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美容師だった配偶者との定年後、二人で歩む新しい人生

こんにちは。今日は、長年美容師として働いてこられた配偶者をお持ちの方へ、定年後の生活についてお話しさせていただきたいと思います。

美容師という職業は、華やかに見える一方で、本当に厳しい仕事です。立ち仕事で体に負担がかかり、土日祝日は休めず、お客様との会話で気を遣い続ける毎日。そんな配偶者を何十年も支えてこられたあなた、本当にお疲れ様でした。

そして今、定年を迎えたり、体力的な理由でお店を畳んだり、あるいはこれから引退を考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

長年、土日も働き、夜遅くまで練習やカットに追われていた生活から、急に時間ができる。この大きな変化に、実は戸惑っている方が多いのです。

今日は、美容師として働いてきた配偶者との、これからの人生をより豊かにするためのヒントをお伝えしたいと思います。

美容師という仕事が残したもの

美容師として何十年も働いてきた人には、独特の生活リズムが体に染み付いています。

火曜日や水曜日が定休日だったため、世間が「週末」と呼ぶ土日に休むという感覚がない。朝は早く、夜は遅い。立ちっぱなしの仕事で、腰や膝、足に負担を抱えている方も少なくありません。

そして何より、「お客様と接する」という仕事柄、常に笑顔でいなければならない、気を遣い続けなければならない。その疲れは、家に帰ってからどっと押し寄せてきたはずです。

あなたも、きっと経験されてきたのではないでしょうか。夫(あるいは妻)が家に帰ってきても、疲れ果てて一言も話さない日。週末に家族で出かけたくても、それが一番の稼ぎ時で叶わなかったこと。

子供の運動会も、卒業式も、なかなか参加できなかった。そんな思いを、何度もされてきたかもしれません。

でも、その分、あなたが家庭を守ってこられた。一人で子育てをし、家事をこなし、配偶者の帰りを待っていた。そんな日々があったからこそ、ご家族は今ここにいるのです。

定年後の戸惑いと向き合う

さて、そんな忙しい日々から解放された今、実は新しい悩みが生まれることがあります。

「毎日家にいて、何をしていいか分からない」と配偶者が言う。ずっと忙しく働いてきた人が、急に時間ができると、逆に落ち着かなくなってしまうのです。

あるいは、「これまで土日は仕事だったのに、今は一緒にいるのが当たり前」という状況に、お互いが戸惑うこともあるでしょう。

実は、これは美容師に限らず、定年退職を迎えた多くのご夫婦が経験することなのです。でも、美容師という職業は特に、生活リズムが一般と違っていたため、その変化がより大きく感じられるかもしれません。

体験談から学ぶ、新しい生活の築き方

ここで、実際に美容師だったご主人と、新しい生活を歩み始めた方のお話をご紹介させてください。

ヨシコさん(68歳)のご主人、タケシさん(70歳)は、45年間美容師として働いてこられました。自分のお店を持ち、地域で愛される美容室を経営されていました。

2年前、腰痛が悪化したことをきっかけに、タケシさんはお店を閉めることを決意しました。常連のお客様との別れは辛かったそうですが、体がもう限界だったのです。

最初の数ヶ月、タケシさんは家でぼんやりと過ごしていました。テレビを見ても、何か落ち着かない。長年の習慣で、火曜日になると「あ、今日は休みだ」と思ってしまう。逆に土日になると、体が勝手に動き出しそうになる。

ヨシコさんは、そんな夫の様子を見て、心配になりました。「このままでは、主人の心が折れてしまうんじゃないか」と。

そんなある日、ヨシコさんは思い切って提案しました。「ねえ、私の髪、切ってくれない?美容院に行くのも面倒だし、あなたに切ってもらいたいの」

タケシさんは、最初は「道具も片付けちゃったし」と渋っていました。でも、ヨシコさんが「お願い、あなたのカット、大好きだったのよ」と言うと、重い腰を上げてくれたのです。

久しぶりにハサミを持ったタケシさん。最初は手が震えていたそうです。でも、ヨシコさんの髪に触れているうちに、だんだんと昔の感覚が戻ってきました。

「やっぱり、俺には美容師の血が流れてるんだな」とタケシさんは嬉しそうに笑いました。

それから、毎月一度、タケシさんがヨシコさんの髪を切る日が、二人の大切な時間になりました。リビングに椅子を置いて、タケシさんがヨシコさんの髪を切る。その時間、二人はいろんな話をします。

「お客さんに髪を切ってた時は、気を遣って疲れたけど、お前の髪を切るのは楽しいな」とタケシさんは言います。

ヨシコさんも「美容院に行くより、ずっといいわ。だって、私のことを一番よく知っているあなたが切ってくれるんだもの」と答えます。

そして、タケシさんは近所の老人ホームでボランティアとして、お年寄りの髪を切るようになりました。月に二回、施設を訪れて、希望者の髪をカット。施設の方々からも、とても喜ばれているそうです。

「仕事じゃないから、気楽なんだ。喜んでもらえるのが嬉しくて、生きがいになってる」とタケシさんは話してくれました。

ちょっと面白いエピソード

実は、タケシさんには面白いエピソードがあります。

ある日、ヨシコさんの髪を切っている時に、間違えて自分の指を少し切ってしまったそうです。慌てたタケシさんは「すまん、すまん」と謝りながら、絆創膏を取りに行こうとしました。

でも、ヨシコさんは笑って言ったそうです。「45年間、一度も私の耳を切らなかったのに、自分の指は切っちゃうのね」って。

二人で大笑いして、「やっぱり、プロは他人の髪を切る方が得意なのよ」とヨシコさんが言うと、タケシさんも「その通りだな」と笑っていたそうです。

「こんなに笑ったのは、久しぶりでした。主人が現役の時は、いつも疲れた顔をしていたから」とヨシコさんは話してくれました。

これからの人生、二人で新しいリズムを

美容師だった配偶者との定年後の生活、どう過ごせばいいのでしょうか。

まず大切なのは、「これまでと違うリズムを受け入れる」ことです。

長年、土日に働いていた人が、急に土日も一緒にいる。これは、お互いにとって大きな変化です。でも、この変化を「せっかくの機会」と捉えてみてください。

これまでできなかった、週末の散歩。土曜日の朝市。日曜日のランチ。そんな小さな楽しみを、これから一緒に見つけていけるのです。

次に、「配偶者の技術を家庭で活かす」という視点も大切です。

何十年も磨いてきた技術が、引退したからといって消えるわけではありません。その技術を、家族のために、あるいは地域のために活かせる場があるはずです。

あなたやお孫さんの髪を切ってもらう。近所の方の髪を切ってあげる。そんな小さなことが、美容師だった人の生きがいになるのです。

それから、「体を労わる時間を作る」ことも忘れないでください。

長年の立ち仕事で、体のあちこちに負担がかかっているはずです。これからは、ゆっくりと体を休める時間が必要です。

一緒に温泉に行く。マッサージに通う。ウォーキングを始める。そんな健康づくりを、二人で楽しみながら始めてみてはいかがでしょうか。

新しい生活習慣を作る

定年後の生活で大切なのは、「新しい生活習慣」を作ることです。

例えば、毎朝一緒に散歩する時間を作る。火曜日(かつての定休日)を「二人の特別な日」として、ランチに出かける。そんな小さなルールを作ってみてください。

また、美容師だった人は、「人と話す」ことに慣れています。その特技を活かして、地域の活動に参加するのもいいでしょう。

町内会の集まり、趣味のサークル、ボランティア活動。そんな場で、配偶者の社交性が花開くかもしれません。

そして、あなた自身も、新しい趣味を始めてみるのはいかがでしょうか。これまで、一人で家を守ることが多かったあなた。これからは、自分のための時間を持ってもいいのです。

お互いが、それぞれの時間を楽しみながら、一緒に過ごす時間も大切にする。そんなバランスが、これからの生活には必要です。

感謝の気持ちを伝える

ここで、ぜひお伝えしたいことがあります。

それは、「これまでの感謝を、改めて伝える」ということです。

長年、土日も休まず働いて、家族を支えてくれた配偶者。その苦労は、計り知れないものがあったはずです。

一方で、一人で家を守り、子育てをし、配偶者の帰りを待っていたあなたの苦労も、同じくらい大きかったでしょう。

定年を迎えた今だからこそ、お互いに「ありがとう」と伝え合う時間を持ってみてください。

「長年、本当にお疲れ様でした」「いつも支えてくれて、ありがとう」そんな言葉が、これからの二人の関係をより深いものにしてくれるはずです。

これからの人生、まだまだ続く

60代、70代。人生はまだまだこれからです。

美容師としての現役時代は終わったかもしれませんが、人生の新しい章が始まったのです。

これまでできなかったこと、やりたかったこと。二人で旅行に行く、趣味を楽しむ、孫と過ごす。そんな時間が、これから待っています。

確かに、体力は若い頃のようにはいかないかもしれません。でも、経験と知恵は、若い頃よりもずっと豊かになっているはずです。

その経験を、これからの人生にどう活かしていくか。それを考えるのも、楽しいことではないでしょうか。