シニアからのはるめくせかい

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シニア世代の恋愛で見落としがちな「意見を言わない」ことの落とし穴

人生経験を重ねてきた私たちシニア世代にとって、恋愛や人間関係は若い頃とは違った深みを持つものです。しかし、長年の経験があるからこそ、時として「波風を立てたくない」「相手を優先したい」という気持ちが強くなり、自分の意見を控えてしまうことがあります。実は、この「自分の意見を言わない」という行動が、恋愛関係において相手から「ずるい」と感じられてしまうことがあるのです。

今日は、この問題について、私たちシニア世代の視点から詳しく考えてみたいと思います。きっと、「ああ、そういうことか」と納得していただける内容になっているはずです。

年齢を重ねた恋愛の微妙な心理

60代、70代になって新しい恋愛を始める方、あるいは長年連れ添ったパートナーとの関係を見直している方にとって、相手への気遣いは自然な感情です。「この年になって、わがままを言うのは恥ずかしい」「相手の好きなようにしてもらった方が楽だろう」そんな風に考えてしまうのも無理はありません。

でも、ちょっと待ってください。72歳になる知人の男性の話を聞いてみましょう。彼は3年前に奥様を亡くされた後、友人の紹介で素敵な女性と知り合いました。お互いに惹かれ合い、月に数回お食事をしたり、映画を見に行ったりする関係になりました。

ところが、この男性、何を決めるにも「あなたの好きなように」「お任せします」と答えてしまうのです。レストランを選ぶ時も、旅行の行き先を決める時も、even普段の会話の中で意見を求められても、いつも同じような返事をしてしまいます。

最初は、女性も「優しい方だわ」と感じていました。しかし、時間が経つにつれて、「この人は本当は何を考えているのだろう」「私とのお付き合いを本気で考えてくれているのだろうか」という不安が募ってきたのです。

女性の心の内は複雑でした。「私ばかりが決めて、この人は責任を取らなくていいのね」「もし私が選んだ場所が気に入らなくても、『あなたが選んだから』と言われそう」そんな気持ちが湧いてきて、だんだんと疲れを感じるようになってしまいました。

ある雨の日の午後、二人で喫茶店にいた時のことです。女性が「今度の連休、どこか行きたいところはありますか?」と尋ねると、男性はいつものように「あなたの行きたいところで構いませんよ」と答えました。すると女性は、少し涙ぐみながら「私だって、あなたの意見が聞きたいんです。私の考えだけで決めるのは、もう疲れました」と言ったのです。

男性は驚きました。自分では相手を思いやっているつもりだったのに、実は相手を困らせていたのです。その瞬間、彼の胸に深い後悔の念が湧き上がりました。

なぜ「意見を言わない」ことが「ずるい」と感じられるのか

私たちシニア世代が陥りやすいこの問題、なぜ相手から「ずるい」と感じられてしまうのでしょうか。

まず第一に、決断の責任をすべて相手に押し付けてしまうことです。例えば、75歳の女性と68歳の男性のカップルのお話です。二人は老人ホームで知り合い、お互いの部屋を行き来する関係になりました。しかし、女性が「今度、息子夫婦に私たちの関係を話したいと思うのですが」と相談した時、男性は「あなたの思うようにして下さい」と答えました。

女性は内心、「この大切な決断を一人で背負わなければならないの?」と感じました。もし息子夫婦が反対した場合、その責任は全て自分が負うことになります。男性の方は、「反対されたら『彼女が決めたことだから』と言えばいい」という立場にいられるのです。

この状況で女性が感じたのは、まさに「ずるい」という感情でした。人生の重要な局面で、パートナーが自分の立場を明確にしてくれない。これは、相手への配慮どころか、実は非常に冷たい態度なのかもしれません。

第二に、感情的な投資の不平等が生まれることです。意見を言う側は、常に自分の気持ちや考えをさらけ出しています。一方、意見を言わない側は、自分の本当の気持ちを隠したまま、安全な場所にいることができます。

これは、ちょうど一人だけが裸になって、もう一人は服を着たままで会話をしているようなものです。心の距離感に大きな差が生まれてしまうのです。

シニア世代特有の「意見を言わない」理由

では、なぜ私たちシニア世代は意見を言いたがらないのでしょうか。実は、年齢を重ねたからこその理由があります。

一つ目は、「もう人生で十分に戦ってきた」という疲労感です。仕事で、家庭で、様々な場面で自分の意見を主張し、時には激しい議論もしてきました。「今さら、また論争をするのは疲れる」そんな気持ちになるのは自然なことです。

二つ目は、「相手を大切にしたい」という純粋な気持ちです。若い頃のように自己主張の強い恋愛ではなく、相手を思いやる穏やかな関係を望む気持ちは美しいものです。しかし、この気持ちが行き過ぎると、かえって相手を困らせてしまうことがあります。

三つ目は、「失うものが大きい」という恐怖心です。若い頃であれば、恋愛関係が破綻しても「また新しい出会いがある」と思えました。しかし、シニア世代にとって、今のパートナーを失うことは、もしかすると最後の恋愛の機会を失うことかもしれません。そのため、波風を立てることを極端に避けてしまうのです。

実際に起こった心温まるエピソード

ここで、少し心が温まるエピソードをご紹介しましょう。これは私の知人の話なのですが、実は全く恋愛とは関係ない場面での出来事です。

85歳になる男性が、近所の公園で毎朝ラジオ体操をしています。ある日、体操の指導をしている70歳の女性から「今度、体操の後でみんなでお茶でもしませんか?」と提案されました。男性は「皆さんの決めた通りで結構です」と答えました。

ところが、その後の話し合いで、参加者たちがなかなか意見がまとまりません。喫茶店派、公園のベンチ派、誰かの家派と分かれてしまったのです。そんな時、最初に提案した女性が「○○さん(85歳の男性)はどう思われますか?」と尋ねました。

男性は少し困った顔をしながらも、「実は、私はコーヒーが飲めないので、お茶の出る場所がいいのですが...」と小さな声で言いました。すると、みんなが「それなら日本茶の美味しい○○さんのお家はどうでしょう?」と一気に話がまとまったのです。

この時、最初に提案した女性は「最初から教えてくださればよかったのに」と言いましたが、同時に「でも、勇気を出して言ってくださって嬉しかった」と涙ぐんでいました。男性も「自分の意見を言うのは悪いことじゃないんですね」と安堵の表情を浮かべていたそうです。

この小さな出来事が、その後二人の関係を深めるきっかけになったということです。恋愛関係ではありませんが、人間関係における意見の表明がいかに大切かを物語るエピソードだと思います。

体験談から学ぶ教訓

冒頭でご紹介した体験談に戻りましょう。あの時の女性の「意見を言わないことは、ある意味で最も残酷な拒絶の仕方だ」という言葉は、シニア世代の恋愛にも重要な示唆を与えています。

年齢を重ねた恋愛では、残された時間が限られているという現実があります。だからこそ、相手への真剣な気持ちを示すことが、若い頃以上に重要になるのです。意見を言わないということは、「あなたとの関係にそれほど真剣に向き合っていません」というメッセージを送ってしまう可能性があるのです。

67歳の女性から聞いた話があります。彼女は、同じ習字教室に通う69歳の男性と親しくなりました。お互いに配偶者を亡くしており、寂しさを分かち合える間柄でした。ある日、女性が「私たちの関係を、お互いの子供たちにどう説明しましょうか」と相談しました。

男性は「あなたの好きなように言えばいいのでは」と答えました。女性は、この答えに深く傷つきました。なぜなら、「私はあなたとの関係を子供たちに誇りを持って話したいと思っているのに、あなたは責任を持ちたくないのね」と感じたからです。

その後、女性は男性に正直な気持ちを伝えました。「私は、あなたとの関係を大切に思っています。だからこそ、あなたの本当の気持ちが知りたいのです。もしあなたが私との関係に確信を持てないなら、はっきりと言ってください。曖昧な答えが一番辛いのです」

この言葉を聞いた男性は、初めて自分の態度が相手を傷つけていることに気づきました。彼は深く反省し、「私も、あなたとの関係を子供たちに堂々と話したいと思っています。一緒に考えさせてください」と答えました。

この話し合いの後、二人の関係はより深いものになりました。男性は後に「意見を言わないことで、実は自分も孤独を感じていた」と打ち明けました。自分の気持ちを隠すことで、相手との距離を作ってしまっていたのです。

健全な関係を築くための具体的な方法

では、私たちシニア世代が健全な恋愛関係を築くために、どのようなことを心がければよいのでしょうか。

まず大切なのは、「小さなことから意見を言う練習をする」ことです。いきなり人生の重大事について意見を述べるのは難しいかもしれません。でも、「今日のお昼は和食が食べたい気分です」「この映画、実は見たことがあるので、別のものはいかがでしょう」といった小さな希望から始めてみてください。

相手も、あなたの意見を聞けることで、「ああ、この人は私との時間を大切に考えてくれているんだな」と感じることができます。小さな意見の積み重ねが、お互いの信頼関係を深めていくのです。

次に重要なのは、「相手の意見を尊重しながら、自分の意見も伝える」バランス感覚です。例えば、「あなたのご提案も素敵ですね。私としては、こんな考えもあるのですが、いかがでしょうか」といった表現を使ってみてください。

また、意見が異なった場合の対処法も覚えておきましょう。シニア世代の恋愛では、「どちらが正しいか」を競うのではなく、「どうすればお互いが満足できるか」を考えることが大切です。

ある78歳の男性と75歳の女性のカップルは、旅行先について意見が分かれました。男性は温泉地、女性は美術館巡りを希望していました。最初はお互いに遠慮して「相手の希望に合わせよう」と思っていましたが、結局正直に話し合うことにしました。

その結果、「午前中は美術館、午後は温泉」という素晴らしい妥協案が生まれました。お互いの希望を尊重しながら、より良い解決策を見つけることができたのです。

感情表現の重要性

シニア世代の恋愛では、意見だけでなく感情の表現も重要です。「嬉しい」「寂しい」「心配」といった気持ちを素直に伝えることで、相手との心の距離を縮めることができます。

69歳の女性が、こんな話をしてくれました。彼女が71歳の男性とお付き合いを始めた頃、男性はいつも穏やかで、感情を表に出すことがありませんでした。女性は「私といても楽しくないのかしら」と不安になっていました。

ある日、二人で夕焼けを見ていた時、女性が勇気を出して「私、あなたと一緒にいると本当に幸せです」と伝えました。すると男性の目に涙が浮かび、「私も同じ気持ちです。でも、恥ずかしくて言えませんでした」と答えたのです。

この瞬間から、二人は感情を素直に表現するようになりました。男性は「君の笑顔を見ると嬉しい」「一人でいると寂しい」といった気持ちを伝えるようになり、女性も安心して自分の感情を表現できるようになりました。

時には、意見の相違から小さな喧嘩をすることもありましたが、それすらも二人にとっては大切なコミュニケーションの一部となりました。お互いの本音を知ることで、より深い理解と愛情が生まれたのです。

シニア世代ならではの恋愛の知恵

私たちシニア世代には、若い頃にはなかった恋愛の知恵があります。それは、「完璧な関係など存在しない」ということを理解していることです。だからこそ、お互いの欠点も含めて受け入れ合う寛容さを持っています。

しかし、この寛容さが時として「何でも我慢してしまう」という問題を生むことがあります。意見を言わないことも、この「我慢」の一種かもしれません。

大切なのは、寛容さと自己表現のバランスです。相手を受け入れながらも、自分の気持ちや考えはしっかりと伝える。これができるようになると、シニア世代の恋愛は、若い頃にはなかった深みと安らぎを持つものになります。

実際に、多くのシニアカップルが「今の方が若い頃よりも良い関係を築けている」と感じています。それは、お互いに素直になれるようになったからです。見栄を張る必要もなく、完璧であろうとする必要もない。ありのままの自分を受け入れてもらえる関係こそが、シニア世代の恋愛の醍醐味なのです。

コミュニケーションの具体的なコツ

最後に、シニア世代の恋愛において、意見を上手に伝えるための具体的なコツをお伝えしましょう。

まず、「私は」を主語にして話すことです。「あなたは○○すべきだ」ではなく、「私は○○だと思います」「私は○○を希望しています」という表現を使うことで、相手を責めることなく自分の意見を伝えることができます。

また、相手の意見を聞く時も、「どちらでもいいです」ではなく、「あなたはどう思われますか?」「あなたのお気持ちを聞かせてください」といった具体的な質問をすることが大切です。

そして、意見が異なった時の魔法の言葉は「そういう考え方もありますね」です。相手の意見を否定せずに受け止めた上で、「私はこんな風に思うのですが」と自分の意見を続けることで、建設的な話し合いができるようになります。

時間をかけて話し合うことの大切さも忘れてはいけません。シニア世代には時間の余裕があります。この余裕を活かして、じっくりとお互いの気持ちを確認し合うことができるのは、大きな利点です。

70代のあるカップルは、重要な話し合いをする時は必ずお茶を用意して、ゆっくりと時間をかけて話すことにしているそうです。急いで結論を出す必要はありません。お互いの心に寄り添いながら、納得のいく答えを見つけていけばよいのです。