シニアからのはるめくせかい

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夫が誕生日を祝ってくれない時の心の向き合い方

窓の外に桜の花びらが舞い散る中、73歳の恵子さんは台所で一人、小さなショートケーキに灯したろうそくを見つめていました。今日は自分の誕生日。隣の部屋では夫の正雄さんが新聞を読んでいる気配がしますが、「おめでとう」の一言もありません。結婚48年、いつからこうなってしまったのでしょうか。

このようなお気持ちを抱えていらっしゃるシニアの方は、実は多くいらっしゃいます。長年連れ添ったパートナーだからこそ、誕生日を大切にしてほしい。その想いと現実のギャップに、心が痛むことがあるのではないでしょうか。

人生の節目を重ねてきた私たちだからこそ見えてくる、夫婦の愛情表現の変化について、今日は一緒に考えてみませんか。

時代と共に変わる誕生日の意味

昭和の時代を生き抜いてきた私たちの世代にとって、誕生日の概念は今の若い世代とは大きく異なっていました。戦後の復興期、高度経済成長期を支えてきた男性たちにとって、家族のための仕事が何よりも優先され、記念日を祝うという習慣は決して当たり前のものではありませんでした。

75歳の隆さんは、こんなことを話してくれました。「俺たちの時代は、誕生日なんて子供のお祝いだった。大人になったら、そんなことより働くことが大事だと教えられてきたんだ」この言葉に、多くの同世代の男性が共感されるのではないでしょうか。

しかし、時代は確実に変わりました。現代では、年齢に関係なく自分自身を大切にし、人生の節目を祝うことの価値が見直されています。特に人生100年時代と呼ばれる今、73歳はまだまだ人生の途中。自分の存在を祝い、これからの人生への希望を新たにする日として、誕生日の意味は大きく変わってきているのです。

シニア男性の心の奥にある思い

「なぜ夫は私の誕生日を祝ってくれないのだろう」そんな疑問を抱く前に、少し夫の立場に立って考えてみませんか。

68歳の和夫さんは、妻の花子さんから「どうして誕生日を忘れるの」と言われて、こんな本音を明かしてくれました。「実は忘れてるわけじゃないんだ。でも、どうしていいかわからなくなってしまった。若い頃は花束を買ったりもしたけれど、今更そんなことしても照れくさいし、妻に笑われるんじゃないかと思ってしまう」

この言葉に、シニア男性特有の複雑な心境が表れています。長年の夫婦生活の中で、愛情の表現方法がわからなくなってしまったり、照れくささが先に立ってしまったりすることは、決して珍しいことではありません。

また、71歳の健一さんは別の視点を教えてくれました。「誕生日を祝うって、相手が喜ぶことをしてあげることでしょう。でも、妻が何を望んでいるのか、正直よくわからない。下手に何かして、『そうじゃない』って言われるくらいなら、何もしない方がいいと思ってしまう」

これは、長年連れ添った夫婦ならではの「甘え」でもあり、同時に「遠慮」でもあるのかもしれません。お互いを知り尽くしているようでいて、実は相手の本当の気持ちを聞くことを怠ってしまっている。そんな状況が、誕生日を素通りしてしまう原因の一つになっているのです。

実際にあった心温まるエピソード

ここで、少し心が軽くなるようなお話をご紹介しましょう。

82歳の時子さんと84歳のご主人の修さんのお話です。修さんは長年、時子さんの誕生日を忘れがちでした。時子さんも「もうこの歳になって、誕生日もないでしょう」と諦めかけていました。

ところが、去年の時子さんの誕生日の朝、修さんが突然「散歩に行こう」と誘ったのです。いつものコースかと思いきya、修さんは時子さんを近所の花屋さんに連れて行きました。

「好きな花を選んでくれ」と修さん。時子さんが驚いていると、花屋の店主が「旦那さんが昨日来て、『明日は妻の誕生日だから、一緒に花を選びたい』って相談されたんですよ」と教えてくれたのです。

時子さんは涙が止まりませんでした。「84歳になっても、こんなサプライズをしてくれるなんて思わなかった。花を選んでいる間、修さんが『この色は時子さんに似合うかな』って真剣に考えてくれている姿を見て、結婚した頃の気持ちを思い出したの」

この話で興味深いのは、修さんが花屋の店主に相談していたことです。実は、シニア男性の多くは「どうしたらいいかわからない」という気持ちを抱えています。そんな時、第三者の助けを借りることで、素敵なサプライズが生まれることもあるのです。

ちょっと面白い誕生日にまつわる豆知識

ところで、皆さんは「誕生日のパラドックス」という話をご存知でしょうか。これは確率論の面白い話なのですが、23人の人が集まると、その中に同じ誕生日の人がいる確率が50パーセントを超えるというものです。

「えっ、そんなはずないでしょう」と思われるかもしれませんが、これは数学的に証明されている事実なんです。365日あるのに、たった23人で?と不思議に思いますが、これは「誰か特定の人と同じ誕生日」ではなく、「誰かと誰かが同じ誕生日」の確率だからなのです。

実は私の住んでいる町内会で、この話を披露したところ、本当に同じ誕生日の方が見つかって大盛り上がりになりました。今では、その方たちは毎年合同で誕生日パーティーを開かれているそうです。こんな偶然から新しい友情が生まれることもあるのですね。

年齢を重ねた今だからこそできる誕生日の楽しみ方

シニア世代の誕生日は、若い頃とは違った特別な意味を持ちます。それは「生きてきた歴史への感謝」と「これからの人生への希望」を同時に感じられる日だということです。

79歳の美智子さんは、こんな素敵な誕生日の過ごし方を教えてくれました。「毎年誕生日には、その年に起こった良いことを3つ、手帳に書き残すことにしています。小さなことでもいいんです。孫が電話をくれたこと、庭の花がきれいに咲いたこと、久しぶりに旧友と会えたこと。そうすると、平凡だと思っていた一年も、実はたくさんの喜びがあったことに気づくんです」

また、85歳の勇さんは「誕生日には、若い頃の写真を見ながら妻と昔話をする」のが恒例だそうです。「結婚式の写真、子供たちが小さかった頃の写真、家族旅行の写真。見ていると、妻も『あの頃はこうだったわね』と笑顔になる。これが何よりのプレゼントです」

これらのエピソードから分かるのは、シニア世代の誕生日は「物」よりも「気持ち」や「時間」を大切にする傾向があるということです。高価なプレゼントよりも、一緒に過ごす時間や、お互いを思いやる気持ちの方が、よほど価値のあるギフトになるのです。

夫婦のコミュニケーションを見直すきっかけとして

「夫が誕生日を祝ってくれない」という状況は、実は夫婦関係を見直す良いきっかけでもあります。長年連れ添った夫婦だからこそ、お互いの気持ちを伝え合うことが疎かになりがちです。

69歳の良子さんは、こんな体験を話してくれました。「ある年の誕生日、夫が何も言ってくれなくて、寂しくて涙が出ました。でも、翌日勇気を出して『誕生日、覚えててほしかった』って伝えたんです。そうしたら夫が『え、昨日だったの?ごめん、最近物忘れが激しくて』って。それで二人で笑ってしまって、『これからはお互いに大切な日は教え合おう』って約束したんです」

この話で大切なのは、良子さんが自分の気持ちを素直に伝えたことです。シニア世代の女性は「この歳になって、そんなことを言うのは恥ずかしい」と思いがちですが、年齢に関係なく、自分の気持ちを大切にして伝えることは決して恥ずかしいことではありません。

むしろ、人生の先輩だからこそ、お互いの残された時間を大切に過ごすために、遠慮なく気持ちを伝え合うことが重要なのです。

心の距離を縮める小さな工夫

夫に誕生日を祝ってもらうために、いくつかの工夫をご紹介しましょう。これらは、長年の夫婦生活で培った知恵と、シニア世代ならではの穏やかなアプローチです。

まず、「さりげなくリマインドする」方法があります。77歳の静江さんは「カレンダーに『○月○日 私の誕生日』って書いて、よく見える場所に貼っています。夫は最初『そんなことしなくても』って言いましたが、今では『あ、もうすぐだね』って気づいてくれるようになりました」と教えてくれました。

次に、「一緒に計画を立てる」という方法です。80歳の千代子さんは「『今度の誕生日、どこか美味しいものでも食べに行きましょうか』って、一ヶ月前から夫と相談するようにしています。そうすると、夫も『誕生日』を意識してくれるし、二人で楽しみながら準備できるんです」

また、「小さなことから始める」のも効果的です。72歳の光子さんは「最初は『誕生日だからケーキでも買いましょうか』って提案するだけでした。そうしたら、夫が『じゃあ、一緒に選びに行こうか』って言ってくれて。今では毎年、二人でケーキ屋さんに行くのが恒例になりました」

これらの工夫に共通するのは、相手を責めるのではなく、一緒に楽しい時間を作ろうとする姿勢です。シニア世代の夫婦だからこそ、お互いを思いやりながら、穏やかに関係を育んでいくことができるのです。

自分自身を大切にする誕生日の過ごし方

時には、夫に期待するのではなく、自分自身で自分の誕生日を大切にすることも重要です。これは決して寂しいことではありません。むしろ、自分の人生を主体的に楽しむ、とても前向きな行動なのです。

81歳の鈴子さんは、こんな素敵な誕生日の過ごし方をされています。「毎年誕生日には、自分へのご褒美に少し良いお茶を買うんです。そして、そのお茶を飲みながら、日記を読み返します。一年間の出来事を振り返って、『よく頑張ったね』って自分を褒めてあげるんです。夫は『何してるんだ』って不思議そうですが、私はこの時間がとても好きなんです」

また、76歳の信子さんは「誕生日には必ず、子供や孫に電話をかけます。『今日はお母さんの誕生日よ』って。そうすると、みんな『おめでとう!』って言ってくれて、しばらく話し込むんです。夫は電話をかけないけれど、家族みんなに祝ってもらえて幸せな気持ちになります」

さらに、74歳の京子さんは「友達と誕生日会をするようになりました。同じような悩みを持つ友達と、『私たちで祝い合いましょう』って。毎月誰かの誕生日があるから、月に一回は集まって、ささやかなパーティーをしています。夫は『また女子会か』って苦笑いしますが、私たちはとても楽しんでいます」

これらの例から分かるのは、自分の誕生日を大切にする方法はたくさんあるということです。夫に祝ってもらえないからといって落ち込む必要はありません。自分で自分を大切にし、周りの人たちとの関係を深めることで、より充実した誕生日を過ごすことができるのです。

長年の夫婦だからこそ見えてくる愛情の形

ここで大切なことをお伝えしたいと思います。夫が誕生日を祝ってくれないからといって、愛情がないわけではないということです。長年連れ添った夫婦の愛情は、若い頃のような分かりやすい形ではなく、日常の小さな気遣いの中に表れることが多いのです。

78歳の和子さんは、こんなことに気づかれました。「夫は誕生日を忘れがちですが、私が風邪をひくと必ずお粥を作ってくれます。朝、起きると私の分のお茶が用意されています。散歩に行くときは、必ず『気をつけて』って声をかけてくれます。これも愛情の表れなんだって、最近気づいたんです」

また、75歳の文子さんは「夫は『おめでとう』とは言わないけれど、誕生日の日はなぜかいつもより優しい気がします。新聞を読みながら、『今日はいい天気だね』とか、普段言わないようなことを話しかけてくれます。きっと、心の中では私の誕生日を意識してくれているんだと思います」

シニア世代の男性の多くは、感情を表現することが苦手です。でも、だからといって愛情がないわけではありません。ただ、その表現方法が私たち女性の期待するものと違っているだけなのです。

長年連れ添った夫婦だからこそ、相手の愛情表現のパターンを理解し、それを認めてあげることも大切なのかもしれません。

今後の夫婦関係をより良くするために

「夫が誕生日を祝ってくれない」という課題を通じて、今後の夫婦関係をより良いものにしていくためのヒントを考えてみましょう。

まず、お互いの価値観を理解し合うことが重要です。83歳の昭雄さんと80歳の房子さんご夫婦は、こんな取り組みをされています。「月に一回、お茶を飲みながら『今月はどうだった?』って話し合う時間を作りました。その時に、嬉しかったことや寂しかったことも伝え合います。誕生日のことも、その時に話題にすることがあります」

また、新しい習慣を一緒に作ることも効果的です。79歳の英二さんと76歳の恵さんは「誕生日に限らず、月命日(結婚記念日の毎月版)を作って、毎月15日には少し特別なことをすることにしました。ケーキを買ったり、外食したり、写真を見たり。小さなことですが、二人の楽しみになっています」

さらに、感謝の気持ちを言葉にして伝える習慣をつけることも大切です。81歳の正夫さんは「妻に『いつもありがとう』って言うのが恥ずかしくて、長年言えずにいました。でも、ある日思い切って言ってみたら、妻がとても喜んでくれて。それからは、何かしてもらったら必ず『ありがとう』って言うようにしています」

これらの取り組みに共通するのは、「完璧を求めない」ということです。長年の習慣はすぐには変わりません。でも、少しずつでも良い方向に変化していけば、それだけで夫婦関係は改善されていくのです。