シニアからのはるめくせかい

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六十代でも七十代でも「好きだからムキになる」という男性心理

人生の後半を迎えた今、ふと若い頃の恋愛を思い返すことはありませんか。あの人はどうして急に不機嫌になったんだろう。なぜあんなに張り合ってきたんだろう。当時は理解できなかったことも、今なら「ああ、あれは好きだったからなんだ」と気づくことがありますよね。

もしくは、お孫さんやご近所の若い方から恋愛相談を受けて、「彼が急にムキになって困っている」という話を聞いたことはないでしょうか。あるいは、配偶者を亡くされたり離婚されたりして、もう一度誰かと出会いたいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。

実は「好きだからムキになる」という男性心理は、年齢に関係なく存在するものなんです。六十代でも七十代でも、恋をすれば人は不器用になるもの。今日は、この興味深い男性心理について、人生経験豊かな皆さんだからこそ理解できる深みも加えながら、お話ししていきたいと思います。

どうしてムキになってしまうのか、その心の奥底

人生を長く生きてこられた皆さんなら、きっとご理解いただけると思います。本当に大切なものほど、素直になれない。そんな経験、ありませんでしたか。

男性というのは、いくつになっても好きな人の前では照れてしまうものです。特に団塊の世代や昭和を生きてこられた男性は、「男は強くあるべき」「弱みを見せてはいけない」という教育を受けてきました。だから、好きだという気持ちを素直に表現することが、とても恥ずかしいんですね。

それでも心の中では、相手に自分を見てほしい、気にかけてほしいという気持ちが溢れている。その気持ちをどう表現していいかわからなくて、結果的にムキになったり、張り合ったり、意地悪な言い方をしてしまったりする。これって、小学生の男の子が好きな女の子をからかうのと、根本的には同じ心理なんです。

年齢を重ねた男性でも、この心理は変わりません。むしろ、長年連れ添った奥さんを亡くされた後に新しい出会いがあった方などは、何十年ぶりかの恋心に戸惑って、より不器用になってしまうこともあります。

ある七十代の男性の話を聞いたことがあります。妻を亡くして三年が経ち、地域のサークル活動で知り合った女性のことが気になり始めた。でも、どう接していいかわからない。若い頃とは違って、軽々しく声をかけるのも気が引ける。そんな葛藤の中で、彼女が他の男性と楽しそうに話しているのを見ると、つい嫌味を言ってしまったそうです。「そんな話ばかりして、暇なんですね」なんて。

後で自己嫌悪に陥ったそうですが、これこそが「好きだからムキになる」という心理の表れなんですね。自分でもどうしていいかわからない、コントロールできない感情なんです。

特別な存在になりたいという願い

人生の後半戦を迎えて、ふと「自分はこの人にとって特別な存在なんだろうか」と考えることはありませんか。家族にとって、友人にとって、地域にとって。そして、好きな人にとって。

ムキになるという行動の裏には、「あなたにとって私を特別な存在として認めてほしい」という切実な願いが隠されています。普通の友人や知人として扱われるのではなく、もっと深い関係になりたい。そんな気持ちが、ムキになったり、議論を仕掛けたりという形で表れるんです。

年齢を重ねると、新しい人間関係を築くことが若い頃より難しくなります。既に確立された日常があり、交友関係があり、生活のリズムがある。その中で、誰かと特別な関係を築くというのは、実は若い頃以上に勇気のいることなんです。

だからこそ、好きな人の前ではつい力が入ってしまう。「自分の存在を印象づけたい」「忘れられたくない」という気持ちが強くなって、普段の落ち着いた自分とは違う、ムキになった自分が出てきてしまうんですね。

認めてもらいたい、という純粋な思い

人生を長く歩んでこられた皆さんは、きっと様々な場面で「認められたい」という気持ちを抱いてこられたと思います。職場で、家庭で、地域社会で。そして恋愛においても、この「承認欲求」は大きな役割を果たします。

特に男性は、好きな人に自分の価値を認めてもらいたいという気持ちが強いんです。仕事での実績、人生経験、知識、能力。そういったものを通して、「この人は素晴らしい」と思ってもらいたい。

だから、好きな人が自分と違う意見を言ったり、他の人を褒めたりすると、つい「俺だったらもっとうまくやれる」「それは違う」とムキになって反論してしまう。これは決して相手を否定したいわけではなく、自分の価値を認めてほしいという気持ちの表れなんです。

定年退職された男性などは、特にこの傾向が強くなることがあります。長年社会の第一線で働いてきたプライドがある。でも、退職後は誰からも必要とされていないような気がして、寂しさを感じる。そんな時、好きな人ができたら、その人にだけは自分の価値を認めてほしいという気持ちが強くなるんです。

愛情と甘えの不器用な表現

ここで、少し面白い話をひとつ。昭和三十年代のこと、ある小さな町で評判の頑固親父がいたそうです。町内会の集まりでもいつも偉そうにしていて、誰に対しても厳しい物言いをする。でも、ある未亡人の女性に対してだけは、やたらと細かいことにまで口を出す。「そんな重い荷物を持って、危ないじゃないか」「そのコートは薄すぎる、風邪をひくぞ」。周りの人は「あの頑固親父が、珍しく人の心配をしている」と驚いたそうです。

実はこれ、照れ隠しの叱責だったんですね。素直に「心配だから」と言えない。でも放っておけない。だから、ムキになって説教するという形で、愛情を表現していたんです。

年齢を重ねた男性ほど、実は甘えたい気持ちを持っています。でも、長年「男は強くあるべき」という価値観の中で生きてきたから、素直に甘えることができない。その葛藤が、ムキになるという形で表に出てくることがあるんです。

好きだから期待してしまう、期待に応えてくれないとイライラしてしまう。本当は「もっと私に優しくして」「私のことを見て」と言いたいのに、それが言えなくて、代わりに「どうしてわかってくれないんだ」とムキになってしまう。

これは、長年連れ添った夫婦の間でもよく見られることですよね。本当は感謝の気持ちでいっぱいなのに、「ありがとう」とは言えなくて、代わりに「これはこうじゃないとダメだ」と文句を言ってしまう。愛情の裏返しなんです。

脈があるか確かめたい不安な心

人生経験が豊富な皆さんなら、きっと共感していただけると思います。新しい一歩を踏み出す時の不安な気持ち。特に恋愛においては、「この人は自分のことをどう思っているんだろう」という不安は、年齢に関係なく誰もが感じるものです。

ムキになったり、少し冷たい態度を取ったりするのは、実は相手の気持ちを試しているという側面もあります。「こんな自分でも、相手は離れていかないか」「本当に自分に好意を持ってくれているのか」。そんな不安から、わざと試すような態度を取ってしまうんです。

特に、配偶者を亡くされた後や離婚された後の恋愛では、この不安がより強くなります。「もう年だから」「今さら恋愛なんて」という気持ちと、「でも誰かと一緒にいたい」という気持ちの間で揺れ動く。その不安定な心が、ムキになるという行動に表れることがあるんです。

ある六十代の女性から聞いた話です。夫を亡くして五年、趣味の写真サークルで知り合った男性が気になり始めた。でも、彼は時々妙にムキになって、彼女の撮った写真に厳しいコメントをする。「この構図は古い」「もっと勉強したほうがいい」。彼女は傷ついて、距離を置こうとしたそうです。

でも、サークルの仲間から「あの人、あなたにだけあんなに熱心にアドバイスするんだよ。他の人の作品にはほとんど何も言わないのに」と言われて、はっと気づいた。彼は、彼女が本当に写真が好きなのか、本気でサークルを続けるつもりなのか、つまり自分と同じ趣味を本当に共有できる相手なのかを確かめたかったんだそうです。

その後、彼女が彼の厳しいコメントにも負けずに写真を続けていることを見て、彼は安心したのでしょう。ある日、「あなたの写真、本当に良くなったね。一緒に撮影旅行に行きませんか」と誘ってきたそうです。今では二人は良いパートナーとして、一緒に写真を楽しんでいます。

心に響く実際のエピソード

ここで、実際にあった心温まるエピソードをご紹介しましょう。

退職して地域のボランティア活動に参加し始めた男性の話です。彼は現役時代、大手企業の管理職として働いてきた自信がありました。でも、ボランティアの場では、みんな対等な立場。特に、活動のリーダーをしている女性は、彼より五歳も年上なのに、とても活動的で周りから慕われていました。

彼は、なぜか彼女と話す時だけ、ムキになって反論してしまう。「その方法は効率が悪い」「私の経験から言えば」。周りの人たちは、彼のことを「プライドの高い人」と思っていたようです。

でも、彼女だけは違いました。彼の言葉の裏にある気持ちを見抜いていたんです。ある日、大雨で活動が中止になり、二人だけが会館に残された時、彼女は優しく声をかけたそうです。「いつも真剣に活動のことを考えてくれて、ありがとうございます。あなたの意見、本当は的を射ていること、多いんですよ」。

その言葉に、彼の目には涙が浮かんだそうです。「実は、自分が役立たずになったんじゃないかと不安で。でも、あなたのことが気になって、認めてほしくて、つい強く出てしまって」。そう正直に打ち明けたところ、彼女は笑って「それって、好きってことじゃないですか」と言ったそうです。

二人は今、お互いを支え合いながら、一緒にボランティア活動を続けています。彼は「あの時、素直になれて本当に良かった」と話してくれました。

もう一つ、印象深い話があります。

老人ホームに入居していた女性と、そこで働く男性職員の話です。彼は六十五歳で、定年後に第二の人生として介護の仕事を始めていました。彼女は七十歳で、まだ元気で自立した生活をしていました。

彼は、なぜか彼女に対してだけ、やたらと細かく注意するんです。「そんなに階段を急いで上がったら危ない」「食事の時間に遅れないように」。他の入居者には優しいのに、彼女にだけ厳しい。彼女は正直、少し不愉快に思っていたそうです。

ある日、彼女が体調を崩して部屋で休んでいると、彼が仕事の合間に何度も様子を見に来る。そして、誰もいないところで「本当に心配していたんです。あなたが元気じゃないと、私まで元気がなくなってしまう」とぽつりと言ったそうです。

彼女はその時、気づいたそうです。彼の厳しい言葉は、心配の裏返しだったんだと。いつも注意してくるのは、自分のことを気にかけてくれているからだったんだと。

職員と入居者という立場の違いはありますが、彼女は「ありがとう。これからは、あなたの心配を素直に受け止めます」と伝えたそうです。それ以来、彼の態度は少し柔らかくなり、でも相変わらず彼女のことは誰よりも気にかけている。二人の間には、言葉にできない特別な絆が生まれているようです。

人生の後半戦、不器用な愛情を理解する

人生を長く生きてくると、人の心の複雑さがよくわかるようになりますよね。表面に現れる言葉や態度と、心の中にある本当の気持ちは、必ずしも一致しない。特に男性は、素直に愛情を表現することが苦手な人が多いものです。

もし、あなたの周りに、あなたにだけムキになる男性がいたら。それは、もしかしたら好意の表れかもしれません。若い頃なら「なんて面倒な人」と思ってしまったかもしれないけれど、今なら「この人も不器用なりに、一生懸命なんだな」と温かく見守ることができるのではないでしょうか。

もちろん、すべてのムキな態度が好意というわけではありません。単に性格的に攻撃的な人もいますし、本当に意地悪な人もいます。でも、あなたにだけ特別にムキになる、他の人には見せない態度がある、そしてムキになった後に優しくフォローしてくれる。そんなサインがあれば、それは好意の可能性が高いんです。

人生の午後を豊かに生きるために

定年退職をして、子育ても終わって、自分の時間ができた今。改めて、人との繋がりの大切さを感じている方も多いのではないでしょうか。

パートナーを亡くされた方、離婚された方、あるいは長年独身で過ごしてこられた方。人生の後半戦だからこそ、もう一度誰かと心を通わせたいと思うことは、とても自然なことです。

そんな時、相手の不器用な愛情表現を理解できる心の余裕を持つことが、新しい関係を築く鍵になるかもしれません。ムキになる、議論を仕掛けてくる、細かく注意してくる。そんな態度の裏に隠された、「あなたが好きです」というメッセージを読み取る力。それは、長い人生を生きてきた皆さんだからこそ持っている、素晴らしい能力なんです。

そして、もしあなた自身が誰かにムキになってしまうことがあるなら。それは恥ずかしいことではありません。年齢に関係なく、人は恋をすれば不器用になるもの。大切なのは、その気持ちに気づいて、できる範囲で素直になろうとすることです。

「あなたのことが気になってしまって、つい強く言ってしまいました」。そんな一言が言えたら、関係は大きく変わるかもしれません。人生の後半戦だからこそ、残された時間を大切にしたい。だからこそ、素直になる勇気も必要なのではないでしょうか。