シニアからのはるめくせかい

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シニア世代の「グイグイ来ていたのに来なくなった」状況をどう受け止め、どう前を向いていけばいいのか

「最初はあんなに熱心に連絡をくれていたのに、最近はぱったりと音沙汰がなくなってしまった」。そんな経験をされて、戸惑いや寂しさを感じていらっしゃいませんか。年齢を重ねてからの恋愛や交際は、若い頃とはまた違った複雑な事情が絡み合うもの。でも、だからこそ、その戸惑いを一人で抱え込まないでいただきたいのです。

今日は、シニア世代の方々が直面する「グイグイ来ていたのに来なくなった」という状況について、じっくりとお話しさせていただきたいと思います。あなたの心の痛みに寄り添いながら、この状況をどう受け止め、どう前を向いていけばいいのか、一緒に考えていきましょう。

人生の後半戦に入ってからの出会いというのは、本当に貴重なものです。配偶者を亡くされた方、熟年離婚を経験された方、あるいは長年独身を貫いてこられた方。それぞれに事情は違っても、「もう一度誰かと心を通わせたい」という想いは、とても自然で美しいものです。

趣味のサークルで知り合った方、旅行先で意気投合した方、あるいは最近増えてきたシニア向けのマッチングアプリで出会った方。最初は楽しそうに話しかけてきて、「また会いましょう」と熱心に誘ってくれた。電話やメッセージも頻繁にくれて、「この人となら、残りの人生を一緒に歩めるかもしれない」と、久しぶりに心がときめいた。

そんな中での突然の変化。連絡の頻度が減り、誘いもなくなり、気づけば音信不通に近い状態。「私、何か悪いことしたのかしら」「あの時、ああ言わなければよかったのかしら」と、夜も眠れないほど考え込んでしまう。その気持ち、本当によくわかります。

まず、なぜこのようなことが起こるのか、シニア世代特有の事情も含めて考えてみましょう。

一つ目の理由として、別の方に興味が移ってしまったという可能性があります。これは若い世代でも同じですが、シニア向けのお見合いパーティーや交流会では、複数の方と同時に知り合うことが珍しくありません。最初はあなたに好意を持っていたけれど、その後により気の合う方と出会ってしまった、ということもあるのです。

寂しい話ではありますが、これは決してあなたに魅力がないということではありません。ただ、タイミングや相性の問題だったのです。人生経験を重ねた私たちは、こういった現実も冷静に受け止める強さを持っているはずです。

二つ目は、あなたの反応が控えめすぎて、脈がないと判断されてしまった可能性です。シニア世代の女性は、特に上品で慎重な方が多いですよね。簡単には心を開かず、男性からの誘いにもすぐには応じない。それは決して悪いことではなく、むしろ品格のある態度だと思います。

でも時には、その慎重さが相手に「自分には興味がないんだな」と誤解されてしまうこともあるのです。例えば、食事に誘われても「その日は孫の面倒を見なければならなくて」「習い事があるので」と何度か断ってしまった。メッセージをもらっても、素っ気ない返事になってしまった。そんな小さな積み重ねが、相手の心を遠ざけてしまったのかもしれません。

三つ目は、熱しやすく冷めやすい性格の方だった可能性です。これはシニア世代でも少なくありません。むしろ、定年退職後に時間ができて、「第二の人生を楽しもう」と張り切っている男性の中には、この傾向が強い方もいらっしゃいます。

新しい出会いにワクワクして、猛烈なアプローチをかける。でも、少し関係が進むと急に冷めてしまう。「追いかける過程」が楽しいのであって、実際に深い関係になることは想定していなかったのかもしれません。こういった方は、次から次へと新しい出会いを求めて動き続ける傾向があります。

四つ目は、現実的な壁が見えてきたという理由です。これはシニア世代特有の事情かもしれません。例えば、お互いの健康状態。持病や介護の問題。子どもや孫との関係。財産や相続の問題。住んでいる場所が遠く、どちらかが引っ越すのは現実的でないという問題。

最初は「好き」という気持ちだけで突き進もうとしていたけれど、現実を考えると難しい。そう気づいた時、彼は身を引くことを選んだのかもしれません。これは、ある意味では大人の判断とも言えます。傷つけないために、あえて距離を置いたという可能性もあるのです。

五つ目は、家族からの反対があった可能性です。これも、シニア世代ならではの事情です。成人したお子さんから「お父さん(お母さん)、今更恋愛なんて」と反対されたり、「財産目当てじゃないの」と疑われたり。親族からの圧力に耐えきれず、諦めてしまうケースも少なくありません。

ちょっと笑えない話ですが、実はこんなことがあります。ある70代の男性が、娘さんに「素敵な女性と知り合った」と報告したところ、娘さんから「お父さん、それってロマンス詐欺じゃないの?」と疑われてしまったそうです。最近、シニアを狙った詐欺が増えているため、家族が過敏になってしまうんですね。本当は真剣な恋愛だったのに、周囲の心配が水を差してしまう。切ないけれど、現代ならではの問題です。

そして六つ目、これは言いにくいことですが、単なる暇つぶしや寂しさ紛れだったという可能性もあります。配偶者を亡くしたばかりで寂しかった、定年後に時間を持て余していた。そんな時期に、誰かと親しくすることで心の穴を埋めようとしていたのかもしれません。でもその時期が過ぎると、もう必要なくなってしまった。厳しい言い方ですが、こういうケースもあるのです。

では、実際にこのような経験をされた方々の体験談をご紹介しましょう。

65歳の女性のお話です。夫を亡くして3年、娘の勧めでカルチャーセンターの水彩画教室に通い始めました。そこで知り合った同年代の男性が、とても親切にしてくれました。「絵の具の使い方、教えましょうか」「今度、美術館に一緒に行きませんか」と、毎週のように誘ってくれたのです。

彼女は嬉しい反面、「あまり積極的に返事をするのもはしたない」と思い、控えめな態度を取り続けました。美術館への誘いも「その日は孫が来るので」と断り、食事の誘いも「もう少し親しくなってから」と遠慮していました。

すると2ヶ月ほど経った頃から、その男性は別の女性と親しそうに話すようになり、彼女への誘いはぱったりとなくなってしまいました。彼女は「もっと素直に嬉しいと伝えればよかった。私の遠慮が、彼を遠ざけてしまったんだわ」と、深く後悔されたそうです。

でも、それから彼女は考え方を変えました。「次に素敵な方と出会えたら、もっと素直に気持ちを表現しよう」と。その経験があったからこそ、後に本当に気の合うパートナーと出会えた時、しっかりと関係を築くことができたそうです。

次は68歳の女性のケースです。熟年離婚を経て一人暮らしを始めた彼女は、シニア向けのマッチングアプリに登録しました。そこで知り合った男性は、毎日のように「おはよう」「おやすみ」のメッセージをくれて、頻繁に電話もしてきました。2週間ほどで4回もデートを重ね、手を繋いで歩くまでになりました。

彼女は「こんなに情熱的に愛されたのは、若い頃以来かもしれない」と胸を躍らせていました。でも、5回目のデートの約束をしている時、突然彼の態度が変わりました。返信が遅くなり、理由をつけてデートをキャンセルし、ついには「やはり一人の生活の方が気楽でいい」と言われてしまったのです。

彼女は大きなショックを受けました。「あの熱烈なアプローチは何だったの。私、何か失礼なことをした?」と、何日も眠れない夜を過ごしました。でも友人に相談したところ、「それは彼の問題よ。熱しやすく冷めやすい人だったのよ」と言われ、少し気持ちが楽になったそうです。

そして「あの短い期間でも、楽しい思いをさせてもらった。それだけでも良かった」と、前向きに考えられるようになりました。傷ついたけれど、その経験が彼女を強くしたのです。

三つ目は72歳の男性の体験談です。妻を亡くして5年、地域のボランティア活動で知り合った同年代の女性に心を惹かれました。彼女も数年前にご主人を亡くしており、話が合いました。彼は週に何度も彼女に会いに行き、「また一緒に人生を歩みたい」と真剣に考えるようになりました。

ところが、ある日彼女から「実は娘たちが、私の再婚に反対しているの」と打ち明けられました。娘さんたちは「お母さんは亡くなったお父さん一筋でいてほしい」「財産のことも心配」と、強く反対しているというのです。彼女自身は彼に好意を持っていたようですが、家族との関係を壊したくないと、距離を置くことを選びました。

彼は「娘さんたちの気持ちもわかる。無理に押し通すのは、彼女を苦しめるだけだ」と理解しながらも、深い喪失感に襲われました。でも時間が経つにつれて、「彼女と知り合えて、再び誰かを想う気持ちを思い出せた。それだけでも意味があった」と思えるようになったそうです。

これらの体験談から学べることは、シニア世代の恋愛には、若い世代とは違った複雑な事情が絡むということです。健康、家族、財産、住まい、そして何より、残された時間の重み。これらすべてが、二人の関係に影響を与えるのです。

では、「グイグイ来ていたのに来なくなった」という状況に直面した時、どう対処すればいいのでしょうか。心の持ち方について、いくつかお話ししたいと思います。

まず、相手を追いかけないことです。「どうしたんですか」「私、何か悪いことしましたか」と、何度もメッセージを送ったり電話をかけたりするのは、あなた自身を苦しめるだけです。年齢を重ねた私たちには、品格というものがあります。その品格を保ちながら、相手の選択を尊重する。それが大人の態度というものです。

次に、自分を責めないことです。「あの時、もっと積極的に返事をしていれば」「あんなことを言わなければ」と、後悔の念に駆られるかもしれません。でも、あなたはあなたなりに誠実に向き合っていたはずです。結果がこうなってしまったのは、タイミングや相性、あるいは相手側の事情があったからで、決してあなたが悪いわけではありません。

人生の後半を生きる私たちは、もう十分に頑張ってきました。自分を責める必要なんて、どこにもないのです。

そして、冷静に振り返ってみることも大切です。彼のアプローチは、本当に誠実なものだったでしょうか。それとも、寂しさや一時的な感情から来るものだったでしょうか。振り返ってみると、見逃していたサインがあるかもしれません。「話を聞いてみると、いつも自分のことばかり話していた」「具体的な将来の話は避けていた」「家族の話を全くしなかった」など。