今日は、少し重たいかもしれないけれど、多くの方が抱えている悩みについてお話ししたいと思います。
「定年退職してから、夫が一日中家にいるようになって、正直しんどい」
「長年我慢してきたけど、もう限界かもしれない」
「人生の残りの時間を、このまま過ごしていいのだろうか」
もしあなたがこんな風に感じているなら、決してあなただけじゃありませんよ。そして、それを感じることは、何も悪いことじゃないんです。
むしろ、これまで本当によく頑張ってこられたんだと思います。
60代、70代という人生の折り返し地点を過ぎた今だからこそ、自分の心に正直になって、残りの人生をどう生きるか考えてみませんか。
定年退職後、突然始まる新しい悩み
若い頃は、夫は朝早く出勤して、夜遅く帰ってくる。平日はほとんど顔を合わせることもなく、週末だけの付き合いでした。
それが、定年退職を迎えた途端、朝から晩まで家にいる。
最初は「これからゆっくり二人の時間が持てるかな」なんて思っていたかもしれません。でも、現実は違った。そんな方、多いんじゃないでしょうか。
朝起きたら、すでにソファに座ってテレビを見ている夫。「今日の昼ごはんは何?」と聞いてくる。洗濯物を干していても手伝おうともせず、自分の趣味には時間をかけるのに、家のことは全く関心がない。
「あなたは定年退職したかもしれないけど、私は主婦を定年退職したわけじゃないのよ」
心の中で、そう叫んだことがある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
私の知り合いの女性が、こんなことを言っていました。
「夫が現役の時は、朝早く起きてお弁当を作って、夜遅く帰ってきても温かいご飯を用意して。それが私の生きがいだったの。でも定年後、夫は『もう仕事してないんだから、手の込んだ料理じゃなくていいよ』って言うの。じゃあ私の40年間の努力は何だったのって、虚しくなっちゃって」
長年の積み重ねが、ある日突然あふれ出す
ストレスが限界に達するのは、何か大きな事件があったからじゃないんですよね。
むしろ、小さな小さな不満が、長い年月をかけて積み重なって、ある日コップの水があふれるように、心が耐えられなくなる。
例えば、こんなこと。
脱いだ靴下を脱ぎっぱなし。使った食器をそのまま。「お茶」と言えば淹れてもらえると思っている。自分の予定は優先するのに、こちらの用事には「俺は関係ない」という態度。
そして何より辛いのは、話を聞いてくれないこと。
「今日こんなことがあってね」と話しかけても、新聞を読みながら生返事。テレビを見ながら「ふーん」としか言わない。
「この人は、私の話に興味がないんだな」と思った瞬間、心にヒビが入るんです。
それでも、長年連れ添った夫だから。子供たちのためにも、世間体もあるから。そうやって我慢してきた。
でも、60代、70代になって、ふと考えるんです。
「私の人生、残りどのくらいだろう。この先も、ずっとこの我慢を続けるのかな」って。
「見えない家事」は、定年後も続く
現役時代は、夫は外で働いて、妻は家を守る。そういう役割分担がはっきりしていました。
でも定年後は?夫も妻も、同じように家にいる時間が長くなる。なのに、家事の分担は変わらない。
トイレットペーパーがなくなったら補充する。洗剤がなくなったら買い足す。冷蔵庫の中身を把握して、献立を考える。ゴミの日を覚えておいて、前日にまとめる。
これらの「名前のない仕事」を、当たり前のようにやってきた。
でも、夫はそれを「仕事」だと思っていない。「気づいた人がやればいいこと」くらいにしか思っていない。
私の友人で、こんな実験をした人がいます。
ある日、彼女は一切の家事をやめてみたんです。洗濯もしない、食事も作らない、掃除もしない。
夫は最初、「体調が悪いのかな」と心配したそうです。でも、3日経っても何もしない彼女を見て、夫は言ったそうです。
「いい加減、普通にしてくれよ。家の中が散らかって落ち着かない」
彼女は答えました。
「あなたも家にいるんだから、一緒にやればいいんじゃない?」
夫は、初めて気づいたそうです。家が勝手にきれいになっているわけじゃない。誰かがずっとやってきたんだって。
「共感」がないことの孤独
若い頃は、夫も優しかったんです。デートの時は話を聞いてくれたし、笑わせてくれた。結婚した時は、「二人で幸せな家庭を築こう」って約束した。
でもいつの間にか、話を聞いてくれなくなった。
「今日、久しぶりに昔の友達に会ってね」と話しても、「で、何が言いたいの?」と結論を求められる。
「最近、膝が痛くて」と言っても、「年だから仕方ないだろ」と片付けられる。
別に、解決策を求めているわけじゃないんです。アドバイスが欲しいわけでもない。
ただ、「そうなんだね」「大変だったね」「それは嬉しかったね」って、共感してほしいだけなのに。
この「共感の欠如」が、実は一番心を削るんですよね。
一緒にいるのに、孤独を感じる。同じ屋根の下にいるのに、心は遠く離れている。
ここで、ちょっと面白い話を。
私の知り合いの女性が、夫との会話に困って、試しに「AIチャット」というものを使ってみたそうなんです。スマホで簡単な悩みを打ち込むと、AIが答えてくれるサービスですね。
彼女が「今日、久しぶりに娘に会えて嬉しかった」と打ち込んだら、AIは「それは素敵ですね。娘さんとどんなお話をされたんですか?」と返してくれたそうです。
彼女、思わず泣いてしまったんだって。「機械の方が、夫より優しい」って。
笑い話のようだけど、切ない現実ですよね。
人生の残り時間を考えた時
60代、70代になると、嫌でも意識してしまいます。人生の残り時間のこと。
「あと10年かな」「いや、20年は元気でいたいな」
そう考えた時、ふと思うんです。
「この先も、ずっと我慢して生きるのかな」って。
子育てが終わって、やっと自分の時間が持てると思った。でも、夫が定年退職して、また自分の時間がなくなった。
「私の人生って、いつになったら私のものになるんだろう」
そう感じている方、いらっしゃいませんか。
大丈夫です。決して遅くないんですよ。
60代、70代は、まだまだこれからです。人生100年時代と言われる今、60代なんてまだ折り返し地点。
この先の時間を、どう生きるか。それを決めるのは、あなた自身なんです。
「良い妻」を卒業する勇気
私が聞いた、ある女性の話をさせてください。
彼女は今68歳。結婚して45年になります。夫は3年前に定年退職して、毎日家にいる生活が始まりました。
最初の1年は、彼女も頑張ったそうです。夫のために、毎日3食きちんと作って、掃除も洗濯も完璧にこなして。
でも、夫からの感謝の言葉は一切なし。それどころか、「味が薄い」「もっと部屋を暖かくしろ」と文句ばかり。
ある日、彼女は限界に達したそうです。
夫が脱ぎ散らかしたパジャマを見た瞬間、涙があふれてきて、「もう無理」って思ったんだって。
その日から、彼女は変わりました。
朝ごはんは、自分の分だけ作る。夫が「俺の分は?」と聞いても、「冷蔵庫に食材があるから、自分で作ってね」と答える。
洗濯も、自分の物だけ。掃除も、自分が使う部屋だけ。
夫は最初、怒ったそうです。「お前は妻だろう。妻の仕事をしろ」って。
でも彼女は、こう答えたんです。
「私は、あなたの母親じゃないのよ。65歳を過ぎた大人なんだから、自分のことは自分でできるでしょう」
最初の1週間は、家の中がギクシャクしたそうです。夫は不機嫌で、彼女を無視する日もあった。
でも、彼女は動じなかった。自分の好きなお茶を丁寧に淹れて、好きな音楽を聴いて、友達とランチに出かけて。
そうやって、自分の時間を楽しみ始めたんです。
すると、不思議なことが起こりました。
夫が、少しずつ変わり始めたんです。
最初は仕方なく、という感じで、自分でパンを焼いてみたり、洗濯機を回してみたり。そのうち、「これ、意外と難しいな」って気づいたんでしょうね。
ある日、夫が言ったそうです。
「お前、今まで毎日こんなことやってたのか。大変だったな」
彼女は、45年の結婚生活で初めて、夫から感謝の言葉を聞いたんだって。
今、二人の関係は以前とは違うそうです。ラブラブの新婚夫婦みたいになったわけじゃない。でも、お互いに自立した大人として、尊重し合える関係になったんです。
彼女が言っていました。
「夫を変えようとしても無理だった。でも、私が変わったら、夫も変わらざるを得なくなったのよ」
期待を手放すという選択
長年一緒にいると、どうしても期待してしまうんですよね。
「言わなくても分かってくれるはず」
「これだけやってるんだから、感謝してくれるはず」
「夫婦なんだから、気持ちを察してくれるはず」
でも、その期待が、自分を苦しめているんです。
期待するから、裏切られた気持ちになる。期待するから、腹が立つ。期待するから、失望する。
だったら、思い切って期待を手放してみませんか。
「この人は変わらない」と受け入れる。「この人に私の幸せを委ねない」と決める。
そうすると、不思議と楽になるんです。
夫が家事を手伝わなくても、「ああ、やっぱりね」で終わる。夫が話を聞いてくれなくても、「別にいいわ」と思える。
そして、その分のエネルギーを、自分のために使えるようになるんです。
物理的な距離も、時には必要
「家庭内別居」という言葉、聞いたことありますか。
同じ家に住んでいるけど、別々の部屋で寝て、食事も別々。必要最低限の会話だけして、あとはそれぞれの生活を送る。
若い世代だと、「そんなの夫婦じゃない」って思われるかもしれません。でも、シニア世代には、これが意外と良い解決策になることもあるんです。
私の知り合いで、70歳を過ぎてから夫婦で別の部屋を持つようになった方がいます。
寝室を別にして、それぞれの時間を大切にするようにしたんです。夫は自分の部屋で好きな時間に寝て、好きな番組を見る。妻も自分の部屋で、好きな本を読んで、好きな時間に眠る。
「顔を合わせる時間が減ったら、逆に喧嘩も減った」って言ってました。
離婚まではしたくない。でも、24時間一緒にいるのは無理。
そういう時、物理的な距離を取ることで、精神的な余裕が生まれることもあるんですよね。
自分のために時間を使う、罪悪感を捨てて
「自分のために時間を使う」って言うと、「それは悪いこと」って思ってしまう方、いませんか。
「妻なんだから、夫のために尽くすべき」
「家族のために犠牲になるのが当たり前」
「自分だけ楽しむなんて、わがままだ」
でも、それは違うんです。
あなたは、これまで十分すぎるほど尽くしてきました。家族のために、自分を後回しにしてきました。
もういいじゃないですか。これからは、自分のために生きても。
好きな映画を見に行く。友達とお茶する。習い事を始める。一人旅に出る。
そういう「自分だけの時間」を持つことは、わがままでも何でもないんです。
むしろ、自分を大切にできる人こそ、周りの人も大切にできるんですよ。
今からできること、小さな一歩
「でも、どこから始めればいいか分からない」
そう思っている方もいるかもしれませんね。大丈夫、難しいことじゃありません。
まず、小さなことから始めてみませんか。
例えば、週に1回、自分だけの時間を作る。1時間でもいい。その時間は、夫のことを一切考えない。自分の好きなことだけをする。
カフェでゆっくりお茶を飲む。図書館で本を読む。散歩に出かける。何でもいいんです。
そして、夫に遠慮せず伝えてみる。
「水曜日の午後は、私の自由時間にするから」って。
最初は抵抗があるかもしれません。夫も文句を言うかもしれません。
でも、続けてみてください。あなたが変われば、周りも変わります。
それから、言いたいことは言葉にしてみる。
「これ、手伝ってほしい」
「今日は疲れたから、夕飯は簡単なもので我慢して」
「この話、最後まで聞いてほしい」
察してもらおうと思わないで、言葉にする。それだけで、関係は変わることがあるんです。
まだまだこれから、あなたの人生は続く
60代、70代。人によっては、「もう若くないから」「今さら変えられない」って思うかもしれません。
でも、そんなことないんですよ。
今の60代、70代は、昔の同じ年代とは全然違います。元気で、若々しくて、まだまだやりたいことがたくさんある。
人生100年時代。60代はまだ中盤、70代でもまだ先は長いんです。
この先の時間を、ストレスに耐えながら過ごすのか。それとも、自分らしく、楽しみながら生きるのか。
選ぶのは、あなた自身です。
夫を変えることはできないかもしれない。でも、あなた自身は変われます。あなたの生き方は、あなたが決められるんです。
「良い妻」「我慢強い妻」を卒業して、「自分を大切にする女性」になる。
それは、決してわがままじゃありません。これまで十分頑張ってきたあなたが、これから幸せになるための、当然の権利なんです。