定年を迎えて、あるいはパートナーを亡くして、ふと気づいたら一人の時間が増えていませんか。子どもたちは独立して、家の中は静かで、夕食を一人で食べる日々が続いている。そんなとき、「もう一度、誰かと人生を分かち合いたい」と思う気持ち、とても自然なことなんですよ。
でも、マッチングアプリと聞くと、「若い人たちのもの」「自分には無理」って思ってしまう方も多いのではないでしょうか。
大丈夫です。今、60代、70代の方々も、たくさんマッチングアプリを使って、素敵な出会いを見つけていらっしゃいます。大切なのは、最初のメッセージ。ここさえ押さえれば、きっとあなたにも新しい人生が開けますよ。
なぜ最初のメッセージが大切なのか
私の知り合いに、68歳の男性がいます。定年退職して三年、奥様を亡くして五年が経っていました。
最初、彼はマッチングアプリに懐疑的でした。「こんな歳で、今さら恋愛なんて」って。でも、娘さんが優しく背中を押してくれたんです。「お父さん、まだまだこれからよ。一人で寂しい思いをするより、誰かと楽しい時間を過ごせたらいいじゃない」って。
彼は勇気を出して、アプリに登録しました。プロフィールには、趣味の登山の写真と、笑顔の写真を載せました。
そして、素敵な女性を見つけたんです。プロフィールには、富士山の写真が載っていて、旅行が好きだと書いてありました。
彼は迷いました。何を書けばいいんだろう。若い頃みたいに、気の利いたことが言えるだろうか。
でも、彼は正直に、丁寧に、こう書いたんです。
「マッチングありがとうございます。山田と申します。あなたの富士山のお写真に心惹かれました。私も登山が好きで、月に一度は山に出かけております。最近のおすすめのルートはどちらでしょうか?」
たった三行。でも、この三行が、彼の人生を変えました。
相手の女性は、このメッセージを読んで、安心したそうです。「丁寧で、誠実で、共通の趣味に興味を持ってくれている。この方となら、お話ししてみたい」と思ったんですね。
返信が来ました。そして、三日後、近くのカフェでお茶をすることになりました。
初めて会ったとき、二人とも緊張していました。でも、山の話をしているうちに、自然と打ち解けて、気づいたら三時間も話していたそうです。
今、二人は再婚して一年になります。毎週末、一緒に散歩に出かけて、月に一度は小旅行を楽しんでいます。
「あの最初のメッセージがなければ、今の幸せはなかった」と、彼は笑顔で言います。
最初のメッセージには、力があるんです。
シニア世代だからこその、メッセージの書き方
若い人たちのメッセージと、私たちシニア世代のメッセージは、ちょっと違います。
若い人たちは、カジュアルで軽い感じでもいいかもしれません。でも、私たちの世代は、やっぱり丁寧さと誠実さが大切なんですよね。
基本的な構造は、シンプルです。
まず、マッチングしてくれたことへのお礼。「マッチングありがとうございます」「ありがとうございます」と一言添えるだけで、印象がぐっと良くなります。
次に、相手のプロフィールに書いてあることに触れる。写真でも、趣味でも、何でもいいんです。「あなたのことに興味を持っていますよ」というサインを送るんですね。
そして最後に、答えやすい質問をひとつ。これが会話のきっかけになります。
長さは、三行から五行くらい。長すぎると読むのが大変ですし、短すぎると素っ気ない印象になってしまいます。
敬語を使うのは、基本です。最初から馴れ馴れしいのは、警戒されてしまいますからね。
65歳の女性の話を聞いてください。彼女は、ゴルフが趣味の男性を見つけました。プロフィールには、ゴルフ場での写真が載っていました。
彼女は、こんなメッセージを送りました。
「はじめまして、佐藤と申します。マッチングありがとうございます。お写真のゴルフ場、懐かしく拝見しました。私も時々プレーするのですが、ベストスコアはおいくつでしょうか?」
男性は、このメッセージを読んで嬉しかったそうです。ゴルフの話ができる人は貴重ですし、質問が具体的で答えやすかった。それに、「懐かしい」という言葉に、同世代ならではの共感を感じたんですね。
返信が来て、ゴルフの話で盛り上がりました。そして、「今度一緒にラウンドしませんか?」という誘いに繋がって、今ではお付き合いしています。
質問は、とても大切です。質問がないと、相手は何を返信していいかわからなくて、会話が続かないんですよね。
でも、質問は一つだけ。あれもこれも聞くと、尋問みたいになってしまいます。
共通点を見つける喜び
シニア世代のマッチングアプリで大切なのは、共通点を見つけることです。
私たちは、長い人生を生きてきました。いろんな経験をしてきました。だから、共通点も見つけやすいんです。
旅行が好き、散歩が好き、お茶が好き、料理が好き、孫が可愛い。そういう日常的なことでいいんです。
70歳の男性の話です。彼は、料理が好きな女性のプロフィールを見つけました。写真には、美味しそうな煮物が写っていました。
彼は、こんなメッセージを送りました。
「マッチングありがとうございます。田中と申します。お写真の煮物が本当に美味しそうで、思わずいいねを押してしまいました。家庭料理がお上手なんですね。私も定年後、料理を始めまして、今では週末の楽しみになっております。お得意のレシピを教えていただけますか?」
女性は、このメッセージを読んで、心が温かくなったそうです。自分の作った料理を褒められるのは嬉しいし、相手も料理をするということで、「話が合いそう」と思ったんですね。
返信から、レシピの話、孫の話へと広がっていきました。二回目のメッセージ交換のときに、彼は「よろしければ、お茶でもいかがでしょうか」と誘いました。
初デートは、近所のカフェ。二人とも緊張していましたが、料理の話をしているうちに、自然と笑顔になっていました。
彼は、そのとき思ったそうです。「人生の後半を、この人と一緒に過ごせたら」って。
数ヶ月後、二人は交際を始めました。今では、一緒に料理を作って、孫たちを招いて食事会を開くのが楽しみになっているそうです。
共通点は、人と人を繋ぐ架け橋なんですね。
余談ですが、シニア世代のマッチングアプリで意外と人気なのが、「ペットの話題」なんです。犬や猫の写真を載せている方も多くて、「わんちゃん、可愛いですね」「猫ちゃんは何歳ですか?」といった質問から会話が始まることも。動物好き同士って、不思議と話が弾むんですよね。私の知人は、お互いの愛犬を連れて散歩デートをして、犬同士も仲良くなって、そのまま交際に発展したそうです。
やってはいけない、最初のメッセージ
ここで、注意点もお話ししておきますね。
まず、長文は避けましょう。自分のことをたくさん書きたい気持ちはわかりますが、最初のメッセージで長々と自己紹介されると、相手は圧倒されてしまいます。
自慢話も、NGです。「昔は部長だった」「家は大きい」「お金には困らない」。そういう話は、相手を遠ざけてしまいます。
そして、いきなりデートに誘うのも、焦りすぎです。特にシニア世代は、信頼を築くのに時間をかけたい方が多いんです。まずは、メッセージで何度かやり取りして、「この人なら安心」と思ってもらってから、誘いましょう。
63歳の男性の失敗談を聞いてください。彼は、素敵な女性を見つけて、こんなメッセージを送りました。
「マッチングありがとうございます。私は元銀行員で、定年まで支店長を務めました。家は駅近の一軒家で、年金も十分あります。すぐにでも会いたいので、明日ランチはいかがですか?」
このメッセージに、返信は来ませんでした。
彼は落ち込みました。「何がいけなかったんだろう」って。
娘さんが教えてくれたそうです。「お父さん、自慢ばかりだし、急ぎすぎよ。女性は、もっと優しくて、丁寧な人を求めてるの」
彼は反省して、次は違うアプローチをしました。
「マッチングありがとうございます。鈴木と申します。あなたのプロフィールの、お孫さんとの写真が素敵ですね。私も孫が二人おりまして、会うたびに元気をもらっています。お孫さんとはどんな時間を過ごされていますか?」
今度は、返信が来ました。そして、ゆっくりとやり取りを重ねて、一ヶ月後に初めて会うことになりました。
焦らないこと。丁寧であること。相手の気持ちを考えること。これが、シニア世代のマッチングアプリの鉄則なんです。
返信が来たら、どうする?
めでたく返信が来たら、嬉しいですよね。でも、ここでも焦らないことが大切です。
返信には、できるだけ早く応えましょう。でも、一日一通くらいのペースで大丈夫です。何度も何度もメッセージを送ると、相手が疲れてしまいます。
二、三往復やり取りしたら、「よろしければ、お茶でもいかがでしょうか」と軽く誘ってみましょう。断られても、気にしないこと。タイミングが合わなかっただけです。
そして、会う約束ができたら、LINEなどに移行するのもいいですね。アプリよりも、やり取りがしやすくなります。
67歳の女性の話です。彼女は、散歩が好きな男性とマッチングしました。
最初のメッセージで、お互いの散歩コースの話をしました。二通目で、好きな公園の話。三通目で、「今度一緒に散歩しませんか?」という誘いが来ました。
彼女は嬉しくて、でもちょっと不安でした。「会って、がっかりされたらどうしよう」って。
でも、勇気を出して、会うことにしました。待ち合わせは、公園の入り口。お互いに緊張しながら、でも笑顔で挨拶しました。
一時間ほど一緒に歩きながら、いろんな話をしました。子どものこと、仕事のこと、これからの人生のこと。気づいたら、すごく自然に話していました。
別れ際、男性が言いました。「また、一緒に歩きませんか?」
彼女は嬉しくて、涙が出そうになりました。「もう一度、誰かと人生を歩ける」。そう思えたことが、何よりも嬉しかったんです。
今、二人は週に一度、一緒に散歩をしています。ゆっくりと、でも確実に、関係を深めています。
返信が来なくても、落ち込まない
大切なことを、もうひとつお伝えします。
返信が来ないこともあります。それは、あなたが悪いわけじゃないんです。
相手がたまたま忙しかったのかもしれない。他の人とやり取りしているのかもしれない。あるいは、ただ単にタイミングが合わなかっただけかもしれない。
返信が来なかったら、潔く次に進みましょう。マッチングアプリには、たくさんの素敵な人がいます。
71歳の男性は、最初の十人に送ったメッセージ、全部返信が来ませんでした。
彼は落ち込みました。「やっぱり、この歳で恋愛なんて無理なんだ」って。
でも、息子さんが励ましてくれました。「お父さん、諦めないで。きっと、いい人に出会えるから」
彼は、十一人目にメッセージを送りました。すると、返信が来たんです。
そして、その女性と、今、お付き合いしています。
「諦めなくて良かった。十回ダメでも、十一回目で人生が変わるんだ」
彼はそう言って、笑顔を見せてくれました。
人生は、いつだって、やり直せるんです。