒にいるからこその自然な変化なんです。お互いのことがわかりすぎてしまって、「言わなくてもわかるだろう」と思ってしまう。生活のパターンが決まってしまって、新しい話題が生まれにくい。子どもや仕事という共通の話題がなくなってしまった。

でもね、ここで立ち止まって考えてみてください。これからの人生、あと20年、30年と続くかもしれない。その長い時間を、ただ静かに過ごすだけでいいのでしょうか。

私たちシニア世代には、若い人にはない強みがあります。それは、これまで二人で乗り越えてきた歴史があること。その歴史を土台に、新しい関係を築いていけるんです。

退職後に訪れた夫婦の危機と再生

68歳の男性のお話をさせていただきますね。

彼は大手企業で働き、定年まで勤め上げました。退職したら、これまで忙しくて行けなかった旅行にでも行こうかと楽しみにしていたんです。

ところが、いざ退職してみると、妻の反応が予想と違いました。「旅行? 私には私の予定があるのよ」と冷たい返事。彼は驚きました。妻も自分と同じように、二人で過ごす時間を楽しみにしていると思っていたのに。

実は、彼が仕事に没頭している間、妻は自分の生活を築いていたんです。趣味の教室、友人とのランチ、ボランティア活動。夫の世話はきちんとしていたけれど、心の中では「私には私の人生がある」と思うようになっていたんですね。

最初の数ヶ月は気まずい雰囲気が続きました。彼は家で何をしていいかわからず、妻は急に家にいる夫にストレスを感じる。「こんなはずじゃなかった」とお互いが思っていたそうです。

転機が訪れたのは、ある朝のことでした。彼が「今日はどこか行くの?」と聞いた時、妻が「陶芸教室よ。あなたも来る?」と冗談半分で言ったんです。彼は迷いましたが、「行ってみようかな」と答えました。

陶芸教室で、彼は初めて妻の別の顔を見たんです。教室の仲間と笑いながら話す妻。真剣に作品を作る妻。そして、彼が不器用に土をこねている姿を見て、優しく教えてくれる妻。

「俺、妻のこと何も知らなかったんだな」と思ったそうです。同時に、妻も「この人、新しいことに挑戦する姿、なんだか若い頃に戻ったみたいね」と感じたそうです。

それから、二人は週に一度、一緒に陶芸教室に通うようになりました。家ではあまり話さなくても、教室の行き帰りには自然と会話が生まれる。「今日の先生の話、面白かったね」「次は何を作ろうか」と。

小さな一歩から始まった二人の関係修復。今では、それぞれの趣味も尊重しながら、共通の楽しみも持てるようになったそうです。

毎日3分間の「おしゃべりタイム」が変えた関係

次は、72歳の女性のお話です。

彼女のご主人は、もともと無口な方でした。若い頃から言葉数は少なかったけれど、それでも必要なことは話してくれたし、優しい人だと思っていました。

でも、60代後半になって、ご主人の無口さがさらに進んだような気がしたんです。一日中、ほとんど会話がない日もある。心配になって「どこか具合悪いの?」と聞いても「別に」としか言わない。

彼女は不安になりました。このまま二人の間に壁ができてしまうんじゃないか。もしかして、自分のことを嫌いになったんじゃないか。そんな思いで眠れない夜もあったそうです。

ある日、お友達に相談したら、「毎晩寝る前に、たった3分だけでいいから、二人で向き合って話す時間を作ってみたら?」とアドバイスをもらったんです。

最初は恥ずかしかったそうです。何十年も一緒にいるのに、改まって向き合うなんて。でも、勇気を出して、ある晩「あなた、ちょっとお話ししましょう」と声をかけました。

ご主人は戸惑いながらも、テレビを消して座ってくれました。「今日あった小さな出来事を、一つだけ話し合いましょう」と彼女が提案すると、ご主人は少し考えて「今日、庭のバラが咲いてたよ」と言ったんです。

たったそれだけの言葉でしたが、彼女の心に温かいものが広がりました。「そう、見てくれてたのね。ありがとう」と答えました。

それから毎晩、寝る前の3分間を「おしゃべりタイム」にしました。最初はぎこちなかったけれど、1週間、2週間と続けるうちに、不思議なことが起きたんです。

ご主人が、昼間に「これ、今夜話そう」と思うことができ始めたんですね。散歩中に見つけた四つ葉のクローバー、スーパーで試食したお菓子の味、昔住んでいた街のニュース。そんな他愛もないことを「夜の3分間」のために覚えておくようになったんです。

そして彼女も、ご主人に話したいことを意識するようになりました。孫から来たメールの内容、読んだ本の感想、テレビで見た料理。

3ヶ月経った頃、彼女はハッと気づきました。いつの間にか、3分間のおしゃべりが10分、15分になっていたんです。そして、夜だけじゃなく、朝ごはんの時も、散歩の時も、自然と会話が増えていました。

「たった3分から始めたのに、こんなに変わるなんて」と彼女は目を潤ませて話してくれました。ご主人も「毎晩、何を話そうかって考える時間が楽しいんだよ」と、照れくさそうに笑ったそうです。

小さな「ありがとう」の積み重ねが心を開く

65歳のご夫婦のエピソードも印象的です。

奥様は長年、ご主人の世話をしてきました。毎日の食事作り、洗濯、掃除。当たり前のことを当たり前にやってきた。でも、ある日ふと思ったんです。「この人、私に感謝してるのかしら」と。

「ありがとう」という言葉を最後に聞いたのは、いつだったか思い出せない。別に感謝されたくてやってるわけじゃないけれど、一言あってもいいんじゃないか。そんな思いが、少しずつ不満として積もっていったんですね。

一方、ご主人も思うところがあったそうです。「妻は家のことを完璧にやってくれる。だから、自分は外で仕事を頑張ってきた。それが自分の役割だと思っていた。でも、妻は俺の仕事に感謝してくれてるのかな」と。

二人とも、相手が自分のことを当たり前だと思っているんじゃないかと感じていたんです。

ある時、娘さんが帰省して、両親の様子を見て心配になりました。なんとなく、会話に温かみがない。それで、面白い提案をしたんです。

「お父さんとお母さん、冷蔵庫に貼る小さなホワイトボード買ったから、毎日相手にありがとうって思ったこと、一つずつ書いてみて」と。

最初は二人とも「今さらそんなこと恥ずかしい」と言いましたが、娘さんが「私のためだと思ってやってみて」と頼むので、渋々始めました。

初日、奥様は「美味しい味噌汁をありがとう」と書きました。ご主人は「庭の草むしりをありがとう」と書きました。

二日目、三日目と続けるうちに、不思議な変化が起きました。書くために、相手がしてくれたことを意識するようになったんです。

奥様は、ご主人が毎朝新聞を取ってきてくれること、ゴミを出してくれること、自分がうっかり忘れた傘を持ってきてくれたこと。そんな小さなことに気づくようになりました。

ご主人も、毎日きちんとアイロンがかかったシャツが用意されていること、自分の好みに合わせた食事を作ってくれること、体調を気遣ってくれることに気づきました。

1ヶ月経った頃には、ホワイトボードはありがとうのメッセージでいっぱいになっていました。そして、もっと大切なことが起きました。

二人とも、書くだけじゃなくて、直接「ありがとう」と言うようになったんです。朝ごはんの後に「ご馳走様、美味しかったよ」と。洗濯物をたたんだ後に「いつもありがとう」と。

娘さんが次に帰省した時、両親の笑顔を見て涙が出たそうです。「お父さんとお母さん、仲良くなったね」と言うと、二人とも照れくさそうに笑いながら「感謝を伝えるって、こんなに大事なことだったんだね」と言ったそうです。

ちょっと面白い話:夫婦で始めた「方言の旅」

ここで少し、クスッと笑えるエピソードを。

70歳のご夫婦が、老後の楽しみとして「方言マスター」を始めたんです。きっかけは、テレビで見た方言番組。「面白いね」と二人で笑っていたら、「私たち、若い頃は二人とも標準語で話してたけど、お互いの方言で話してみたら面白いんじゃない?」と奥様が提案したそうです。

ご主人は九州出身、奥様は東北出身。結婚してからはずっと東京で暮らしていたので、方言を使うことはほとんどありませんでした。

でも、あえて方言で話してみることにしたんです。最初は「おはよう」を方言で言うことから始めました。ご主人は「おはようございます」を九州弁で、奥様は東北弁で。

これが意外と難しくて、二人とも何十年も使ってなかったから、忘れちゃってるんですよね。それで、実家の親戚に電話して「〇〇って方言でなんて言うの?」と聞いたり、方言の本を買ってきたり。

今では、朝は九州弁の日、夜は東北弁の日と決めて、方言タイムを楽しんでいるそうです。お互いの方言がごちゃまぜになって、変な言葉遣いになることもあって、それがまた笑いを生むんだとか。

「方言で話すと、なんだか新鮮な気持ちになるんですよ。若い頃に戻ったみたいで」と笑顔で話してくれました。こんな楽しみ方もあるんですね。

健康を通じて深まった絆

次は、病気をきっかけに関係が深まったご夫婦のお話です。

74歳の男性が、軽い脳梗塞で入院しました。幸い大事には至らず、リハビリを経て退院できましたが、以前のようにスムーズに体が動かなくなってしまいました。

それまで頑固で「人の世話になりたくない」というタイプだった彼は、妻に助けてもらうことに強い抵抗を感じました。着替えを手伝ってもらう時も、食事の補助をしてもらう時も、「自分でできる」と意地を張っていたんです。

でも、ある朝のことでした。靴下を履こうとして、どうしても上手くいかない。何度やってもダメで、イライラして靴下を投げ出してしまいました。

そこに妻が来て、何も言わずに靴下を拾い、そっと履かせてくれました。いつもなら「自分でできる」と言い返すところでしたが、その時の妻の優しい表情を見て、何か言葉にならない感情が込み上げてきたんです。

「ありがとう」と、小さな声で言いました。すると妻が「こちらこそ。あなたが今まで私を守ってくれたんだから、今度は私の番よ」と言ったんです。

その言葉を聞いた時、彼は涙が出そうになったそうです。50年近く一緒にいたけれど、こんなに妻の愛情を感じたことはなかったと。

それから、彼は素直に助けを求められるようになりました。そして、妻も彼の頑張りを認めながら、必要な時だけサポートするようになりました。

リハビリの時も、妻が付き添ってくれました。一緒に散歩をしながら、「ここまで歩けるようになったね」「今日は昨日より調子がいいね」と声をかけてくれる。

半年後、かなり回復した彼は、妻に言いました。「病気になってよかったとは言えないけど、おかげで大切なことに気づけた。君がどれだけ俺を愛してくれてるか、俺が君をどれだけ必要としてるか」と。

今では二人で毎朝散歩をして、健康管理を一緒にしています。「これからの人生、二人で支え合っていこうね」というのが、二人の合言葉になったそうです。

新しい共通の趣味が開いた扉

69歳のご夫婦は、定年後に「何か二人で楽しめることを」と考えて、ダンス教室に通い始めました。

最初は奥様の提案でした。ご主人は「今さらダンスなんて」と乗り気ではありませんでしたが、奥様の「若い頃、一度も一緒にダンスしたことないよね。一度くらいやってみましょうよ」という言葉に、渋々同意しました。

初めてのレッスンは、二人とも緊張でガチガチ。周りは同じくらいの年代の方ばかりでしたが、みんな楽しそうに踊っている。先生が「まずは相手の手を取って、音楽に合わせて歩いてみましょう」と言いました。

何十年ぶりかに、二人は手を繋ぎました。その瞬間、なんだか恥ずかしいような、でも懐かしいような、不思議な気持ちになったそうです。

ダンスを習い始めて気づいたことがあります。ダンスって、お互いを信頼しないとできないんですよね。相手の動きを感じ取って、自分も動く。二人の息が合わないと、ステップが踏めない。

最初は何度も足を踏んだり、ぶつかったりしました。でも、練習を重ねるうちに、だんだん息が合ってくる。「ここでターンするよ」という合図が、言葉を交わさなくても分かるようになってきたんです。

ご主人が後から語ったところによると、「妻と一緒に何かを作り上げていく感覚って、久しぶりだった。子育ての時以来かもしれない」とのこと。

ダンス教室の後は、二人でお茶を飲みながら「今日のステップ、難しかったね」「でも、だんだん上手くなってきたよね」と話すのが楽しみになりました。

1年経った頃、教室の発表会に出ることになりました。人前で踊るなんて、二人とも生まれて初めて。緊張して、練習の時は何度も「やっぱりやめようか」と言い合いました。

でも、本番の日、ステージで音楽が流れ始めた時、二人は自然と笑顔になれたそうです。完璧ではなかったけれど、二人で最後まで踊り切りました。

ステージを降りた時、ご主人が「ありがとう、楽しかったよ」と言い、奥様も「私もよ。あなたと一緒でよかった」と答えました。観客席から孫たちが「おじいちゃん、おばあちゃん、かっこよかった!」と拍手してくれました。

それ以来、ダンスは二人の大切な時間になっています。「これからも、二人で色んなことに挑戦していきたいね」と話しているそうです。

会話を取り戻す小さな工夫

具体的に、今日からできることをいくつかご紹介しますね。

まず、朝のあいさつに一言プラスしてみてください。「おはよう」だけじゃなくて、「おはよう、よく眠れた?」とか「おはよう、今日はいい天気だね」とか。たったそれだけで、会話のきっかけができます。

食事の時は、テレビを消してみる。最初は気まずいかもしれませんが、「この料理、美味しいね」「今日はどこか行く?」など、小さな会話が生まれやすくなります。

週に一度でいいので、二人で散歩に出かけてみてください。歩きながらだと、向き合って話すより気楽に会話ができるんです。「あの花、きれいだね」「あのお店、新しくできたのかな」と、自然と話題が見つかります。

昔の写真を一緒に見るのもおすすめです。結婚式の写真、子どもが小さかった頃の写真、旅行の写真。「これ、どこだったっけ」「あの時は大変だったね」と、思い出話に花が咲きます。

そして、相手の話を否定せずに聞くこと。「それは違う」「前にも言ったけど」という言葉は飲み込んで、まずは「そうなんだ」「へえ、知らなかった」と受け止めてみてください。

感謝の気持ちを言葉にすることも大切です。「いつもありがとう」は照れくさくても、「今日のご飯、美味しかったよ」「洗濯してくれてありがとう」なら言いやすいかもしれません。