シニアからのはるめくせかい

年齢を重ねた今だからこそときめきはるめく!毎日が楽しくなるシニアのための悠々自適生活応援マガジンです

とにかく寝るのが好きなシニアとの恋愛

人生の後半戦に差し掛かって、新しい出会いや恋愛を経験している方も多いのではないでしょうか。定年後の再出発、配偶者との別れを経て新しいパートナーを求める方、長年連れ添った夫婦の関係を見つめ直す方。60代、70代になっても、心ときめく気持ちは変わらないものですよね。

私も今年で68歳になりますが、5年前に妻を亡くしてから、趣味のサークルで知り合った女性とお付き合いをしています。彼女との時間は、第二の青春のようで、毎日が新鮮です。でも、若い頃の恋愛とは違う、独特の発見もあるんですよね。

今日は、少し変わったテーマについてお話ししたいと思います。それは「とにかく寝るのが好きな人との恋愛」です。若い人の話だと思われるかもしれませんが、実は私たちの世代にこそ、このテーマは深く関わってくるんです。

年齢を重ねると、睡眠のパターンも変わってきますよね。早朝に目が覚めてしまう人、逆に朝が辛くなる人、昼寝が欠かせなくなる人。人それぞれです。そんな中で、「とにかく寝るのが大好き」という人とお付き合いすると、独特の状況が生まれるんです。

私の友人で、70歳を過ぎてから再婚した男性がいます。彼の新しい奥さんは、それはもう睡眠を愛する人でした。朝は10時まで起きないし、昼食後は必ず2時間の昼寝。夜も8時には「そろそろ眠くなってきた」と言い出すほど。彼は最初、戸惑っていました。

「せっかく一緒になったのに、起きている時間が合わないんだよ」と、少し寂しそうに話していたのを覚えています。でも、半年もすると、彼の表情が変わってきました。「あれはあれで、悪くないんだよ」と。その変化の過程が、とても興味深かったんです。

まず、デートの優先順位と睡眠欲の問題です。若い頃なら、恋人のために夜更かしも早起きもできました。でも、私たちの年齢になると、体調管理が何より大事。無理は禁物です。

私の彼女も、実は睡眠にこだわりがある人でした。ある日曜日、美術館の朝一番の特別展示を見に行こうと提案しました。9時開館だから、8時半に待ち合わせ。私は張り切って、7時には準備万端で待っていました。

ところが、8時半になっても彼女は来ない。携帯電話に連絡すると、出たのは少しかすれた声でした。「あら、ごめんなさい。今、目が覚めたところ」と。慌てて準備すると言うので待ちましたが、結局会えたのは10時過ぎ。美術館の特別展示は、すでに混雑していました。

最初は、正直言ってがっかりしました。「楽しみにしていたのに」という気持ちと、「もう若くないんだから、約束は守ってほしい」という思いがありました。でも、彼女の「本当にごめんなさい。でも、ちゃんと眠らないと一日が持たないの」という言葉に、ハッとさせられたんです。

私たちの世代は、若い頃のように無理が利きません。睡眠不足は、めまいや体調不良に直結します。彼女にとって、しっかり眠ることは、私と楽しく過ごすための大切な準備だったんですね。それ以来、朝のデートは諦めて、午後からゆっくり会うスタイルに変えました。

次に、寝ているときの連絡の取りにくさです。これ、現代特有の悩みかもしれません。私たちの世代も、今はLINEやメールを使いますよね。便利な反面、新しい問題も生まれます。

彼女と夜、メッセージのやり取りをしていると、突然返事が来なくなることがよくありました。最初は「何か気に障ることを言ったかな」「体調が悪いのでは」と心配になりました。翌朝、「すみません、寝てしまいました」というメッセージを見て、安心すると同時に、少し複雑な気持ちにもなりました。

若い頃なら、夜遅くまで電話で話したものです。受話器を置くのが惜しくて、お互いに「じゃあね」と言いながら、なかなか切れなかった思い出があります。でも今は、夜9時を過ぎて返信がなければ、「ああ、もう休まれたんだな」と思うようになりました。

むしろ、「しっかり休んでいるんだな」と安心するようになったんです。私たちの年齢では、睡眠は健康の基本ですから。彼女が規則正しく、たっぷり眠っているということは、健康で長生きしてくれるということ。それが何より嬉しいと思えるようになりました。

ここで、少し面白い話を挟みましょう。私の知人で、80歳を過ぎてから恋愛を始めた方がいるんです。お相手は75歳の女性。二人とも配偶者を亡くして、老人会で知り合ったそうです。彼はこう言っていました。「若い頃は、デートで何をするかが大事だった。でも今は、一緒に何もしないことが一番の贅沢だよ」と。

実際、二人のデートは、ほとんどが自宅でのんびり過ごすこと。テレビを見たり、お茶を飲んだり、そして一緒に昼寝をしたり。傍から見れば地味かもしれませんが、二人にとっては至福の時間なんだそうです。「一緒にいびきをかける関係って、最高の信頼関係だよ」という言葉が、妙に心に残りました。

さて、「一緒に寝る」ことが愛情表現になる、という話です。若い頃の恋愛は、どこかに出かけたり、何かをしたり、アクティブな活動が中心でした。でも、私たちの年齢では、「一緒に静かに過ごす」ことの価値が、ぐっと高まります。

私の彼女の家に初めて招かれた時のことです。お昼を一緒に食べて、その後どうするのかなと思っていたら、彼女は「少し横になりましょう」と言いました。私も、食後は眠くなる年齢です。二人でソファに座っていたら、いつの間にか彼女は私の肩に頭を預けて、すやすやと眠っていました。

その時、不思議な感動がありました。人前で、こんなに無防備に眠れるということ。それは、心からリラックスしている証拠ですよね。若い頃なら「デートで寝るなんて」と思ったかもしれません。でも今は、一緒に穏やかな時間を過ごせることが、何よりも幸せなんです。

彼女の寝息を聞きながら、私も目を閉じました。窓から差し込む午後の柔らかい光、遠くで聞こえる子供たちの声、時計の秒針の音。全てが穏やかで、温かかった。彼女の大好きな「睡眠」という時間に、自分も招き入れてもらえた。そんな特別な親近感を覚えたんです。

これは、若い頃にはわからなかった感覚かもしれません。人生の後半になって初めて理解できる、深い絆の形なんだと思います。

ただし、睡眠を邪魔されると不機嫌になる、という問題もあります。これ、意外と大事な点なんです。

私の友人夫婦の話です。70代で再婚した二人は、旅行が好きでした。ある時、京都への旅行を計画し、早朝の新幹線を予約しました。朝6時に家を出る予定で、前日から「明日は早いからね」と確認していたそうです。

当日、夫が妻を起こしに行くと、普段は穏やかな妻が、びっくりするほど不機嫌だったと。布団から出ようともせず、無言で座っているだけ。夫は「体調が悪いのか」と心配しましたが、しばらくして妻は「ごめんなさい、寝起きが本当に悪いの」と謝ったそうです。

結局、その後ゆっくり朝食を取って、予定より遅い新幹線に変更しました。夫は「せっかくの旅行が台無しになるかと思ったけど、彼女の睡眠へのこだわりを理解できて、かえって良かったよ」と話していました。

私たちの年齢では、睡眠のリズムが乱れると、一日中体調が悪くなることもあります。血圧が上がったり、めまいがしたり。だから、睡眠へのこだわりは、わがままではなく、健康管理の一環なんですね。

では、寝ることが好きな人との恋愛を、どう楽しめばいいのでしょうか。若い頃とは違う、私たちなりの楽しみ方があるんです。

まず、「寝落ち」をネタにできる、という点です。若い頃なら、約束を破られたと腹を立てたかもしれません。でも今は、お互いの体調や習慣を笑い合える余裕があります。

私と彼女の間では、「また寝ちゃったね作戦」というのが定番のネタになっています。夜にメッセージが途切れたら、翌朝「昨夜の記録、8時47分でノックアウトでしたね」なんて送る。すると彼女から「いえいえ、8時半にはもう意識が遠のいていました」と返ってくる。そんなやり取りが、日常の小さな楽しみになっているんです。

次に、一緒に過ごす時間の質が高まる、という点です。会える時間が限られているからこそ、一緒にいる時間を大切にしようという意識が働きます。

彼女は朝遅くまで寝ているので、会えるのは午後から。でも、その分、会っている時間は本当に集中して向き合えるんです。若い頃のように、何となくだらだらと一緒にいるのとは違います。限られた時間だからこそ、「今、この瞬間を大切にしよう」という気持ちになるんですね。

先日、彼女とお茶を飲みながら、昔の思い出話をしました。2時間ほどの短い時間でしたが、驚くほど深い会話ができました。彼女の人生、私の人生、それぞれの喜びや悲しみ。若い頃には話せなかったような、心の奥底にある思いを共有できたんです。

「次はまた来週ね」と別れる時、彼女は「短い時間だけど、あなたと話していると、心が満たされるわ」と言ってくれました。その言葉が、どれだけ嬉しかったか。時間の長さではなく、質なんだと実感しました。

それから、ラクな関係を築きやすい、という点も大きいですね。ベタベタしすぎず、適度な距離感が保たれるため、お互いにプレッシャーを感じにくいんです。

私たちの世代は、それぞれに長い人生を歩んできました。自分のペース、自分の生活習慣、大切にしたいことがあります。若い頃のように、相手に全てを合わせることはできません。いえ、する必要もないんです。

彼女は彼女のペースで生活し、私は私のペースで生活する。でも、時々重なる時間を、心から楽しむ。そんな関係が、今の私たちには一番合っているんだと思います。

毎日連絡を取り合う必要もなければ、毎週会わなければいけないわけでもない。でも、会えば心から嬉しいし、話せば楽しい。そんな、肩の力を抜いた関係が、とても心地よいんです。

最後に、安らぎを感じられる、という点です。これが、実は一番大切かもしれません。

人生の後半戦、私たちが求めるのは、刺激や興奮よりも、安らぎや穏やかさではないでしょうか。一緒にいても静かにくつろぐ時間を大切にする。そんな関係だからこそ、深い安らぎを感じられるんです。

ある日曜日の午後、彼女の家で一緒にテレビを見ていました。古い映画でしたが、二人とも途中で眠ってしまいました。目が覚めたら、もう夕方。「あら、寝ちゃったわね」と彼女が笑いました。私も笑いながら、「いい昼寝だったね」と答えました。

その時、ふと思ったんです。これが幸せなんだな、と。若い頃は、デートで寝てしまうなんて、時間の無駄だと思ったかもしれません。でも今は、一緒に安心して眠れるということが、最高の信頼関係の証なんだと理解できます。

彼女も同じことを感じていたようで、「あなたと一緒にいると、本当に心が休まるの。若い頃は、恋愛ってドキドキして、気を遣って、疲れることもあった。でも今は、ただ一緒にいるだけで幸せ」と言ってくれました。

私たちの世代の恋愛は、若い頃とは違います。燃え上がるような情熱よりも、温かく静かな炎のような愛。派手なデートよりも、穏やかな日常の共有。それが、人生の後半戦の恋愛の素晴らしさなんだと思います。

「とにかく寝るのが好きな人」との恋愛は、確かに若い頃の価値観では理解しにくいかもしれません。でも、私たちの年齢だからこそ、その良さがわかるんです。健康を大切にする姿勢、自分のペースを守る強さ、そして何より、一緒に穏やかな時間を過ごせる心地よさ。