シニアからのはるめくせかい

年齢を重ねた今だからこそときめきはるめく!毎日が楽しくなるシニアのための悠々自適生活応援マガジンです

60代70代の恋愛が怖い方へ心を開く穏やかな一歩

今日は、殻にこもってしまいがちなシニア世代の恋愛について、優しくお話ししていきたいと思います。決して焦る必要はありません。あなたのペースで、少しずつ心を開いていく方法を一緒に考えていきましょう。

なぜ、心を閉ざしてしまうのか

68歳の元教師の男性の話を聞いてください。妻を病気で亡くして5年。子供たちは独立し、今は一人暮らしです。趣味のゲートボールで知り合った女性から「今度、お茶でもいかがですか」と誘われました。

その方はとても明るくて感じのいい人でした。でも彼は「また大切な人を失うのが怖い」「自分のような年寄りが恋愛なんて」と断ってしまいました。家に帰ってから、なぜか胸が苦しくなって、一晩中眠れなかったそうです。

私たちシニア世代が心を閉ざしてしまう理由は、若い頃とは少し違います。若い頃は「振られたらどうしよう」という不安が中心でしたが、この年齢になると、もっと複雑な感情が絡み合ってきます。

一つは、大切な人を失う悲しみを知っているということ。配偶者との死別を経験された方なら、あの深い喪失感をもう一度味わいたくないという思いがあるでしょう。また、長年独身だった方は、「今の自分の生活リズムを崩したくない」という守りの気持ちが働きます。

そして何より、「この年で恋愛なんて恥ずかしい」という世間体への不安。子供や孫に何と言われるか、近所の人にどう思われるか。若い頃にはなかった、この年齢ならではの心配事が重くのしかかってきます。

体の衰えへの不安も見逃せません。「若い頃のように動けない自分を見られたくない」「年相応の体型になってしまった」という、外見への自信のなさも、殻にこもる理由の一つになっています。

完璧を求めすぎる心

72歳の元会社員の女性のお話をしましょう。彼女は地域のコーラスサークルに参加しています。そこで知り合った男性から、何度も食事に誘われました。

彼女はその男性のことを悪くは思っていませんでした。でも、いつも「もう少し痩せてから」「髪を染め直してから」「新しい洋服を買ってから」と理由をつけて断っていました。

3年が経ち、その男性は別の女性と仲良くなりました。彼女は初めて気づいたのです。「完璧な準備」なんて永遠に来ない。自分は完璧を求めることで、可能性を自分で閉ざしていたのだと。

その夜、彼女は一人でワインを飲みながら、涙を流しました。悔しさと、情けなさと、それでも心のどこかでホッとしている自分がいることに気づいて、複雑な気持ちになったそうです。

私たちシニア世代は、長い人生経験の中で「こうあるべき」という理想像を作り上げてきました。素敵な恋愛も、そうあるべき姿があって、それに届かない自分は恋愛する資格がないと思い込んでしまうのです。

でも考えてみてください。この年齢になって、完璧な人なんているでしょうか。誰もが何かしらの傷や、体の不調や、性格の癖を持っています。それが人間らしさであり、むしろそこに深みがあるのではないでしょうか。

傷つくことへの深い恐怖

実は、私たちシニア世代が若い人たちよりも傷つきやすい面があります。それは、これまでの人生で経験してきた痛みを知っているからです。

65歳で熟年離婚を経験した男性の言葉が印象的でした。「40年連れ添った妻に『もうあなたといても楽しくない』と言われた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えている。あの痛みをもう一度味わうくらいなら、一人でいる方がずっと楽だ」

この方の心の傷は、簡単には癒えません。若い頃なら「次があるさ」と思えたかもしれません。でもこの年齢では、「もう次はないかもしれない」という思いが、恐怖をより強くしてしまいます。

だからこそ、安全な殻の中にいることを選んでしまう。誰かと深く関わらなければ、傷つくこともない。寂しさはあるけれど、それは慣れた寂しさで、新しい痛みよりはマシだと感じてしまうのです。

ここで、少し面白い話をしましょう。昭和の時代、恋愛ドラマといえば「純愛」が主流でした。石原裕次郎さんや吉永小百合さんが演じる、一途で美しい恋愛物語。私たちはそういう恋愛を理想として育ってきました。

ところが最近、シニア向けの恋愛ドラマが増えているのをご存知ですか。主人公は60代、70代。完璧とは程遠い、失敗もするし、体も思うように動かない。でも、それでも人を好きになる気持ちは変わらない。そんなリアルなドラマに、多くのシニアが共感しているそうです。

時代は変わりました。完璧な恋愛ではなく、不完全でも温かい関係性。それが今の時代の恋愛なのかもしれません。

現代のシニアならではの「殻」の形

デジタル時代の今、殻のこもり方も変わってきました。スマートフォンを持つシニアが増え、LINEやメールでは頻繁にやり取りするのに、実際に会うことは避ける。そんな方が増えています。

70歳の女性は、趣味のガーデニングのオンラインコミュニティで、毎日のように同年代の男性とメッセージを交わしています。話題は尽きず、お互いに楽しい時間を過ごしていました。

ある日、その男性から「一度、実際にお会いしませんか」と誘われました。彼女は断りました。「オンラインでこんなに楽しいのに、実際に会って幻滅されたくない」「写真より老けて見えたらどうしよう」

画面越しの関係は安全です。いつでも切れるし、自分の見せたい部分だけを見せられます。でも、本当の温もりは感じられません。これも現代ならではの「殻」の一つです。

また、「忙しさ」を言い訳にする方もいます。孫の世話、趣味の活動、地域のボランティア。確かに充実した日々かもしれません。でも、もしかしたら無意識に恋愛の入る余地を作らないようにしているのかもしれません。

仕事一筋で生きてきた元サラリーマンの方が、定年後もあらゆる活動で予定を埋め尽くす。妻に先立たれた後も、「忙しいから寂しくない」と言い続ける。でも、夜一人になると、ふと虚しさを感じる。そんなお話をよく聞きます。

殻から一歩を踏み出した人たち

ここからは、少し希望のある話をしましょう。殻から這い出て、新しい一歩を踏み出したシニアの方々のお話です。

67歳の元看護師の女性は、夫を亡くして8年が経っていました。娘から「お母さん、もっと外に出た方がいいよ」と勧められ、地域の料理教室に通い始めました。

そこで同じく配偶者を亡くした男性と知り合いました。最初は料理の話だけ。次第に、亡くなった配偶者の思い出話をするようになり、気づけば毎週のようにお茶をする関係になっていました。

大きな転機は、彼女の考え方の変化でした。「完璧な恋愛関係」を目指すのではなく、「今を楽しむ友達」として接することにしたのです。将来のことは考えない。結婚なんて重いことも考えない。ただ、一緒にいて楽しい時間を過ごす。

そう考えたら、肩の力が抜けました。化粧をしていない日でも会えるようになり、体調が悪い時は素直に言えるようになりました。完璧でない自分を見せることへの恐怖が、少しずつ薄れていったのです。

今では二人で旅行に行く仲になりましたが、それぞれ自分の家に住んでいます。「この年で一緒に住むのは大変だから」と笑いながら、でも確かに心は通い合っている。そんな関係を築いています。

もう一つ、心温まる話があります。75歳の元教師の男性は、20年ぶりに同窓会で初恋の人と再会しました。お互い配偶者を亡くし、子供も独立している身。

でも彼は、声をかける勇気が出ませんでした。「昔とは違う。こんな年寄りになった自分を見られたくない」そう思って、遠くから見ているだけでした。

同窓会が終わる間際、その女性の方から声をかけてきました。「○○さんよね。久しぶり」その一言で、50年前の記憶が蘇りました。

二人は近所のカフェで3時間も話し込みました。昔の思い出、これまでの人生、今の暮らし。話せば話すほど、不思議な安心感がありました。若い頃のようなドキドキではなく、穏やかな温もり。

男性は後日、こう振り返っています。「年を取ったからこそ、お互いの人生の重みを尊重し合える。若い頃は自分のことで精一杯だったけど、今は相手の痛みも喜びも、深く理解できる気がする」

今では月に2回、一緒に美術館や公園を散歩する仲になりました。恋人というより、人生のパートナー。そんな関係が、二人にとって一番しっくりくるのだそうです。

子供や周りの目が気になるあなたへ

多くのシニアの方が気にされるのが、子供や孫の目です。「お父さん、もう年なんだから」「おばあちゃんが恋愛なんて変」そんな言葉を恐れて、心を閉ざしてしまう。

でも、少し考えてみてください。あなたの子供や孫は、あなたに幸せでいてほしいと思っているはずです。もし彼らが反対するとしたら、それは「変な人に騙されないか」という心配からであって、恋愛そのものを否定しているわけではありません。

62歳の女性は、再婚を考えた時、娘から強い反対を受けました。「お母さん、財産目当てかもしれないよ」「病気になった時、本当に面倒見てくれるの」

娘の言葉に傷つき、一度は諦めかけました。でも彼女は勇気を出して、娘と真剣に話し合いました。「私は一人でいるのが寂しい。あなたたちには迷惑をかけないから、私の人生を生きさせてほしい」

涙ながらの訴えに、娘も心を開きました。「本当にお母さんが幸せならいいの。ただ、心配だったから」そう言って、二人は抱き合いました。

世間体を気にする気持ちも分かります。「あの年で恋愛なんて」と陰口を言う人もいるかもしれません。でも、よく考えてください。陰口を言う人たちは、あなたの人生に責任を持ってくれますか。あなたの寂しさを埋めてくれますか。

人生は一度きりです。他人の目を気にして心を閉ざし続けることと、自分の気持ちに正直に生きること。どちらがあなたの人生でしょうか。

小さな一歩から始めよう

では、どうやって殻から出ればいいのでしょうか。無理に大きな一歩を踏み出す必要はありません。小さな、本当に小さな一歩でいいのです。

まずは、人と話す機会を増やすことから始めましょう。地域のサークル、趣味の集まり、ボランティア活動。何でもいいです。異性と話すことに慣れることが大切です。

次に、「完璧でない自分」を少しずつ見せる練習をしましょう。例えば、「最近、物忘れが多くてね」と弱みを見せる。「膝が痛くて階段がつらい」と正直に言う。完璧でない自分を受け入れてもらえる経験が、自信につながります。

そして、期待値を下げることも大切です。「運命の人」を探すのではなく、「一緒にいて楽しい人」を見つける。「永遠の愛」ではなく、「今この時間を楽しむ」。そう考えると、ずっと気持ちが楽になります。

70歳の男性は、こんな工夫をしました。週に一度、決まったカフェに行く。そこで常連さんと顔見知りになる。挨拶から始めて、天気の話、趣味の話。半年かけて、ようやく「今度、一緒に映画でも」と誘えるようになりました。

焦る必要はありません。あなたのペースで大丈夫です。毎日少しずつ、心の殻に小さな窓を開けていく。そんなイメージで進んでいきましょう。

殻にこもる人を愛するということ

もし、あなたのパートナーや気になる人が殻にこもるタイプだったら、どうすればいいでしょうか。

大切なのは、焦らせないこと、急がないことです。68歳の男性が、同じく殻にこもりがちな女性と5年かけて関係を築いた話があります。

「彼女は最初、月に1回会うのがやっとでした。でも私は急ぎませんでした。彼女のペースで、彼女が心地いいと思う距離感を保ちました」

連絡も控えめに。誘いも押し付けがましくなく。いつも「あなたの都合に合わせるよ」という姿勢を崩さなかったそうです。

3年目くらいから、彼女の方から連絡が来る頻度が増えました。「今度、私の家に来ませんか」と誘ってくれたのは4年目。そして5年目の今、二人は週に2回会う仲になりました。

「恋愛に『速さ』は必要ない。大切なのは『確かさ』だと思います。ゆっくりでも、確実に信頼を積み重ねていく。シニアの恋愛は、それが一番大切なのかもしれません」

その言葉には、長い人生を生きてきた人ならではの深みがありました。