心から輝く60代の装い〜自分らしさを大切にするファッション選びのヒント
夏の暑い日、スーパーで出会った60代の女性は、リネンのワンピースに淡いブルーのストールを軽やかに巻き、シンプルながらも品の良さが漂っていました。彼女の佇まいは自信に満ち、年齢を重ねることを楽しんでいるようにさえ見えたのです。一方、同じ年代でも全身若者ブランドに身を包み、どこか居心地の悪そうな表情の方もいます。この違いは何なのでしょうか?
年齢を重ねるということは、自分自身との対話を深め、本当の自分らしさを表現できる自由を手に入れるということでもあります。60代のファッションは、若さを追い求めるのではなく、これまでの人生で培ってきた個性や品格を表現する絶好の機会なのです。
今日は、60代の方々が避けた方がいい服装と、反対に素敵に見える着こなしのコツについて、実際の体験談も交えながらお伝えしていきます。ただし、これはあくまで一般的なアドバイスであり、最終的には「自分が心地よく、自信を持てる服」が最高の選択だということを忘れないでくださいね。
「自分に合った服って、何だろう?」
そんな疑問を抱えている方の参考になれば嬉しいです。一緒に、60代からのワードローブを考えていきましょう。
■60代が避けた方がいい服装〜「若作り」ではなく「素敵な今」を目指して
年齢を重ねると、体型の変化や肌の質感、そして生活スタイルも変わってきます。そんな変化を無視して若い頃と同じ服を着続けることは、かえって「若作り」「無理している」という印象を与えてしまうことがあるのです。
ではどんな服装が避けた方がいいのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
【1】体型を不自然に強調するシルエットの服
「昔と同じサイズが入るんだから」と、極端にタイトな服を選んでしまうことがあります。でも、体のラインが強調されすぎると、かえって体型の変化(お腹周りのたるみやウエストの消失など)が目立ってしまうことも。
「スキニージーンズにチャレンジしたものの、足のむくみが目立ち、一日中窮屈で…。娘に『お母さん、無理してない?』と心配されてショックでした。今はゆったりめのストレートパンツに切り替えたら、友人からも『すっきり見える』と言われるようになりました」(65歳・女性)
この方のように、タイトすぎず、かといってダボダボでもない「適度にゆとりのあるシルエット」が、体型をカバーしながら品良く見せるコツです。
反対に、「隠せばいい」と大きすぎるサイズを選ぶのも要注意。肩幅が落ちてしまったり、丈が長すぎたりすると、だらしない印象になり、かえって老けて見えることもあります。
「定年後、体重が増えてしまい、つい大きめのポロシャツを選んでいました。でも妻に『それじゃパジャマみたい』と指摘されました。少し小さめのサイズを選んだら、実際すっきり見えて驚きました」(67歳・男性)
あくまで「適度なフィット感」が重要なのです。鏡の前で、座ったときのシルエットもチェックしてみてください。
【2】年代に合わない若すぎるデザイン
「若く見られたい」という気持ちから、10代や20代向けのデザインを選んでしまうケースもあります。でも、これがかえって「無理やり感」を強調してしまうことも。
特に気をつけたいのは、露出度の高い服です。ミニスカートやホットパンツ、深く開いた胸元などは、若さをアピールするどころか、肌の変化(しわやたるみ)を目立たせてしまうことも。
「孫と一緒に買い物に行った時、つい若い子向けの超ミニスカートを買ってしまいました。家で履いてみたら、膝のしわが気になって…。結局、膝丈のAラインスカートに戻しました。実は膝丈の方が脚長に見えるんですよね」(62歳・女性)
また、キャラクターグッズや若者向けロゴが大きく入ったTシャツ、極端に破れたジーンズなどもバランスが難しいアイテムです。
「息子に譲ってもらったキャラクターTシャツを、孫と遊ぶ時に着ていました。ある日、同世代の友人から『それ、似合ってないよ』と正直に言われて…。でも無地のTシャツに変えたら、『すっきりしていいね』と言われるようになりました」(64歳・男性)
カジュアルを楽しむなら、シンプルで上質な無地のTシャツやシャツを基本に、小物で個性を出す方が洗練された印象になります。
【3】色味・素材の失敗
「地味にしていれば無難」と思って、くすんだ色(暗い茶色や地味なねずみ色など)を選びがち。でも、これが顔色を暗く見せ、かえって老けた印象を与えることがあるのです。
「『年相応』を意識して、地味な色の服ばかり選んでいました。ある日、カラーコンサルタントの娘の友人に『もったいない!』と言われ、明るいベージュや淡いブルーを勧められました。実際、顔色が明るく見えるようになり、友人からも『最近元気そう』と言われるようになったんです」(68歳・女性)
また、素材選びも大切です。安価なポリエステル素材は光沢が気になったり、静電気が起きやすかったりと、上品さに欠けることも。
「安いポリエステルのブラウスを買いましたが、汗をかくとべたべたして、静電気も起きやすくて…。少し値段は上がりますが、綿やリネンなど天然素材の服に切り替えたら、肌触りも見た目も格段に良くなりました」(63歳・女性)
【4】アクセサリー・小物のNG例
装飾品は「多ければ良い」というものではありません。ネックレスやバングルを何本も重ねると、かえって「ごちゃごちゃした」印象になることも。
「若い頃からアクセサリー好きで、ついつい重ね付けしていました。でも友人に『シンプルな服にアクセサリー1点の方が素敵』とアドバイスされ、実践してみたら確かに上品に見えるようになりました」(61歳・女性)
また、大きすぎるバッグは肩こりの原因になるだけでなく、体が小さく見えて全体のバランスを崩すこともあります。
「長年愛用していた大きなトートバッグ。何でも入って便利だけど、肩がパンパンに張るようになって…。今はコンパクトな軽量バッグに変えて、持ち物も厳選するようになりました。実際、身軽になって良かったです」(66歳・女性)
■60代におすすめの服&着こなし例
では、避けるべきものがわかったところで、逆に60代を素敵に見せる服装や着こなしのコツをご紹介します。年齢を重ねた体型をカバーしながら、品良く、そして自分らしさも表現できる選択肢を見ていきましょう。
【1】体型カバーに役立つ便利アイテム
◎ジャケット(特に7分袖・薄手のもの)
二の腕のたるみが気になるという方も多いのではないでしょうか。そんな時に便利なのが7分袖のジャケットです。二の腕をカバーしながら、全体のシルエットをすっきり見せる効果があります。
「腕のたるみが気になって、いつも長袖を選んでいました。でも夏は暑いし…。友人に勧められて7分袖のリネンジャケットを買ったら、体型カバーしながらも涼しく、想像以上に使いやすかったです。今では必須アイテムです」(64歳・女性)
薄手の素材を選べば重たく見えず、カジュアルな服の上に羽織るだけで一気に品良く見えるのも嬉しいポイントです。
◎ワンピース(特にウエストラインが自然なもの)
年齢とともにウエストが目立たなくなってくると、パンツとトップスの組み合わせがなんとなくすっきりしなくなることも。そんな時に便利なのがワンピースです。
「パンツスタイルばかり着ていましたが、お腹周りが気になるように。思い切ってワンピースを選んだら、すっきり見えると好評でした。特にウエストが少し高めの位置で切り替わっているデザインが、脚長効果もあっておすすめです」(65歳・女性)
カットソー素材の柔らかいものや、シャツワンピースなど、素材やデザインも豊富で、一枚で様になるのが魅力です。
【2】若々しく見せる色選びのコツ
色選びで印象は大きく変わります。全身暗い色だと重たく見えがちですが、明るい色を効果的に取り入れると、表情まで明るく見えるものです。
◎ベースは明るめの色を選ぶ
ベージュ、淡いブルー、ラベンダー、明るめのグレーなど、顔映りの良い色を基本にすると、肌の色むらをカバーする効果もあります。
「娘に『お母さん、暗い色ばかり着てると老けて見えるよ』と言われ、ショックでした。でも明るいベージュのパンツに淡いブルーのブラウスという組み合わせを提案してもらい、着てみたら不思議と若々しく見える!友人からも『最近雰囲気変わった?』と言われました」(67歳・女性)
◎アクセントカラーで遊び心を
全身同じ色だと平面的な印象になりがち。そこで差し色として、スカーフやバッグなどの小物に明るめの色を一点取り入れると、センスの良さがアピールできます。
「基本はネイビーやベージュなどシンプルな色の服ですが、赤いストールや黄色いバッグなど、季節感のある色を小物で取り入れています。孫からも『おばあちゃんおしゃれ!』と言われて嬉しいです」(72歳・女性)
【3】着心地の良さと見た目の良さを両立するコツ
「おしゃれは我慢」と思っていませんか?実は、快適さと見た目の良さは両立できるんです。
◎伸縮性のある素材を選ぶ
少し伸びる素材を選ぶと、体の動きを妨げず快適なのに、見た目はすっきり。特にパンツやスカートは、ウエスト部分に伸縮性があると一日中楽に過ごせます。
「友人の結婚式に着ていくドレスを探していたとき、店員さんに『伸縮性のあるジャージ素材のワンピース』を勧められました。最初は『それでいいの?』と思いましたが、着てみたら驚くほど動きやすくて見た目も素敵。長時間の式も快適に過ごせました」(63歳・女性)
◎重ね着で調整する
季節の変わり目や冷房の効いた場所では、薄手のアイテムを重ねると体温調整しやすく便利です。
「薄手のカーディガンやストールを常に持ち歩いています。冷房が苦手なので、この一枚があるとないとでは大違い。最近はUVカット効果のあるものを選んで、日焼け対策にもなって一石二鳥です」(66歳・女性)
■実際の60代おしゃれさんたちの体験談
実際に60代を素敵に過ごしている方々は、どんなファッションの工夫をしているのでしょうか?リアルな声を集めてみました。
【体験談1】「シンプル」と「素材」にこだわるYさん(63歳・元教師)
「退職してから、自分のスタイルを見直すいい機会だと思い、思い切ってクローゼットの整理をしました。そこで気づいたのは、『柄物より無地』『複雑なデザインよりシンプル』な服の方が実は着回しがきくということ。特に上質なリネンのシャツは、カジュアルにもきれいめにも着られて重宝しています。最近は『10歳若く見える』と言われることも増えました。年齢より『素材の良さ』『シンプルさ』が大事だと実感しています」
【体験談2】「清潔感」を何より大切にするTさん(71歳・自営業)
「70代の男性ですが、若い頃からジーンズが好きで今も履いています。ただ、破れたものや極端に細いものは避け、ストレートタイプを選んでいます。デニムジャケットに白いシャツを合わせると、『おしゃれですね』と褒められることが多いです。実は年齢より『清潔感』が大事だと思っています。どんな服でも、しわや汚れがないか必ずチェックしますし、小物や靴も手入れを欠かしません。その積み重ねが『若々しさ』につながるのではないでしょうか」
【体験談3】「自分の色」を見つけたKさん(68歳・パート勤務)
「60歳を過ぎてから、カラー診断を受けてみたんです。それまで『黒が無難』と思っていましたが、私には『オータムカラー』が似合うとわかりました。カーキやテラコッタ、マスタードイエローなど、温かみのある色を取り入れるようになったら、不思議と肌の色むらが目立たなくなり、友人からも『最近、若返った?』と言われるように。色って本当に大事ですね」
■60代ファッションの鉄則〜いくつになっても自分らしく
長年生きてきた私たちには、若い頃にはなかった「自分らしさ」という武器があります。年齢に縛られず、自分の個性や心地よさを優先する姿勢こそが、真の「おしゃれ」につながるのではないでしょうか?
【鉄則1】「無理しない」よりも「自分らしさ」を大切に
「年相応」という言葉に縛られず、自分が心地よく、自信を持てる服を選ぶことが一番大切です。
「若い頃はトレンドを追いかけていましたが、今は『自分に似合うものだけを選ぶ』というシンプルな基準に。趣味の山歩きの影響で、実はアウトドアブランドの服が好きなんです。機能性重視だけど、上品な色を選べば普段着としても違和感なく、動きやすさも抜群。『私らしさ』を優先したら、かえっておしゃれだと言われるようになりました」(66歳・女性)
【鉄則2】「足元」と「姿勢」で印象は大きく変わる
どんなに素敵な服を着ていても、足元がおろそかだったり、猫背だったりすると台無しです。特に靴選びは慎重に。
「長年の外回り営業で足を痛めてしまい、どうしても楽な靴が必要に。でもスニーカーだけだとどうしてもカジュアルになりすぎるので、見た目もスマートな「コンフォートシューズ」を見つけました。少しヒールがあるおかげで姿勢も良くなり、腰痛も改善。足元から見直すと全体の印象が変わるものですね」(65歳・男性)
【鉄則3】小物で「今どき感」を取り入れる
基本的なアイテムはシンプルに、そして小物で今の気分を取り入れるというのも、60代のおしゃれを楽しむコツです。
「洋服は基本的にシンプルなものが多いのですが、スカーフやピアス、バッグなどの小物は季節ごとに新しいものを取り入れています。特にメガネは気分で変えるのが楽しくて、カラフルなフレームのものからクラシカルなものまで数種類持っています。孫からも『おばあちゃんのメガネ、かわいい!』と言われるのが密かな自慢です」(69歳・女性)
【鉄則4】「若作り」より「今を楽しむ」姿勢を
「若く見せよう」と必死になるより、年齢を重ねた今だからこそできるスタイルを楽しむ余裕が、かえって魅力的に映るものです。
「白髪を隠そうと長年染め続けていましたが、思い切ってナチュラルな白髪を生かしたヘアスタイルに。最初は不安でしたが、メイクや服の色を少し調整したら、意外とすっきりした印象になり、『素敵』と言われることが増えました。今は無理に若作りするより、年齢に合った装いの方が自然体で居心地が良いと感じています」(70歳・女性)
■お買い物の際のチェックポイント〜失敗しない服選びのために
最後に、お買い物の際に気をつけたいポイントをご紹介します。
【1】試着は必ず座った姿勢もチェック
立った姿勢で良くても、座るとウエストがきつかったり、スカート丈が不自然に上がったりすることも。お買い物の際は、必ず座った状態もチェックしましょう。
「立っている時は問題なかったパンツも、座るとウエストがきつくなって息がしづらかったり、パンツの裾が上がりすぎたり…。今は必ず座った姿勢もチェックします。特にジーンズは伸縮性のあるものを選ぶようにしています」(64歳・女性)
【2】家の服と合わせられるか考える
「これ、素敵!」と思って買っても、家にある服と合わないと結局着ない羽目に。スマホで自分のクローゼットの写真を撮っておくと、コーディネートの参考になります。
「以前は一目惚れで買って、家に帰ったら合わせるものがない…ということがよくありました。今はクローゼットの写真を撮っておいて、『これと合うかな?』とイメージしながら買い物します。結果的に無駄買いが減りました」(62歳・女性)
【3】値段より「一回あたりのコスト」で考える
安いからといって衝動買いした服が、結局ほとんど着ないまま終わることも。逆に少し高くても長く使えるものなら、「一回着るあたりのコスト」は安くなります。
「安いセールの服をついつい買いがちでしたが、ほとんど着ないまま処分することも多くて…。今は少し良いものを選び、長く大切に着るようにしています。特に基本アイテム(白シャツやジャケットなど)は良いものを選ぶと、何年も使えて結果的にコスパが良いと実感しています」(67歳・女性)
■まとめ〜あなただけの「素敵な60代スタイル」のために
60代のファッションで大切なのは、「体型カバー」「上品さ」「快適さ」、そして何より「自分らしさ」です。避けた方がいいものがあるのは確かですが、それは年齢だからというより、自分の体型や生活スタイルに合っているかどうかの問題。「これが似合う」「これを着ると自信が持てる」という服こそ、あなたにとって最高の選択なのです。
若作りをするのでも、年相応に無理にシフトするのでもなく、今の自分を受け入れ、楽しむ姿勢が最も魅力的に映るものです。ファッションを通じて、60代というかけがえのない時間を、ぜひ自分らしく、そして心地よく過ごしてください。