なぜ主婦が友達がいなくなってしまったのか
まず、なぜこんなことになってしまったのか、少し振り返ってみましょう。自分を責める必要は全くありませんよ。これには、ちゃんとした理由があるんです。
考えてみてください。私たちの世代って、ずっと家族中心で生きてきましたよね。子育てに必死だった頃は、確かにママ友もいたかもしれません。でも、あれは「お友達」というより「子供を通じた知り合い」だったんです。子供が大きくなれば、自然と疎遠になってしまう。それって、当たり前のことなんですよ。
それに、ご主人のお仕事の都合で引っ越しを経験された方も多いのではないでしょうか。せっかく築いた人間関係が、引っ越しのたびにリセットされて。何度も繰り返すうちに、「もういいや、新しい友達を作るのは疲れた」って思ってしまったとしても、それは無理もないことです。
私の知り合いの方でね、ご主人の転勤で七回も引っ越しをされた方がいらっしゃるんです。最初の頃は、新しい土地でも積極的に地域の集まりに顔を出していたそうなんですけど、四回目あたりからもう心が折れてしまって。「どうせまた引っ越すんだから」って、人と深く関わるのが怖くなってしまったんですって。今は落ち着いた場所に住んでいらっしゃるんですけど、その時の癖が抜けなくて、なかなか新しい関係を築けないでいるそうです。
でもね、その方、最近少しずつ変わってきているんですよ。そのお話は後でまたしますね。
私たちシニア世代の特有の寂しさ
五十代、六十代、七十代と年齢を重ねていくと、また違った寂しさが出てきますよね。
五十代後半から六十代の方は、お子さんが独立して時間ができたのに、かつてのママ友関係は自然消滅。ご主人はまだ現役でお仕事をされているから、日中は一人。地域とのつながりも薄くて、新しい人間関係を築くきっかけがない。そんな状態じゃないでしょうか。
七十代以上の方になると、もっと深刻な状況もあります。体力が落ちて外出するのが億劫になったり、昔の友人が病気になったり、遠くに引っ越してしまったり、あるいは亡くなってしまったり。気づけば、本当に話せる人がいなくなってしまっている。
ある七十歳を過ぎた方が、こんなことを話してくださいました。「スーパーのレジで店員さんに『今日は寒いですね』って言われただけで、なんだか涙が出そうになっちゃったの」って。一日中、誰とも言葉を交わさない日が続いていたそうなんです。
その気持ち、よくわかります。人って、やっぱり誰かと言葉を交わしたい生き物なんですよね。
孤独が心と体に与える影響
実はね、友達がいない、人とのつながりがないっていうのは、ただ寂しいだけじゃないんです。私たちの心と体に、いろんな影響を与えてしまうんですよ。
まず、気持ちが沈みがちになります。誰とも話さない日が続くと、なんとなく憂鬱になったり、自分は価値がない人間なんじゃないかって思い込んでしまったり。それに、外に出る意欲も減ってきて、ますます家に閉じこもってしまう。そんな悪循環に陥りやすいんです。
健康にも影響が出てきます。人と話さないと、頭を使う機会が減って、物忘れが増えたり、考える力が衰えたりすることもあるんです。それに、外出しなくなると運動不足にもなりますよね。
でも、一番つらいのは、自分に自信が持てなくなることかもしれません。「私なんかと友達になりたい人なんているのかしら」「今さら新しい人間関係なんて無理」って思い込んでしまう。
大丈夫ですよ。そんな風に思う必要はないんです。あなたには、まだまだたくさんの魅力があるんですから。
ご主人との関係にも影響が
友達がいないと、どうしてもご主人に頼りすぎてしまうことってありませんか?
「主人が私の唯一の話し相手」って状態になると、ご主人の何気ない一言に傷ついたり、ご主人が自分の話を聞いてくれないと怒りを感じたり。お互いにとって、ちょっとしんどい関係になってしまうことがあるんです。
ご主人には趣味の仲間や会社の同僚がいるのに、自分には誰もいない。そう思うと、なんだか不公平に感じたり、ご主人が外で誰かと楽しそうにしていると聞くと、嫉妬心が湧いてきたり。
六十代半ばの方が、こんなお話をしてくださいました。ご主人が定年退職して、二人きりの生活が始まったとき、会話のネタが尽きてしまったんですって。毎日顔を合わせていても、話すことがなくて、気まずい沈黙が続く。このままじゃいけないと思って、思い切ってご夫婦で社交ダンスを始めたそうなんです。
そうしたら、ダンス教室で自然と会話が生まれて、共通の知り合いもできて、ご夫婦の関係も以前よりずっと良くなったそうですよ。「主人との関係を良くするには、実は主人以外の人とのつながりも必要だったんだって気づきました」っておっしゃっていました。
これって、とても大切な発見ですよね。
実際にあった心温まるお話
ここで、勇気を出して一歩踏み出した方々のお話をいくつか紹介させてくださいね。
六十歳を過ぎた元教師の方のお話です。お子さんが独立して、ご主人はまだお仕事で忙しい毎日。退職と同時に学校の同僚や保護者との関係も薄れてしまって、一日中誰とも話さない日が続いたそうです。
そんなある日、スーパーで店員さんに声をかけられただけで涙が出そうになって、「これはいけない」と思ったんですって。それで、ボランティアで図書館の朗読会に参加し始めたそうなんです。最初は緊張したけど、同じ世代の女性たちと少しずつ話すようになって、今ではゆるやかなつながりができているそうですよ。
「完璧な友達じゃなくていいんだって気づいたの。月に一回、朗読会で顔を合わせて、ちょっとお茶する関係。それだけで十分幸せなんです」っておっしゃっていました。
もう一つ、七十代前半の方のお話。この方は、ずっと専業主婦として、ご主人とお子さん中心の人生を送ってこられました。女友達という存在がほとんどいなかったそうです。
ご主人が亡くなられてから、その空虚さに初めて気づいたんですって。買い物に行っても、食事をしても、すべてが一人。お子さんたちはそれぞれご家庭を持っていて、頻繁には会えない。
地域の高齢者サロンに通い始めたとき、最初は「こんな歳になって新しい友人を作るなんて」って抵抗があったそうです。でも、そこで出会った女性たちも似たような境遇で、逆に打ち解けるのが早かったんですって。
「遅すぎるなんてことはないのね。七十歳でも、新しい友達はできるんだって分かって、なんだか人生が明るくなりました」って、とても嬉しそうにお話しくださいました。
新しい人とのつながりを見つける方法
さて、「でも、どうやって新しい人と知り合えばいいの?」って思いますよね。大丈夫、ちゃんと方法はありますよ。無理せず、できそうなことから始めてみましょう。
まず一番おすすめなのは、何か興味のあることを習いに行くことです。料理教室、手芸、園芸、絵画、書道、何でもいいんです。大切なのは、「これ、ちょっと面白そうかも」って思えるものを選ぶこと。
公民館や地域センターを覗いてみてください。シニア向けの講座がたくさんありますよ。参加費も安いものが多いですし、同じような年代の方が集まっているから、話しやすいんです。
ボランティア活動もいいですよね。図書館、博物館、地域のイベント、子ども食堂のお手伝い。何かのために役立っているって感じられると、自分の存在意義も感じられます。それに、ボランティアに来る方って、やさしい人が多いんですよ。
最近は、スマートフォンやパソコンを使った交流も増えています。「私、そういうの苦手で」って思うかもしれませんね。でも、地域の情報アプリとか、シニア向けのSNSなら、意外と簡単に使えますよ。オンラインの読書会とか、趣味の集まりに参加してみるのもいいかもしれません。
ちょっと面白いエピソードを一つ。私の知り合いの七十代の方が、お孫さんに教えてもらってLINEを始めたんです。最初は文字を打つのも一苦労だったんですけど、地域の仲間とグループを作って、毎朝「おはよう」のスタンプを送り合うようになったんですって。それだけで、なんだか誰かとつながっている感じがして嬉しいそうですよ。そのうち、そのグループのメンバーで実際に会ってお茶するようになって、今では月に一回のお茶会が楽しみなんですって。デジタルも悪くないものですよね。
一歩を踏み出すのが怖いあなたへ
「でも、やっぱり怖い」「失敗したらどうしよう」って思いますよね。その気持ち、本当によくわかります。
でもね、考えてみてください。失敗って、何でしょうか?新しい場所に行って、誰とも話せなかった?それは失敗じゃないですよ。行ったこと自体が、大きな一歩なんです。
最初から気の合う友達を見つけようとしなくていいんです。まずは、「顔見知り」になるだけでいい。「あ、またこの方来てる」って思われるだけでいい。挨拶を交わすだけでいい。
それを続けているうちに、自然と「先週はどうでしたか?」なんて言葉が出てくるようになります。そして、いつの間にか「今度お茶でも」って話になる。友達って、そうやって少しずつできていくものなんですよ。
完璧な友達なんていないんです。価値観が全部一緒じゃなくてもいい。たまに会って、ちょっと話す。それだけの関係でも、十分に価値があるんです。
私たちの世代だからこその強み
実はね、私たちシニア世代って、若い人たちにはない強みを持っているんですよ。
まず、時間があります。お子さんの世話に追われることもないし、仕事で忙しいわけでもない。自分のために使える時間がたっぷりあるんです。
それから、人生経験が豊富です。いろんなことを経験してきたからこそ、相手の気持ちに共感できる。相手を受け入れる心の余裕がある。これって、とても大切なことなんですよ。
そして、もう見栄を張る必要がないんです。若い頃は、「こう見られたい」「こう思われたい」って気にしていましたよね。でも今は、ありのままの自分でいられる。それって、とても楽だし、本当の関係を築きやすいんです。
六十代半ばの方が、こんなことをおっしゃっていました。「若い頃は、友達の前でもいい格好しようとしてた。でも今は、『実は私、こういうの苦手なのよ』とか『わからないから教えて』って素直に言えるの。そうしたら、相手も『実は私も』って言ってくれて、そこから仲良くなれるのよね」って。
素敵ですよね。ありのままの自分を出せるって、本当の友達を作る近道なんです。
小さな一歩から始めましょう
さて、ここまで読んでくださって、「ちょっとやってみようかな」って思えましたか?思えなくても大丈夫ですよ。焦る必要はありません。
でも、もし少しでも「やってみようかな」って気持ちが芽生えたなら、本当に小さなことから始めてみませんか?
例えば、明日、散歩に出かけたとき、すれ違う人に「こんにちは」って挨拶してみる。たったそれだけでいいんです。
近所のスーパーで、いつも会うレジの方に「いつもありがとうございます」って声をかけてみる。これも立派な一歩です。
地域の掲示板を見て、「面白そうだな」って思うイベントの情報をメモしておく。実際に行くかどうかは後で決めればいい。でも、情報を集めること自体が、前に進んでいる証拠なんですよ。
一日一回、家族以外の人と言葉を交わす。これを目標にしてみてください。最初は難しく感じるかもしれないけど、慣れてくると自然にできるようになります。
段階を踏んで進んでいきましょう
もう少し具体的にお話ししますね。新しい人間関係を築くには、段階があるんです。
まず第一段階は、「今の自分を受け入れる」こと。「友達がいない自分」を責めないでください。どうしてこうなったのか、客観的に振り返ってみる。そして、「これからどうしたいか」を考える。それだけでいいんです。
第二段階は、「小さく挑戦してみる」こと。地域のイベントに「見学だけ」でいいから参加してみる。習い事の「体験コース」に申し込んでみる。図書館の催しを覗いてみる。行って、見て、「ああ、こんな感じなんだ」って知るだけでも、大きな前進なんですよ。
第三段階は、「定期的に同じ場所に行く」こと。気に入った場所があったら、週に一回、月に一回でもいいから、続けて行ってみてください。同じ顔ぶれに会うようになると、自然と親近感が湧いてきます。向こうも「あ、またいらっしゃった」って思ってくれます。
第四段階は、「自分からも働きかける」こと。いつも受け身じゃなくて、たまには「今日は暑いですね」とか「その作品、素敵ですね」とか、自分から声をかけてみる。最初は勇気がいるけど、慣れてくると意外と楽しいものですよ。
失敗したっていいんです
ここで、とても大切なことをお伝えしますね。失敗を怖がらないでください。
新しい場所に行って、誰とも話せなかった。それは失敗じゃありません。行ったこと自体が成功なんです。
声をかけたけど、そっけない返事だった。それもあなたのせいじゃないんです。相手もたまたま機嫌が悪かったのかもしれないし、人見知りだったのかもしれない。
何度か通ったけど、馴染めなくてやめてしまった。それも全然構いません。合わない場所はあります。また別の場所を探せばいいだけのことです。
六十代後半の方が、こんなことをおっしゃっていました。「私ね、実は三つの習い事を途中でやめたのよ。最初の教室は雰囲気が合わなくて、二つ目は先生が厳しすぎて、三つ目は内容が難しすぎて。でも、四つ目の絵手紙教室で、ようやく居心地の良い場所を見つけたの。諦めなくて良かったって思ってるわ」って。
三回失敗して、四回目で成功。それでいいんです。むしろ、四回も挑戦したこと自体が素晴らしいんですよ。
人生の第二章を、自分らしく
最後に、一番大切なことをお伝えしたいんです。
「友達がいない主婦」って聞くと、何だかネガティブに聞こえるかもしれません。でも、見方を変えてみましょう。
お子さんが独立して、やっと自分の時間ができた。ご主人のキャリアも安定して、落ち着いた。これって、「ようやく自分自身と向き合える時間が来た」ってことじゃないでしょうか。
今まで、家族のために頑張ってきましたよね。朝早くから夜遅くまで、家事と育児に追われて。ご主人の世話もして、お子さんの成長を見守って。本当に、本当によく頑張ってこられました。
そして今、ようやく「自分のための時間」が訪れたんです。これは、人生の転換期なんですよ。第二の人生の始まり、と言ってもいいかもしれません。
この時期をどう過ごすかで、これからの人生の質が変わってきます。家に閉じこもって孤独を感じながら過ごすこともできるし、新しいことに挑戦して、新しい出会いを楽しむこともできる。選ぶのは、あなた自身なんです。
数より質を大切に
若い頃は、友達の「数」を気にしていたかもしれません。でも、この年齢になったら、大切なのは「質」なんですよ。
十人の知り合いよりも、心を通わせられる一人の友人。月に一回でもいいから、本音で話せる相手がいる。それだけで、人生はぐっと豊かになります。
七十代の方が、こんな素敵なことをおっしゃっていました。「若い頃は、たくさん友達がいたけど、みんな表面的な付き合いだったわ。でも今、週に一回お茶する友達が一人いるんだけど、その人とは本当に何でも話せるの。これまでの人生で、こんなに心を許せる友達ができたのは初めてかもしれない」って。
何歳からでも、本当の友達はできるんですよね。むしろ、人生経験を積んだ今だからこそ、深い関係が築けるのかもしれません。