シニアからのはるめくせかい

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人生の晩年だからこそ知っておきたい「好みに合わせすぎる人」との上手な付き合い方

年を重ねてくると、人との出会いや関係性について、若い頃とは違った視点で考えるようになりますね。特に、配偶者を亡くされた方や、新しい交友関係を築こうとしている方にとって、相手の心理を理解することは、より良い人間関係を築く上でとても大切なことです。

今日は、「あなたの好みに何でも合わせてくれる人」について、その心理と上手な付き合い方をお話ししたいと思います。一見とても良い人に見えるのですが、実は注意深く観察してみると、様々な気持ちが隠れていることがあるんです。

シニア世代だからこそ遭遇する「合わせすぎる人」

60代、70代になると、新しい人間関係を築く機会が増えてきます。習い事のサークル、地域のボランティア活動、同窓会での再会、時には婚活パーティーなど、様々な場面で新しい方々とお知り合いになることでしょう。

そんな中で、あなたが「昔から演歌が好きで」と言えば「私も演歌大好きです」、「お花を育てるのが趣味で」と言えば「実は私もガーデニングに興味があったんです」と、まるで魔法のようにあなたの好みと一致する人に出会うことがあります。

最初は「なんて気が合う方なんだろう」と嬉しくなりますよね。長年生きてきて、こんなに趣味や考え方が合う人に出会えるなんて、まさに運命的だと感じるかもしれません。でも、少し立ち止まって考えてみてください。本当にそんなにも偶然が重なることがあるでしょうか。

好みに合わせる人の心理を理解しよう

こうした行動の背景には、いくつかの心理が働いています。まず最も多いのが、純粋に「あなたに気に入られたい」という気持ちです。特にシニア世代の男性の中には、長年のサラリーマン生活で身につけた「相手に合わせることで良好な関係を保つ」という習慣が染み付いている方もいらっしゃいます。

彼らは悪気があるわけではありません。むしろ、あなたとの時間を大切にしたい、喜ばせたいという気持ちが強すぎるあまり、自分の本当の気持ちを後回しにしてしまうのです。

また、定年退職後に自分の存在価値に不安を感じている男性も少なくありません。「もう社会的な肩書きもない自分に、果たして魅力があるのだろうか」そんな不安から、相手の好みに合わせることで自分の価値を見出そうとするケースもあります。

実際にあった心温まるエピソード

地域のダンスサークルで知り合った70代の女性から、こんなお話を聞いたことがあります。彼女が「クラシック音楽が好き」と話したところ、同じサークルの男性が「私も昔からクラシックを聴いていました」と言って、翌週にはコンサートのチケットを用意してくれたそうです。

コンサート当日、彼女は彼の様子をよく観察していました。すると、演奏中に居眠りをしそうになったり、拍手のタイミングがずれていたりと、明らかにクラシックに慣れ親しんでいない様子が見て取れました。

「最初は少し複雑な気持ちになりました」と彼女は振り返ります。「でも、休憩時間に『実は普段は演歌ばかり聴いていて、クラシックは詳しくないんです。でも、あなたが好きだと聞いて、一緒に楽しめたらと思って』と正直に話してくれたんです」

その時の彼の表情を思い出すと、今でも胸が温かくなると言います。不器用だけれど、一生懸命に彼女との時間を大切にしようとする気持ちが伝わってきたのです。

ちょっとしたエピソード〜お茶の世界の不思議な出来事

実は、茶道の世界にも面白い話があります。ある茶道教室で、新しく入会した男性が先生に「どんなお茶がお好みですか」と尋ねました。先生が「抹茶の苦みがある濃茶が好きです」と答えると、その男性は次の週から毎回、高級な抹茶を持参するようになりました。

ところが、ある日その男性が体調を崩して欠席した際、彼の奥様から「主人は実はコーヒー党で、お茶は全く飲めないんです。でも先生のお役に立ちたくて」という連絡があったそうです。その後、先生は彼に「お茶が飲めなくても、一緒にお稽古を楽しみましょう」と声をかけ、彼も肩の力が抜けて、本当に茶道を楽しめるようになったといいます。

自分を偽る心理の深層

なぜ人は自分の本当の好みを隠してまで、相手に合わせようとするのでしょうか。シニア世代特有の心理として、「もう歳だから、我慢することに慣れてしまった」という感情があります。

長年にわたって家族のため、会社のために自分の好みを後回しにしてきた結果、いつの間にか自分が本当に何を好きなのか分からなくなってしまった方もいらっしゃいます。そんな時、相手の好みに合わせることは、ある意味で楽な選択なのかもしれません。

また、新しい関係を築くことへの不安も大きな要因です。「本当の自分を見せて、もし嫌われたらどうしよう」「この歳になって、また一人になるのは辛い」そんな気持ちから、安全策として相手に合わせてしまうのです。

主導権を握ろうとする複雑なケース

時には、より複雑な心理が働いている場合もあります。相手の好みを完璧に把握し、それに合わせることで「私がいないとこの人は楽しめない」と思わせようとする人もいます。

これは一種のコントロール欲求で、相手を自分に依存させることで関係を安定させようとする行動です。シニア世代の中にも、こうした傾向を持つ方がいらっしゃるので、注意深く観察することが大切です。

体験談から学ぶ人間関係の奥深さ

あるグラウンドゴルフのサークルでの出来事です。新しく参加した男性が、ベテランの女性メンバーの一人に「どんな食べ物がお好きですか」と聞きました。彼女が「和食が好きです」と答えると、その男性は毎回の昼食に手作りの和風弁当を持参し、彼女にもお裾分けをするようになりました。

最初は「なんて料理上手で優しい方なんだろう」と感動していた彼女でしたが、ある日気になることがありました。他のメンバーが「中華料理はどう?」と提案した時、その男性が困った表情を見せたのです。

「実は、私洋食も中華も大好きなんです」と彼女が言うと、翌週からその男性は中華風の料理も持参するようになりました。しかし、明らかに慣れない様子で、味付けも不自然でした。

心配になった彼女が「無理をしないでください」と声をかけると、男性は安堵の表情を浮かべて「実は料理は得意ではなくて、でもあなたに喜んでもらいたくて必死に勉強していたんです」と打ち明けました。

その後、彼女は「料理の上手下手より、その気持ちが嬉しいです。一緒に簡単な料理を覚えませんか」と提案し、二人で料理教室に通うようになったそうです。

もう一つの興味深いケース

別の体験談として、老人会の旅行での出来事をご紹介しましょう。新しく参加した男性が、以前からのメンバーである女性に「どんな場所がお好きですか」と尋ねました。彼女が「温泉と自然が好きです」と答えると、その男性は次回の旅行の企画を全て温泉と自然に関連したものに変更しようと提案しました。

しかし、旅行当日、男性は温泉に入らず、山歩きでは明らかに疲れ切っている様子でした。心配した女性が声をかけると、「実は温泉が苦手で、足腰も弱くて山歩きは辛いんです。でも、あなたに楽しんでもらいたくて」と正直に話してくれました。

この経験から、彼女は「お互いが楽しめることを一緒に見つけましょう」と提案し、その後は二人で美術館巡りや映画鑑賞など、体に負担の少ない活動を楽しむようになりました。

理想の自分を演じてしまう心理

シニア世代の中には、「理想の自分」を演じてしまう方もいらっしゃいます。特に男性の場合、「男性らしくありたい」「頼りがいのある人だと思われたい」という気持ちから、実際の自分とは違う人物像を作り上げてしまうことがあります。

例えば、相手が「アクティブな人が好き」と言えば、実際は読書が趣味の静かな人でも「私もアウトドアが大好きです」と言ってしまう。相手が「知識豊富な人が魅力的」と言えば、実際はそれほど博学でなくても専門家のように振る舞ってしまう。

こうした行動の裏には、「ありのままの自分では愛されない」という不安や、「年齢を重ねた今、魅力的な部分を強調しなければ」という焦りがあります。

長年の人生経験から見える真実

私たちシニア世代は、長い人生の中で様々な人間関係を経験してきました。だからこそ、表面的な言葉や行動だけでなく、その人の本質を見抜く力を身につけているはずです。

相手があなたに合わせすぎている時、それが純粋な好意からなのか、不安からなのか、それとも何か別の目的があるのかを見極めることが大切です。そして何より重要なのは、あなた自身も無理をせず、ありのままの自分でいることです。

健全な関係を築くための心構え

シニア世代の人間関係において最も大切なのは、お互いが自然体でいられることです。無理をして相手に合わせることで築いた関係は、長続きしないばかりか、お互いにとって疲れるものになってしまいます。

相手があなたの好みに合わせすぎていることに気づいたら、まずは「あなたの好きなことも教えてください」と優しく聞いてみてください。そして、相手が本当の好みを話してくれた時は、批判するのではなく、興味を持って聞いてあげましょう。

お互いの違いを楽しむ関係性

人生の後半戦だからこそ、お互いの違いを楽しめる関係を築きたいものです。あなたが演歌好きで相手がクラシック好きでも、それぞれの魅力を教え合うことで、新しい世界が広がるかもしれません。

あなたが園芸が趣味で相手が読書好きでも、一緒に図書館で園芸の本を探したり、庭で読書を楽しんだりと、新しい楽しみ方を発見できるでしょう。

自分らしさを大切にする勇気

シニア世代になると、「もう歳だから我慢しなければ」「相手に合わせるのが大人の対応」と考えがちですが、それは間違いです。年齢を重ねたからこそ、自分らしさを大切にする権利があるのです。

あなたの好みや価値観は、長年の人生経験から培われた貴重なものです。それを隠したり、偽ったりする必要はありません。堂々と、そして優しく、自分の気持ちを伝えてください。

相手の本音を引き出すコミュニケーション術

相手が本当の自分を見せてくれるような環境を作ることも大切です。まずは、あなた自身が自分の失敗談や苦手なことを率直に話してみてください。「実は私、料理は得意じゃないんです」「機械音痴で、スマートフォンの操作がよく分からなくて」といった具合に。

あなたが自分の弱さや苦手なことを素直に話すことで、相手も「完璧でなくても良いんだ」と安心して、本当の自分を見せてくれるようになります。

時間をかけて築く信頼関係

シニア世代の人間関係は、急ぐ必要がありません。若い頃のように情熱的に一気に距離を縮める必要もないのです。ゆっくりと時間をかけて、お互いのことを知り合っていけば良いのです。

相手があなたに合わせすぎていることに気づいても、すぐに指摘するのではなく、様々な場面でその人の本当の姿を観察してみてください。そして、安心して本音を話せるような雰囲気を作っていきましょう。

人生の豊かさを分かち合う喜び

最終的に大切なのは、お互いの人生経験を分かち合い、残りの人生をより豊かにしていくことです。相手があなたに合わせることで無理をしているなら、それは本当の意味での分かち合いではありません。

お互いが自然体でいられて、それぞれの好みや価値観を尊重し合える関係こそが、シニア世代にふさわしい人間関係と言えるでしょう。