最近、お子さんやお孫さんから「LINEを始めてみたら?」と勧められた方、いらっしゃいませんか。スマートフォンを手にして、新しいコミュニケーションの世界に足を踏み入れたものの、使い方に戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
今日は、LINEやメッセージアプリで特に気をつけたい「追いLINE」「追いメッセージ」について、優しくお話しさせていただきます。難しい話ではありませんので、どうぞ肩の力を抜いて、お茶でも飲みながら読んでいただければと思います。
私がこのテーマでお話ししようと思ったのは、実は身近な方からの相談がきっかけでした。68歳の女性の方が、こんなことを話してくださったんです。「久しぶりに同窓会で再会した友人とLINEを交換したんだけど、メッセージを送っても返事が来ないの。もう一度送ってもいいのかしら。でも、しつこいと思われたら嫌だし...」と、とても悩んでいらっしゃいました。
この気持ち、よくわかります。長年生きてきた私たちは、人間関係を大切にすることの重要さを知っています。だからこそ、相手に不快な思いをさせたくない。でも、寂しさや不安もある。この微妙な心の揺れは、年齢に関係なく、誰もが感じるものですよね。
まず、「追いLINE」「追いメッセージ」とは何かを、簡単にご説明しましょう。これは、相手からの返信がない状態で、再度メッセージを送ることを指します。手紙やはがきの時代なら、返事が来るまで待つのが当たり前でした。でも、LINEは即座に相手に届き、既読マークまで表示される。この便利さが、かえって私たちを不安にさせることがあるんですね。
「メッセージを送ったのに、既読になっているのに返事がない」。この状況、初めて経験すると、とても不安になるものです。「何か失礼なことを言ってしまったかしら」「相手は私を嫌っているのかしら」と、あれこれ考えてしまいますよね。
でも、大丈夫です。ほとんどの場合、返信がないのは、あなたのせいではありません。相手が忙しかったり、体調が優れなかったり、単純にメッセージに気づいていなかったり。理由は様々なんです。私たちの世代は、相手を思いやる心を持っています。その優しさを、デジタルの世界でも活かしていけばいいのです。
ここで、面白いお話を一つ。実は、LINEが日本に登場したのは2011年のこと。当初は若者向けのサービスと思われていましたが、今では60代、70代、80代の方々も多く利用しているんです。総務省の調査によれば、60代の約7割、70代でも約5割の方がスマートフォンを使っているとか。つまり、あなたと同じように、新しい技術に挑戦している仲間が、たくさんいるということなんですね。
さて、追いLINEをする時の心理について、少し考えてみましょう。なぜ私たちは、返事がないと、もう一度メッセージを送りたくなるのでしょうか。
一つは、不安感です。特に、大切な人とのやり取りの場合、返信がないと心配になります。「元気にしているかしら」「何か困っていることはないかしら」と、相手を思う気持ちから、つい確認のメッセージを送りたくなる。これは、とても自然な感情です。
もう一つは、寂しさです。退職後、お子さんが独立した後、配偶者を亡くされた後。人生の大きな転換期を経験した私たちは、時に深い孤独を感じることがあります。誰かとつながっていたい。会話をしたい。その思いが、追いメッセージという形で表れることがあるんですね。
72歳の男性の体験談をご紹介しましょう。この方は、奥様を亡くされた後、趣味のサークルで知り合った女性と親しくなりました。お互いに良い印象を持ち、LINEを交換。楽しく会話をしていたそうです。
ある日、彼は近所で美しい桜の写真を撮り、その女性に送りました。「今日見た桜が綺麗でしたので、お裾分けです」というメッセージとともに。でも、一日経っても返事がありません。二日経っても、既読にすらなりません。
彼は不安になりました。「何か気に障ることを言ってしまったのだろうか」「もう連絡を取りたくないと思われているのだろうか」と。そして、つい「先日のメッセージ、お気を悪くされたのでしたら申し訳ございません」という追いメッセージを送ってしまったんです。
その翌日、女性から返信がありました。「ごめんなさい。母が体調を崩して入院してしまい、バタバタしていました。桜の写真、とても綺麗でしたね。母にも見せたら、喜んでいました」と。
彼は、自分の早とちりを恥じました。でも同時に、女性の優しさにも触れました。忙しい中、丁寧に事情を説明してくれて、写真への感謝も伝えてくれた。その後、二人の関係はより深まり、今では良いパートナーとして、お互いの人生を支え合っているそうです。
この体験談から、いくつかの大切なことが学べます。まず、返信がない理由は様々だということ。相手を責めたり、自分を責めたりする前に、いったん落ち着いて考えることが大切です。
そして、追いメッセージを送る時は、相手を思いやる言葉を選ぶこと。「なぜ返事をくれないの?」という責めるような言葉ではなく、「お忙しいところ失礼します」「ご無理のない時にご返信いただければ」という配慮ある言葉が、相手の心に響くんですね。
別の成功例もご紹介しましょう。65歳の女性の話です。彼女は、長年疎遠になっていた学生時代の友人と、同窓会で再会しました。懐かしい思い出話に花が咲き、「これからも連絡を取り合いましょう」とLINEを交換。
帰宅後、彼女は「今日は本当に楽しかったです。また近いうちにお茶でもしませんか」とメッセージを送りました。でも、一週間経っても返事がありません。彼女は悩みました。もう一度送るべきか、それとも待つべきか。
結局、彼女が選んだのは、相手の負担にならない軽いメッセージでした。「季節の変わり目ですので、お体にお気をつけくださいね」というシンプルな一文。これに対して、友人からすぐに返信がありました。
「ごめんなさい。実は、私もLINEを始めたばかりで、使い方がよくわからなくて。通知の設定もわからず、あなたのメッセージに気づいていませんでした。今、娘に教えてもらって、やっと返信できました」と。
二人は笑い合いました。同じような悩みを抱えていたことを知り、むしろ親近感が増したそうです。今では、お互いに「LINEの使い方講座」を開きながら、楽しく交流を続けているとのこと。
このように、追いメッセージが良い結果を生むこともあります。では、どのように送れば、相手に不快感を与えずに済むのでしょうか。いくつかのポイントをお伝えしますね。
第一に、頻度を考えること。基本的に、追いメッセージは一回、多くても二回までに留めましょう。私たちの世代は、相手の迷惑にならないよう、控えめに行動する美徳を持っています。その感覚を、LINEでも活かせばいいのです。
手紙の時代を思い出してください。手紙を送って、返事を待つ。もし返事が来なくても、そんなにしつこく催促はしなかったはずです。「忙しいのかな」「また都合の良い時に」と、相手を思いやる気持ちがありましたよね。その感覚は、今でも変わらず大切なんです。
第二に、内容に工夫を凝らすこと。「なぜ返事をくれないの?」という直接的な表現は避けましょう。代わりに、相手が返信しやすいような、優しいメッセージを心がけます。
例えば、「お忙しいところ失礼いたします。お時間のある時にでも、ご返信いただければ嬉しいです」「季節柄、お体をお大事に」「また機会がありましたら、お話しできれば幸いです」といった、相手に選択の余地を与える言葉がいいですね。
質問攻めにするのも、避けた方が良いでしょう。「いつ会えますか?」「どこに行きたいですか?」と矢継ぎ早に質問されると、相手は答える義務を感じて、プレッシャーになってしまいます。むしろ、「こんな素敵な場所を見つけました」「こんなことがありました」と、自分の近況を軽く伝える程度が、ちょうど良いんです。
第三に、相手の状況を尊重すること。私たちの年代には、様々な事情を抱えている方が多いものです。介護をしている方、持病の治療中の方、お孫さんの世話で忙しい方。それぞれが、それぞれの人生を一生懸命に生きています。
返信が遅いからといって、すぐに「私のことを大切に思っていないのでは」と考えるのは早計です。相手には相手の事情がある。その理解と寛容さが、長い人生を歩んできた私たちならではの強みなんです。
タイミングも大切です。夜遅くにメッセージを送るのは避けましょう。早朝も、まだ起きていない方がいるかもしれません。午前10時から午後8時くらいまでの、常識的な時間帯に送るのが無難です。
また、立て続けに何通も送るのも避けてください。一つのメッセージに対する返事を待たずに、次々と新しい話題を送ると、相手は「どれに返事をすればいいのか」と混乱してしまいます。一つのメッセージを送ったら、気長に待つ。この余裕が、大人の対応というものです。
ここで、少し違う角度からお話ししましょう。実は、追いメッセージは、恋愛だけでなく、様々な場面で問題になることがあります。
お孫さんとのやり取りで、「元気?」「勉強は頑張ってる?」「最近どう?」と、毎日のようにメッセージを送っていませんか。お孫さんを心配する気持ちはわかります。でも、若い世代は学業や部活、友人関係で忙しいもの。祖父母からの頻繁なメッセージが、かえって負担になることもあるんです。
同様に、離れて暮らす息子さんや娘さんに対しても、心配のあまり、頻繁にメッセージを送ってしまう方がいます。「ちゃんと食べてる?」「体調は大丈夫?」という親心は理解できます。でも、あまりに頻繁だと、「過干渉」と感じられてしまうこともあるんですね。
バランスが大切です。週に一度、二週に一度くらいの頻度で、さりげなく連絡を取る。そして、相手から返信があった時には、しっかりと会話を楽しむ。このメリハリが、良好な関係を保つコツなんです。
友人関係でも同じです。定年退職後、時間に余裕ができて、友人との交流を深めたいと思う方は多いでしょう。でも、友人にも友人の生活があります。自分の都合だけで、一方的にメッセージを送り続けるのは避けましょう。
むしろ、相手からメッセージが来た時に、丁寧に返信する。相手の話を聞く。共感する。こういった「受け身」の姿勢も、時には大切なんです。人間関係は、ギブアンドテイク。一方通行では、長続きしません。
さて、ここまで追いメッセージの注意点をお話ししてきましたが、「じゃあ、全く送らない方がいいのか」というと、そうではありません。適切なタイミングと内容であれば、追いメッセージは、関係を深める良いきっかけになることもあるんです。
例えば、相手が体調を崩していることを知っている場合。しばらく時間を置いてから、「その後、お加減はいかがですか」と気遣いのメッセージを送る。これは、しつこさではなく、優しさとして受け取られます。
あるいは、以前の会話で「来週、検査に行くんです」と相手が言っていた場合。その検査の翌日くらいに、「検査の結果はいかがでしたか。ご無理のない範囲で教えていただければ」と送る。これも、相手への配慮として、好意的に受け取られるでしょう。
季節の挨拶も良いですね。「桜が咲きましたね」「紅葉が美しい季節になりましたね」と、自然の美しさを共有するメッセージ。これは、返信を強要するものではなく、ただ相手のことを思い出したという優しいサインです。
70代の女性の素敵なエピソードがあります。彼女は、毎月一回、友人たちに「今月の一枚」として、季節の写真を送っているそうです。庭の花、近所の風景、手作りの料理。特に返信を求めるわけでもなく、ただ「こんな日常を過ごしています」という報告。
友人たちは、そのメッセージを楽しみにしているそうです。時には「素敵ですね」と返信があり、時には既読だけで終わる。でも、それでいいんです。相手に負担をかけず、緩やかにつながっている。この距離感が、心地よい関係を保つ秘訣なんですね。
LINEという新しいツールに戸惑うこともあるでしょう。「既読」という機能に、余計なプレッシャーを感じることもあるかもしれません。でも、大丈夫です。私たちには、長年培ってきた人間関係の知恵があります。
相手を思いやる心、待つことの大切さ、適度な距離感。これらは、デジタルの時代になっても、決して変わらない普遍的な価値です。LINEは、ただの道具。その道具を使って、どのように人とつながるかは、私たち次第なんです。
失敗を恐れないでください。最初はぎこちなくても、少しずつ慣れていけばいいんです。お孫さんに「これ、どうやって使うの?」と聞くのも良いでしょう。家族に教えてもらいながら、新しいことにチャレンジする姿は、むしろ若い世代に良い影響を与えるかもしれません。
地域のシニア向けスマホ教室に参加するのもおすすめです。同じような悩みを持つ仲間と出会い、一緒に学ぶ。その過程で、新しい友人ができることもあります。デジタルデバイドという言葉がありますが、年齢は決して障壁ではありません。学ぶ意欲があれば、何歳からでも新しい技術を身につけることができるんです。