シニアからのはるめくせかい

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人生の後半戦で見つめ直す「自分らしさ」の大切さ:模倣に頼らない、真の個性を育む人間関係の築き方

75歳になった今、振り返ると人生には「自分らしさ」を見失いそうになった瞬間がいくつもありました。特に私たちシニア世代は、長い人生の中で様々な役割を演じ、時には周りに合わせることが美徳とされる時代を生きてきました。しかし、年を重ねた今だからこそ、本当の自分らしさとは何か、そして人間関係における健全な距離感について深く考える時期に来ているのではないでしょうか。

今日は、私自身の体験を通じて、過度な模倣に頼る人間関係の危うさと、シニア世代だからこそできる、互いの個性を尊重し合う豊かな関係の築き方についてお話ししたいと思います。特に、恋愛関係、友人関係、そして家族関係において、どのように自分らしさを保ちながら相手との調和を図っていけばよいのかを考えてみましょう。

戦後世代が体験した「同調圧力」の時代と個性の芽生え

まず、私たちシニア世代が育った時代背景を振り返ってみましょう。戦後復興期から高度経済成長期にかけて、日本社会は「みんなで力を合わせて頑張る」ことが重視されていました。個性よりも協調性、自己主張よりも周りとの調和が求められる時代でした。

私が若い頃は、「出る杭は打たれる」という言葉が当たり前のように使われていました。学校でも職場でも、人と違うことをするよりも、みんなと同じように行動することが安全で賢明だと考えられていました。

そんな環境で育った私たちは、時として「自分らしさ」よりも「周りに合わせること」を優先してしまう癖がついているかもしれません。しかし、人生の後半戦を迎えた今、本当に大切なのは何なのでしょうか。

私が65歳の時に経験した、地域のコーラスグループでの出来事をお話ししましょう。

65歳で始めたコーラスグループでの自分探し

夫を亡くして2年が経った頃、寂しさを紛らわすために地域のコーラスグループに参加することにしました。そこで出会った同世代の女性、弥生さんとの関係から、私は「模倣」の危うさを学ぶことになりました。

弥生さんは私より5歳年上で、コーラス歴も長く、グループでは中心的な存在でした。最初は、彼女の歌声に憧れ、発声法や歌い方を真似しようと一生懸命でした。これは自然な学習の過程だったと思います。

しかし、次第に弥生さんの影響は歌だけにとどまらなくなりました。彼女が着ている服のスタイル、使っている楽譜ケース、さらには髪型まで真似するようになったのです。

ある日、練習後のお茶の時間に、他のメンバーから「最近、あなたたち姉妹みたいね」と言われました。その瞬間、私は妙な違和感を覚えました。確かに外見は似ていましたが、これは本当の私なのだろうかという疑問が頭をよぎったのです。

弥生さん自身も、私の変化に気づいていたようでした。ある時、練習前に「あなた、最近私と同じような格好をしているけれど、あなたらしい個性も大切にした方がいいんじゃない?」と優しく声をかけてくれました。

その時の私の心境は複雑でした。弥生さんに憧れるあまり、いつの間にか自分らしさを見失っていたことに気づかされたのです。一方で、「これまでの自分に何か足りないものがあったから、人の真似をしたくなったのかもしれない」という不安も感じました。

その夜、鏡の前に立って自分の姿を見つめました。確かに弥生さん風の服装をした私がそこにいましたが、その表情には本来の私らしい輝きが失われているような気がしました。

70歳での再婚相手との「個性のすり合わせ」体験

コーラスグループでの経験から学んだ教訓は、70歳で再婚を決意した時にも活かされました。お相手は元教師の72歳の男性で、知的で穏やかな方でした。

交際が始まった頃、彼は私の趣味や考え方に非常に興味を示してくれました。私が好きな作家の本を読み始め、私がよく行く喫茶店に一人でも通うようになり、私の口癖まで自然に使うようになったのです。

最初は「私のことを深く理解しようとしてくれている」と嬉しく感じていました。しかし、時間が経つにつれて、彼の中の「彼らしさ」が見えなくなってきたことに不安を覚えるようになりました。

ある春の午後、二人で散歩をしている時に、私は勇気を出して彼に尋ねました。「あなたが本当に好きなものって何ですか?私の影響を受ける前から、あなたが大切にしていたものを聞かせてください」

彼は少し困ったような表情を見せました。「君が好きなものを好きになることで、君により近づけると思ったんだ。でも、確かに最近、自分が何を本当に好きなのか分からなくなってきていた」と正直に答えてくれました。

その日を境に、私たちは「お互いの違いを楽しむ」関係を築いていくことにしました。彼は元々クラシック音楽が好きで、私は演歌や民謡が好み。お互いの好きな音楽を相手に紹介し合い、時には一緒に楽しみ、時にはそれぞれの世界を尊重するようになりました。

結果として、私たちの関係はより深く、豊かなものになりました。完全に同じである必要はない、むしろ違いがあるからこそ学び合えるということを実感した体験でした。

近所の友人関係における「模倣」の連鎖

住んでいるマンションの同じフロアに住む友人たちとの関係でも、興味深い体験をしました。

隣の部屋に住む昭子さんは、とてもおしゃれで社交的な女性でした。彼女の影響で、私たちのフロアの女性たちの間で、ちょっとした「昭子さんブーム」が起こったのです。

最初は昭子さんが教えてくれた化粧品を皆で試すようになり、次に彼女おすすめのレストランに一緒に行くようになり、やがて皆が似たような服装をするようになりました。

しかし、この状況が続くうちに、微妙な問題が生じ始めました。昭子さん自身が「みんなが私の真似ばかりして、なんだか居心地が悪い」と感じるようになったのです。また、グループの中でも「誰が一番昭子さんに似ているか」といった競争のような雰囲気が生まれてしまいました。

ある日、昭子さんから「皆さんにお話ししたいことがある」と声をかけられました。彼女は涙ぐみながらこう言いました。「私のことを慕ってくれるのは嬉しいのですが、皆さんにはそれぞれの魅力があります。私の真似をするよりも、それぞれの個性を活かした方が、もっと素敵だと思うんです」

この出来事をきっかけに、私たちのグループは大きく変わりました。お互いの違いを認め合い、それぞれの得意分野を活かして助け合う関係に発展したのです。昭子さんはファッション、花子さんは料理、私は読書といった具合に、それぞれの専門性を尊重し合うようになりました。

孫との関係で学んだ「世代を超えた個性の尊重」

家族関係においても、個性と模倣の問題は複雑な形で現れます。特に孫との関係では、世代間の違いを踏まえながら、お互いの個性を尊重することの大切さを学びました。

中学生の孫娘は、私の影響を受けて読書好きになってくれました。最初は私が勧める本を喜んで読んでいたのですが、ある時期から私と全く同じジャンルの本ばかりを読むようになり、自分の年代に合った本や友達との話題についていけなくなってしまいました。

孫娘の母親である娘から「お母さん、あの子が学校で浮いてしまっているみたい。もう少し同年代の子たちとの共通点も大切にしてもらえる?」と相談されました。

私は深く反省しました。孫娘に読書の楽しさを伝えたかったのですが、結果的に彼女の同世代との交流を阻害してしまっていたのです。

そこで孫娘と二人で話し合いました。「おばあちゃんと同じ本を読んでくれるのは嬉しいけれど、あなたの年代だからこそ楽しめる本もたくさんあるのよ。友達とも本の話ができるようになったら、もっと読書が楽しくなるんじゃない?」

孫娘は「おばあちゃんに喜んでもらいたくて、同じ本ばかり読んでいた」と打ち明けてくれました。その素直さに胸を打たれると同時に、私は大切なことを見落としていたことに気づきました。

それ以降、私たちは「お互いの読書体験を共有する」関係に変わりました。私は私の世代の名作を、孫娘は現代の若者向けの本をそれぞれ読んで、感想を交換するようになりました。結果として、私も新しい文学の世界を知ることができ、孫娘も古典の素晴らしさを理解するようになりました。

面白いことに、この頃我が家で飼い始めた文鳥の「ぴーちゃん」がいました。ぴーちゃんは人の声を真似するのがとても上手でしたが、家族それぞれの声の特徴を覚えて、状況に応じて使い分けていました。例えば、私の「おはよう」は朝に、孫娘の「ただいま」は夕方に鳴くのです。まるで真似をしながらも、自分なりの使い方を見つけているかのようでした。この小さな鳥から、真似と個性の絶妙なバランスについて学ばされました。

老人ホームでの共同生活における個性の発見

76歳になり、一人暮らしが困難になった時、私は高齢者向けの住宅に入居することになりました。そこでの共同生活は、個性と調和について新たな気づきを与えてくれました。

入居当初、私は「皆さんと仲良くしなければ」という思いが強すぎて、他の入居者の行動パターンに過度に合わせようとしていました。早起きの人に合わせて朝5時に起き、テレビ好きの人に合わせて興味のない番組を見、活発な人に合わせて疲れるほど外出していました。

しかし、このような生活を続けているうちに、体調を崩してしまいました。無理をして他人に合わせることで、本来の自分のリズムを見失っていたのです。

施設のカウンセラーの方に相談したところ、「共同生活では調和は大切ですが、自分らしさを失ってはいけません。あなたらしい形で貢献できることを見つけてみませんか?」とアドバイスをいただきました。

そこで私は、自分の得意分野である読み聞かせを提案してみました。図書室で週に一度、希望者に向けて短編小説や詩の朗読会を開くことにしたのです。

この活動を通じて、私は自分らしい形で施設の皆さんと関わることができるようになりました。朗読が好きな人、聞くだけでも楽しい人、全く興味のない人、それぞれがいて当然だということも理解できました。

また、他の入居者の方々も、それぞれの得意分野を活かした活動を始めるようになりました。園芸が得意な人は花壇の世話を、料理が得意な人は簡単なお菓子作りを、手芸が得意な人は季節の飾り物作りを担当するようになりました。

結果として、施設全体が「個性を活かし合うコミュニティ」に変化していきました。皆が同じことをする必要はない、それぞれの強みを活かして全体に貢献すれば良いのだということを、身をもって体験することができました。

医療関係者との関係における「患者としての主体性」

シニア世代になると、医療機関との関わりが増えます。ここでも、過度に医師や看護師の言うことに従いすぎることの危険性を学びました。

定期的に通院している内科の先生は、とても優秀で信頼できる方でした。しかし、私は「患者は医師の指示に従うべき」という思い込みが強すぎて、自分の体調や気持ちを十分に伝えることができていませんでした。

ある時、処方された薬の副作用で体調が悪くなったのですが、「先生が処方してくださったのだから」と我慢して飲み続けていました。結果として、症状が悪化してしまい、入院することになってしまいました。

担当の看護師の方から「なぜもっと早く体調の変化を訴えなかったのですか?」と聞かれた時、私は初めて自分の行動を振り返りました。医師を信頼することと、自分の体の声を無視することは全く別の問題だったのです。

この経験以降、私は医療者との関係においても「適切な自己主張」の大切さを学びました。医師の専門知識を尊重しながらも、自分の体の状態や希望を正確に伝える。これは患者としての責任でもあるのだということを理解しました。

現在では、診察前に必ず「今日伝えたいこと」をメモにまとめ、遠慮せずに質問や相談をするようにしています。医師の方も、私が積極的に自分の状態を報告することで、より適切な治療方針を立てることができると言ってくださいます。

地域活動における「役割分担」と個性の活用

地域のボランティア活動に参加する中でも、個性と協調のバランスについて多くのことを学びました。

最初に参加した清掃活動では、リーダーの方の指示に忠実に従うことだけを考えていました。しかし、ある日参加した花壇の整備活動で、私が以前から趣味としていたガーデニングの知識が役に立つ場面がありました。

「この植物は、もう少し日陰に植えた方が良いかもしれません」と提案したところ、リーダーの方が「詳しいんですね!ぜひアドバイスをお願いします」と言ってくださいました。

この時初めて、ボランティア活動においても「指示に従うだけでなく、自分の知識や経験を活かして貢献する」ことの大切さに気づきました。

その後、私は地域の緑化活動の担当者の一人として活動するようになりました。他の参加者の方々も、それぞれの専門分野を活かして活動に貢献するようになり、より効果的で充実したボランティア活動ができるようになりました。

この経験から、真の協調とは「皆が同じことをすること」ではなく、「それぞれの個性や能力を活かして共通の目標に向かうこと」だということを学びました。

シニア世代だからこそできる「個性を育む」関係づくり

これらの体験を通じて、私はシニア世代だからこそできる人間関係のあり方があることに気づきました。

若い頃は、どうしても「相手に合わせなければ」「嫌われてはいけない」という気持ちが強く、自分らしさを抑えてしまうことがありました。しかし、人生の後半戦を迎えた今、残された時間を考えると、本当に大切なのは表面的な調和ではなく、深い理解に基づいた関係だということが分かります。

シニア世代の私たちには、若い世代にはない特別な強みがあります。それは、長い人生経験に基づいた「人を見る目」と「自分を知る力」です。

他人の真似をしなくても、自分には自分なりの魅力や価値があることを理解している。相手の個性を尊重し、違いを楽しむ余裕がある。表面的な類似よりも、心の深いつながりを重視できる。これらは、人生経験豊かな私たちだからこそ持てる能力です。

また、時間の貴重さを知っている私たちは、無駄な競争や比較に時間を費やすよりも、お互いの良いところを認め合い、支え合うことの価値を理解しています。

健全な人間関係を築くための実践的な方法

これまでの経験を踏まえて、健全な人間関係を築くための具体的な方法をご紹介したいと思います。

まず重要なのは、「自分の価値観や好みを明確にする」ことです。何となく相手に合わせるのではなく、自分が本当に大切にしているものは何かを明確にしておくことが大切です。

次に、「相手の個性を積極的に発見し、認める」ことです。相手が自分と違うことを脅威と感じるのではなく、新しい発見の機会として捉える姿勢を持ちましょう。

また、「違いを楽しむ会話」を心がけることも重要です。「あなたはどう思う?」「私とは違う視点ね、面白い」といった言葉を使って、相手の独自性を引き出す会話を増やしましょう。

さらに、「適度な距離感を保つ」ことも大切です。親しくなっても、お互いの個人的な空間や時間を尊重し、依存的になりすぎない関係を維持することが重要です。

そして、「相手の成長を支援する」姿勢を持つことです。相手が自分らしさを発見し、伸ばしていくことを応援する関係は、最も美しい人間関係の一つです。

過度な模倣に陥らないための自己チェック方法

時には、自分自身が他人を過度に模倣していないか、チェックしてみることも大切です。

「最近、自分らしい行動や発言をしているか?」「相手の真似ばかりしていないか?」「自分の意見を言えているか?」「相手に依存しすぎていないか?」これらの質問を定期的に自分に問いかけてみましょう。

もし模倣に偏りすぎていると感じたら、意識的に「自分らしい選択」をする機会を増やしてみてください。小さなことでも構いません。相手とは違う本を読む、違う散歩コースを選ぶ、違う意見を述べるといった小さな変化から始めてみましょう。

また、「一人の時間」を大切にすることも重要です。他人の影響を受けずに、自分の内面と向き合う時間を持つことで、本来の自分らしさを取り戻すことができます。

現在の私が大切にしている人間関係の原則

今の私が最も大切にしているのは、「お互いの個性を尊重し合いながら、心で繋がる関係」です。

表面的な類似よりも、心の奥底での理解と共感を重視しています。相手と全く同じである必要はない、むしろ違いがあるからこそ学び合い、成長し合えるのだと考えています。

また、「年齢を重ねたからこそできる深い友情」を大切にしています。若い頃のような情熱的な関係ではなく、静かで深い理解に基づいた関係。お互いの人生経験を尊重し合い、残された時間を豊かに過ごすための関係です。

そして、「次世代への良い手本となる関係」を心がけています。私たちの人間関係のあり方が、子どもや孫たちにとって参考になるような、成熟した大人の関係を築きたいと思っています。