シニアからのはるめくせかい

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夫の思いやりのなさに悩むシニア女性へ贈る、心の整理と向き合い方

結婚生活を長く続けてきた中で、ふと「この人、私のことを本当に大切に思ってくれているのかしら」と感じる瞬間はありませんか。40年、50年と共に歩んできた夫が、最近どうも思いやりに欠けるように感じる。そんな複雑な気持ちを抱えているシニア女性の方々に、心を込めてお話ししたいと思います。

長い結婚生活の中で感じる違和感の正体

70歳を過ぎた良子さんは、最近、夫の行動にモヤモヤした気持ちを抱えています。結婚45年を迎えた夫の健二さんは、定年退職後、家にいる時間が増えたのですが、良子さんへの思いやりが感じられない行動が目立つようになりました。

朝起きると、健二さんは新聞を読みながら「お茶」と一言。良子さんが朝食の準備をしている間も、新聞から目を離すことはありません。食べ終わると食器をそのままにして居間のソファへ。良子さんが片付けをしている音が聞こえているはずなのに、テレビのリモコンを手に取って番組を探しています。

良子さんの心の中では、「せめて『ごちそうさま』の一言くらい言ってくれてもいいのに」という思いがふつふつと湧き上がります。でも、長年の夫婦だからこそ、今さらそんなことを言うのも恥ずかしいような、情けないような気持ちになってしまうのです。

シニア世代の夫婦が直面する思いやりの変化

現在のシニア世代は、高度経済成長期を支えた働き盛りの時代を過ごしてきました。男性は外で働き、女性は家庭を守るという明確な役割分担の中で生きてきた世代です。そのため、夫が家事に参加することや、日常的に感謝の言葉を口にすることが、当時の社会では一般的ではありませんでした。

しかし、時代は変わりました。定年を迎え、夫婦で過ごす時間が圧倒的に増えた今、これまで見えなかった相手の一面が見えてくることがあります。現役時代は仕事に追われ、家族のための時間が限られていた夫が、今度は一日中家にいる。その中で、妻への気遣いや感謝の表現が足りないと感じる場面が増えてくるのです。

73歳の文子さんは、こんな体験を話してくれました。「主人が退職して3年になるのですが、最初は『お疲れさまでした』という気持ちで、ゆっくりしてもらおうと思っていました。でも、毎日家にいるようになって、私への接し方が雑になったような気がするんです。まるで私が家政婦のように感じることがあって、悲しくなります」

この文子さんの言葉には、多くのシニア女性が共感するのではないでしょうか。長年支え続けてきた夫から、人として大切に扱われていないと感じる瞬間の辛さは、言葉では表現しきれないものがあります。

具体的な「思いやりのなさ」を感じる瞬間

シニア世代の夫婦が感じる「思いやりのなさ」には、年代特有の背景があります。体力の衰えや健康への不安が増す中で、相手からの気遣いがより重要になってくるのです。

76歳の和子さんの場合、膝の痛みで重いものを持つのが辛くなりました。ある日、スーパーで買い物をした帰り道、重い荷物を両手に抱えて歩いていると、隣を歩く夫の正夫さんは何も気づかずに歩いています。和子さんが「重くて困っているのに」と心の中で思っても、正夫さんは自分のペースで歩き続けます。

「昔だったら、私も文句なんて言わなかったし、むしろ夫に甘えるのは申し訳ないと思っていました。でも、年を取って体がきつくなってくると、少しでもいたわってくれる言葉や行動がほしくなるんです」と和子さんは振り返ります。

また、81歳の照子さんは、病院での検査結果を心配している時のことを話してくれました。「血圧の薬を変えることになって、少し不安だったんです。主人に『大丈夫かな』と相談したら、『医者が決めたことだから大丈夫だろう』と素っ気ない返事。私の不安な気持ちに寄り添ってくれる言葉がほしかったんですが、まるで他人事のようでした」

このように、年を重ねるにつれて、パートナーからの精神的な支えがより必要になってくるのに、相手がそれに気づいてくれないという状況に直面することが増えてきます。

男性心理の理解という視点

一方で、シニア男性の立場から考えてみることも大切です。現在70代、80代の男性たちは、感情を表現することや、細やかな気遣いを言葉にすることが苦手な世代でもあります。

78歳の昇さんは、妻の怜子さんから「思いやりがない」と言われた時の気持ちをこう話してくれました。「妻のことは大切に思っているし、愛している。でも、それを言葉にするのは照れくさくて。『ありがとう』も『お疲れさま』も、心の中では思っているんだけど、つい言いそびれてしまう。妻が怒っているのを見ると、申し訳ない気持ちになるんだが、どう表現していいか分からないんだ」

昇さんの言葉からは、思いやりの気持ちはあるけれど、それをうまく表現できない男性の心境が伝わってきます。長年の習慣や、世代的な価値観が、素直な感情表現を妨げている場合もあるのです。

面白いことに、昇さんは若い頃、会社で部下たちから「温厚で優しい上司」と慕われていました。外では人に気を遣い、思いやりのある言葉をかけることができたのに、家庭では妻に対してそれができない。これは多くのシニア男性に共通する現象かもしれません。家族だからこそ甘えが出てしまい、外で見せる気遣いを家庭では忘れてしまうのです。

健康問題が関係に与える影響

シニア世代では、お互いの健康状態が夫婦関係に大きな影響を与えることがあります。体調が優れない時や、病気への不安を抱えている時こそ、パートナーからの思いやりが重要になります。

79歳の敏江さんは、軽い認知症の診断を受けた夫の信一さんのことで悩んでいます。「昔は私の体調を気遣ってくれていたのに、最近は自分のことで精一杯なようで、私が風邪をひいても気づいてくれません。病気だから仕方ないと頭では分かっているのですが、やはり寂しい気持ちになります」

一方、信一さんの立場から見ると、認知症による不安や混乱で、妻への気遣いまで頭が回らない状況があります。病気が原因で思いやりを示すことが難しくなっているケースでは、お互いにとって辛い状況と言えるでしょう。

また、75歳の春雄さんは、持病の糖尿病の管理で食事制限があります。妻の房子さんが心を込めて作った料理に対して、「これは食べられない」「味が濃い」と文句を言ってしまいます。房子さんは「私なりに栄養を考えて作っているのに、感謝よりも文句が先に出る」と悲しい気持ちになります。

春雄さんも決して悪意があるわけではなく、病気への不安から神経質になってしまっているのです。しかし、房子さんの努力への感謝の言葉が抜け落ちてしまうことで、思いやりがないと受け取られてしまいます。

コミュニケーションの質を向上させる方法

長年の夫婦だからこそ、今さら関係を変えるのは難しいと感じる方も多いでしょう。しかし、少しずつでも改善していく方法はあります。

82歳の光江さんと85歳の一郎さん夫妻は、最近、お互いへの感謝を言葉にする習慣を始めました。きっかけは、光江さんが体調を崩して入院した時のことでした。一郎さんは初めて一人で家事をすることになり、光江さんが普段どれだけ多くのことをしてくれていたかを実感したのです。

退院後、一郎さんは光江さんに「今まで当たり前だと思っていたけれど、君がいつも僕のために色々なことをしてくれていたんだね。ありがとう」と素直に伝えました。光江さんも「そんな風に言ってもらえて嬉しいです。お父さんも、いつも私のことを気にかけてくれてありがとう」と返しました。

それ以来、二人は小さなことでも「ありがとう」と言い合うようになりました。「お茶を入れてくれてありがとう」「新聞を取ってきてくれてありがとう」といった日常の何気ない行動にも感謝の言葉をかけるようになったのです。

光江さんは微笑みながら話します。「最初は照れくさかったですが、慣れてくると自然に言えるようになりました。お互いに『大切にされている』という気持ちになって、雰囲気が随分良くなったと思います」

自分の気持ちを上手に伝える方法

思いやりを感じられない時、どのように相手に気持ちを伝えれば良いでしょうか。攻撃的になったり、感情的になったりするのではなく、建設的な話し合いができる方法を考えてみましょう。

77歳の美佐子さんは、長年溜め込んでいた気持ちを夫に伝える時の工夫を教えてくれました。「まず、相手を責めるような言い方はしないようにしています。『あなたは思いやりがない』ではなく、『私はこういう時にこうしてもらえると嬉しい』という伝え方をするんです」

美佐子さんの場合、夫が自分の都合ばかりを優先することに不満を感じていました。そこで、「私の意見も聞いてもらえると、一緒に決めている気持ちになって嬉しいです」と具体的に伝えたそうです。

また、タイミングも大切だと美佐子さんは言います。「相手が疲れている時や、機嫌が悪い時に話しても聞いてもらえません。お茶を飲みながらリラックスしている時間を選んで、穏やかに話すようにしています」

夫の良太郎さんも、美佐子さんのこの伝え方には耳を傾けやすいと感じているそうです。「責められているような気持ちにならないので、素直に聞くことができます。妻がどう感じているかが分かって、気をつけようという気持ちになります」

世代の違いを乗り越える理解

現在のシニア世代は、若い世代とは異なる価値観や習慣の中で育ってきました。その背景を理解することも、お互いの思いやりを育むために重要です。

80歳の千鶴子さんは、夫の清さんとの関係について、こんな風に考えるようになりました。「この人は戦後の厳しい時代を生きてきて、感情を表に出すことが苦手な世代なんです。でも、私のために一生懸命働いて、家族を支えてくれたことは確かです。言葉には出さないけれど、行動で愛情を示してくれていたのかもしれません」

千鶴子さんの言葉からは、相手の背景を理解しようとする温かな気持ちが伝わってきます。思いやりの表現方法は人それぞれであり、言葉ではなく行動で示す人もいるということを理解することで、見方が変わることもあります。

新しい関係性を築く可能性

年を重ねてからでも、夫婦関係に新たな風を吹き込むことは可能です。お互いの変化を受け入れながら、これまでとは違った形の思いやりを育んでいくことができるのです。

84歳の正男さんと81歳の悦子さん夫妻は、最近、一緒に散歩をする習慣を始めました。正男さんは足腰が弱くなった悦子さんのペースに合わせて、ゆっくりと歩きます。悦子さんも、正男さんが疲れないように休憩を提案します。

「若い頃は、それぞれ忙しくて、こんなにゆっくり二人で過ごす時間はありませんでした。今になって、お互いを気遣いながら一緒に歩く時間が、とても貴重に感じます」と悦子さんは話します。

正男さんも「妻のおかげで、毎日の楽しみができました。二人で外の空気を吸いながら話をする時間は、今まで味わったことのない幸せです」と笑顔で語ります。

心の余裕を保つための工夫

夫の思いやりのなさにイライラしてばかりいては、自分自身が疲れてしまいます。心の余裕を保つための工夫も大切です。

74歳の順子さんは、友人たちとの時間を大切にすることで、夫への不満を和らげています。「月に一度、学生時代の友人たちとお茶をする時間があります。そこで夫の愚痴を聞いてもらったり、他の人の話を聞いたりすると、『みんな似たような悩みを抱えているんだな』と思えて、気持ちが楽になります」

また、順子さんは自分の趣味の時間も大切にしています。「習字を習い始めたんです。集中している時間は、夫のことを忘れて自分だけの世界に入れます。そうすると、家に帰った時に、夫の小さな気遣いにも気づけるようになりました」

このように、自分自身の心を満たす時間を持つことで、相手に対する見方も変わってくることがあります。