今の若い人たちが恋愛をしなくなっている、本当の理由
皆さん、お孫さんやお子さんから「恋人なんていらない」「結婚する気はない」なんて言葉を聞いて、驚いたことはありませんか。私たちが若かった頃は、職場でも学校でも、恋愛の話題で持ちきりだったものです。誰が誰を好きだとか、あの二人は付き合っているらしいとか、そんな話に心を躍らせた時代がありました。
でも今、若い世代の多くが恋愛から距離を置いているんです。統計を見ると、20代の未婚男性の約7割が「恋人がいない」と答えています。しかも、そのうちの半数以上が「恋人が欲しいとも思わない」と答えているんですね。これは私たちの時代には考えられなかったことです。
最初は「最近の若い人は消極的だ」なんて思っていました。でも、色々な若者の話を聞いているうちに、単純に彼らを責めることはできないと感じるようになったんです。彼らには、彼らなりの事情があります。そして、その背景には、私たちの時代とは大きく異なる社会の変化があるんですね。
今日は、なぜ今の若い男性たちが恋愛から遠ざかっているのか、その本当の理由についてお話しします。孫世代、子世代の気持ちを理解することで、私たちシニア世代ができることも見えてくるかもしれません。
恋愛がリスクになってしまった時代
私たちが若かった頃、恋愛は青春そのものでした。好きな人に声をかけて、デートに誘って、断られたら落ち込んで、でもまた次の恋を見つけて。そういう試行錯誤が許される、むしろ推奨されるような雰囲気がありましたよね。
ところが今の時代、恋愛へのアプローチそのものが「リスク」として捉えられているんです。これには本当に驚きました。
30代の息子を持つ知人女性が、こんな話をしてくれました。彼女の息子さんは大手企業に勤める真面目な青年です。職場に気になる女性がいたそうなんですが、結局何もアプローチしなかったといいます。
母親が「なぜ声をかけなかったの」と聞くと、息子さんはこう答えたそうです。「お母さん、今の時代は違うんだよ。下手に声をかけたらハラスメントって言われかねない。特に職場では、恋愛感情を持つこと自体がリスクなんだ」
最初、彼女は息子の言葉を大げさだと思ったそうです。でも息子さんは続けました。「同じ部署の先輩が、女性社員を食事に誘っただけで人事部に呼ばれて、注意を受けたんだ。その先輩は何も悪いことをしていない。ただ『良かったら食事でも』と誘っただけ。でもその女性は不快に感じたらしくて、会社に相談したんだ」
彼女は息子の話を聞いて、初めて今の若者が置かれている状況を理解したといいます。私たちの時代なら、職場での出会いは当たり前でした。むしろ職場結婚が主流だった時代すらありましたよね。でも今は、その「職場での出会い」すらリスクになってしまったんです。
別の男性、27歳の方の話も印象的でした。彼は大学時代に恋愛経験があったそうですが、社会人になってからは一度も女性にアプローチしていないといいます。
「僕たちの世代は、SNSで何かあればすぐに拡散される時代に育ちました。誰かが『あの人にしつこく誘われて困っている』と投稿すれば、それが真実かどうかに関わらず、一瞬で広まってしまう。そうなったら、人生が終わるんです」
彼の言葉には、深い不安と恐怖が込められていました。私たちの時代には考えられなかったことです。恋愛が「人生を破壊するかもしれないリスク」として認識されている。これは本当に悲しいことだと思いました。
もちろん、ハラスメントは絶対にあってはならないことです。相手が嫌がることを強要したり、立場を利用して関係を迫ったりすることは、決して許されません。でも、純粋な恋愛感情まで「リスク」として扱われてしまうのは、あまりにも息苦しい世の中になってしまったと感じます。
経済的な余裕がない切実な現実
もう一つ、若者の恋愛離れに大きく影響しているのが、経済的な問題です。これは本当に深刻な話なんです。
私たちが若かった頃、正社員になれば将来の見通しがある程度立ちました。給料は年々上がっていくし、ボーナスもあった。結婚して家を買って、子供を育てて、という人生設計が描けた時代でした。
でも今の若者は違います。非正規雇用が増えて、正社員になれても給料は上がらない。物価は上がるのに、収入は増えない。奨学金という名の借金を抱えている人も多い。こんな状況で「恋愛しよう」「結婚しよう」という気持ちになれるでしょうか。
65歳の男性が、息子さんについてこんな話をしてくれました。息子さんは32歳で、派遣社員として働いています。真面目に働いているのに、月収は手取りで18万円ほど。ボーナスはありません。
父親が「そろそろ結婚は考えないのか」と聞いたとき、息子さんは悲しそうな顔をしたそうです。「お父さん、僕の給料で誰かを幸せにできると思う? デート代も厳しいのに、結婚なんて考えられないよ」
その父親は、息子の言葉に返す言葉がなかったといいます。自分が若い頃は、同じ年齢の時にはもっと稼いでいた。家も車も買えた。でも息子の世代は違う。同じように働いても、経済的な余裕がないんです。
「息子を責めることはできません。むしろ、こんな世の中にしてしまった私たちの世代の責任を感じます」と、その父親は涙ぐんでいました。
別の例もあります。28歳の青年は、大学を出て正社員として働いていますが、奨学金の返済に毎月3万円を充てています。これがあと15年続くそうです。彼は「恋愛してデートしたら、月に2、3万円は飛んでいく。結婚となれば、もっとお金がかかる。今の収入では、自分一人で精一杯です」と正直に話してくれました。
私たちの世代は、恋愛にお金をかけるのは当然だと思っていました。デートで映画を見て、食事をして、プレゼントを買って。それが恋愛の楽しみでもありましたよね。でも今の若者にとって、それは「贅沢」なんです。生活するだけで精一杯の中で、恋愛は後回しにせざるを得ない。
これは個人の問題ではなく、社会全体の構造的な問題です。若者が悪いわけではありません。彼らは、厳しい経済状況の中で必死に生きているんです。
趣味や自分の時間を大切にする生き方
三つ目の理由として、価値観の変化があります。これは必ずしも悪いことではないと、私は思っています。
今の若者は、恋愛以外にも楽しいことをたくさん知っています。ゲーム、アニメ、映画、音楽、読書、スポーツ、資格の勉強、副業。一人でも、あるいは気の合う友人とでも楽しめることが、昔よりずっと増えているんです。
25歳の青年が、こんなことを言っていました。「僕はゲームが大好きで、週末は友達とオンラインでゲームをするのが楽しみなんです。恋人ができたら、この時間が奪われる。それが嫌なんです」
最初は「ゲームより恋愛の方が大事じゃないか」と思いました。でも、よく考えてみれば、私たちだって趣味を大切にしていましたよね。釣りが好きな人は、週末になると一人で海や川に出かけました。碁や将棋が好きな人は、碁会所に通いました。
ただ、当時は「結婚するのが当たり前」という社会的なプレッシャーがあったから、趣味よりも結婚を優先せざるを得なかった部分もありますよね。でも今の若者には、そのプレッシャーがない。だから、自分の人生を自分で選べるんです。
ある意味、これは素晴らしいことだと思います。無理に結婚して不幸になるよりも、自分が納得できる生き方を選べる時代になった。これは社会の進歩だと言えるかもしれません。
ちょっと面白い話があります。私の知り合いの70代の男性が、最近YouTubeを始めたんです。料理の動画を投稿しているそうで、なんと登録者が5万人もいるんだとか。彼は「若い頃は恋愛が人生の全てだと思っていたけど、今は料理を通じて世界中の人とつながれる。恋愛だけが人生じゃないって、今になって分かったよ」と笑っていました。実は彼、若い頃は恋多き男性で、結婚も離婚も経験していて、ずっと恋愛を追いかけていた人なんです。でもシニアになった今、全く別の形で充実した日々を送っている。人生って面白いものですよね。
若者たちの孤独な心の叫び
ただ、若者の恋愛離れには、もっと深刻な側面もあるんです。それは「心の疲れ」です。
今の若者は、私たちの世代が想像もできないほど、多くの情報と選択肢に囲まれています。SNSを開けば、友達の幸せそうな写真が次々と流れてくる。誰かが海外旅行に行った、誰かが昇進した、誰かが結婚した。
こうした情報を毎日のように見ていると、「自分は何もできていない」という焦りと劣等感に襲われるそうです。そんな状態で、さらに恋愛までしようとすれば、心が疲弊してしまう。
29歳の青年が、こんなことを言っていました。「恋愛って、相手のことを考え続けなければいけないじゃないですか。連絡を返さなきゃ、デートの計画を立てなきゃ、相手を喜ばせなきゃ。でも僕は、自分のことでいっぱいいっぱいなんです。人のことを考える余裕がない」
彼の言葉には、深い疲れがにじみ出ていました。決して怠けているわけではないんです。むしろ真面目だからこそ、「恋愛をするなら相手を大切にしなければ」と考えて、できないと判断している。
別の女性、彼女は息子さんが34歳なのですが、こんな話をしてくれました。息子さんは大企業に勤めていて、一見順風満帆に見えます。でも、毎日残業で帰りは23時過ぎ。土日も仕事のメールが来る。
母親が「恋人は作らないの」と聞くと、息子さんは疲れた顔でこう答えたそうです。「お母さん、僕は毎日生きるのに必死なんだ。仕事のストレスで心が折れそうなのに、恋愛までする気力がない。休日は、ただ寝ていたいんだ」
彼女は息子の様子を見て、初めて今の若者が置かれている状況の厳しさを実感したといいます。「私たちの時代も忙しかったけれど、今の若者の忙しさとは質が違う気がします。常に何かに追われているような、心の余裕がないんですね」
私たちの時代は、仕事が終われば完全に仕事から離れられました。でも今は、スマートフォンでいつでもメールが届く。SNSで常に誰かとつながっている。本当の意味で「一人の時間」「休む時間」がないんです。
そんな状態で恋愛をしようと思えば、さらに心の負担が増える。だから若者たちは、自己防衛として恋愛から距離を置いているんです。これは決して彼らが冷たいとか、愛情が薄いとかいうことではありません。むしろ、生き延びるための知恵なのかもしれません。
私たちシニアができること、考えるべきこと
ここまで読んで、皆さんはどう感じられましたか。「最近の若者は軟弱だ」と思われたでしょうか。それとも「かわいそうだ」と同情されたでしょうか。
私は、どちらでもないと思っています。若者たちは軟弱なのではなく、厳しい環境の中で賢く生きている。かわいそうなのではなく、新しい価値観を持って自分の人生を切り開こうとしている。そう考えるべきだと思うんです。
では、私たちシニア世代に何ができるのでしょうか。
まず大切なのは、「結婚しろ」「恋人を作れ」というプレッシャーをかけないことです。お孫さんやお子さんに、「まだ結婚しないの」「相手はいないの」と聞くのは、彼らにとって大きなストレスになります。
私の知人女性は、息子さんに長年そういった質問をし続けていました。でもある日、息子さんが爆発したそうです。「お母さん、僕が結婚しないのは、結婚できないからじゃない。結婚したくないからなんだ。この選択を尊重してくれないか」
彼女はその言葉にショックを受けましたが、同時に目が覚めたといいます。「私は息子のためと思っていたけれど、実は自分の価値観を押し付けていただけだった。息子には息子の人生がある。それを尊重しなければと思いました」
二つ目は、経済的な支援ができるなら、してあげることです。これは甘やかすという意味ではありません。今の若者は、私たちの時代よりはるかに厳しい経済状況にあります。もし余裕があるなら、少しでも助けてあげることは、悪いことではないと思います。
ある家族は、息子さんの奨学金返済を援助することにしたそうです。「私たちの時代は、大学は安かった。でも今の学費は高すぎる。息子が借金を背負って社会に出るのを見ていられなかった」と、父親は話していました。
三つ目は、若者の話をじっくり聞くことです。説教するのではなく、アドバイスするのでもなく、ただ聞く。彼らの苦しみ、悩み、考えを理解しようとする姿勢が大切です。
72歳の女性が、こんな話をしてくれました。彼女は毎週、30代の孫娘とお茶をする時間を作っているそうです。そこでは、孫娘が仕事のこと、人間関係のこと、将来への不安を話します。彼女はただ聞いて、「そうだったの」「大変ね」と共感するだけ。
「アドバイスはしません。私の時代と今は違うから、私のアドバイスは役に立たないかもしれない。でも、話を聞いてもらえるだけで、孫は楽になるみたいです」
そして最後に、私たちシニア自身が、充実した生活を送ることです。これが実は一番大切かもしれません。
若者たちは、私たちシニアを見ています。もし私たちが「結婚していて良かった」「家族がいて幸せだ」と心から感じていれば、それが若者に伝わります。逆に、不幸そうに生きていれば、「結婚なんてするもんじゃない」と思われてしまいます。
だから、私たちが幸せに、活き活きと生きること。それが、若者への最高の応援になるんです。