60代になって、ふと立ち止まる瞬間ってありませんか。仕事も一区切りついて、子育ても終わって、気がつけば「これから何をしようか」って考えている自分がいる。そんな時期なのかもしれませんね。
私の知人に、定年退職した直後は毎日が日曜日で嬉しかったのに、3ヶ月もすると「なんだか張り合いがない」って言っていた方がいます。朝起きても特にやることがなくて、テレビを見て、散歩して、また家に戻って。そんな日々を繰り返すうちに、なんとなく元気がなくなっていったんです。
でも今、その方は毎日が充実しています。陶芸教室に通い始めて、同じ趣味を持つ仲間ができて、作品展に出品することを目標に頑張っているそうです。目がキラキラと輝いていて、10歳若返ったみたいだって、奥さんも喜んでいました。
60代からの趣味探しは、ただ時間をつぶすためのものじゃありません。これは「第二の人生をどう生きるか」という、とても大切な選択なんです。
なぜ今、趣味と生きがいが必要なのか
長年働いてきた方にとって、仕事は生活の中心でした。毎朝決まった時間に起きて、職場に行って、同僚と話して、夕方帰ってくる。そのリズムが突然なくなると、心にぽっかり穴が開いたような感覚になることがあります。
実は、定年後に趣味や生きがいを持っている人とそうでない人では、健康状態にも大きな違いが出るという話があります。毎日の楽しみがある人は、自然と体を動かすし、人と会話する機会も増える。脳も活性化されて、認知機能の維持にも良い影響があるそうです。
それに、趣味を通じて新しい人間関係が生まれることも大きいですよね。会社の人間関係とは違う、純粋に同じことが好きだという理由で集まる仲間。そういう繋がりって、この年齢になると本当に貴重なんです。
ここで面白い話があります。私の父の友人で、65歳から俳句を始めた方がいるんですが、最初は「俳句なんて難しそうで自分には無理」って言っていたんです。でも奥さんに背中を押されて渋々教室に通い始めたら、すっかりハマってしまって。今では毎月句会に参加して、地元の新聞にも投稿しているそうです。「人生でこんなに何かに夢中になったのは初めてかもしれない」って、嬉しそうに話していました。
体を動かす趣味で健康的な毎日を
60代は、まだまだ体力があります。むしろ、今のうちに体を動かす習慣をつけておくことが、これからの健康寿命を延ばす鍵になります。
ウォーキングは最も手軽に始められる趣味です。特別な道具もいらないし、自分のペースで続けられます。最近は、万歩計代わりにスマートフォンのアプリを使って、毎日の歩数を記録している方も多いですよね。目標を決めて達成する喜びがあるし、季節ごとに変わる景色を楽しみながら歩くのは本当に気持ちがいいものです。
近所を歩くだけじゃなくて、少し足を延ばして史跡巡りを兼ねたウォーキングも楽しいですよ。地元の歴史を学びながら歩くと、今まで知らなかった発見があって新鮮です。
水泳やアクアビクスもおすすめです。水中での運動は膝や腰への負担が少ないので、関節に不安がある方でも安心して続けられます。プールで知り合った仲間と、運動後にお茶を飲みながらおしゃべりする時間も楽しみの一つになります。
ゲートボールやグラウンドゴルフは、仲間と一緒に楽しめるスポーツです。競技性があるので、勝つための戦略を考えたり、チームで協力したりする面白さがあります。地域の大会に参加すれば、さらに活動の幅が広がります。
太極拳やヨガは、ゆっくりとした動きで体を整えられます。呼吸を意識しながら動くので、心も落ち着きます。朝の公園で太極拳をしているグループを見かけることがありますが、みなさんとても穏やかな表情をされていますよね。
創作活動で心を豊かに
手を動かして何かを作る喜びは、いくつになっても変わりません。むしろ、時間に追われずじっくり取り組めるこの年齢だからこそ、創作活動の魅力を深く味わえるのかもしれません。
陶芸は人気の高い趣味です。土をこねて形を作り、色を塗って、窯で焼く。一つの作品が完成するまでの過程すべてが楽しいんです。最初はなかなか思い通りの形にならなくて悔しい思いもするでしょうけど、それがまた面白い。自分で作ったお茶碗でお茶を飲む喜びは、何にも代えがたいものがあります。
絵画や水彩画も根強い人気があります。風景画、静物画、人物画。描きたいものは無限にあります。美術館に行って名画を見る楽しみも増えますし、旅行先でスケッチブックを開いて風景を描くのも素敵ですね。
書道は、集中力を高めてくれます。墨をすって、筆を持って、真っ白な紙に向かう。その時間は、日常の雑念から離れられる貴重な瞬間です。美しい文字が書けるようになると、年賀状や手紙を書くのも楽しくなります。
手芸や編み物も、じっくり取り組める趣味です。孫にマフラーやセーターを編んであげたり、自分の好きな小物を作ったり。完成した作品を使う度に、作った時の楽しい記憶がよみがえります。
木工や日曜大工が好きな方もいらっしゃいますよね。本棚を作ったり、ちょっとした修繕を自分でできたり。「これ、自分で作ったんだよ」って誰かに見せる時の誇らしい気持ち、わかります。
学びを通じて知的好奇心を満たす
60代になっても、いや60代だからこそ、学ぶ喜びがあります。仕事のためじゃなく、純粋に知りたいから学ぶ。そんな贅沢な学びの時間を持てるのは幸せなことです。
外国語の勉強を始める方も増えています。英語、中国語、韓国語、フランス語。旅行で使えたら楽しいだろうなって思う言語から始めるといいですよ。今はオンラインレッスンも充実していて、自宅にいながら世界中の先生から学べます。
歴史の勉強も面白いです。学生時代は暗記ばかりで面白くなかったという方も、今なら違う視点で歴史を楽しめるはず。地元の歴史を深く知ることで、普段見慣れた風景が全く違って見えてきます。
俳句や短歌、川柳は、日本語の美しさを再発見できます。季節の移り変わりに敏感になって、日常の小さな発見を言葉にする喜び。句会に参加すれば、同じ趣味を持つ仲間との交流も生まれます。
カメラや写真も、学びと創作が融合した趣味です。カメラの使い方を学び、構図を考え、光を読む。デジタルカメラなら何枚撮っても現像代を気にする必要がないので、思う存分練習できます。撮った写真を整理してアルバムを作ったり、写真展に出品したりする楽しみもあります。
園芸で自然と触れ合う
庭やベランダで植物を育てる喜びは、心を穏やかにしてくれます。種をまいて、水をやって、芽が出て、花が咲く。その成長を見守る日々は、生命の営みを身近に感じられる貴重な時間です。
野菜作りに挑戦する方も多いですね。トマト、きゅうり、ナス、ピーマン。自分で育てた野菜は格別に美味しいです。土に触れることは、ストレス解消にもなると言われています。
盆栽は、小さな鉢の中に大きな自然を表現する芸術です。じっくり時間をかけて木を育て、形を整える。それは忍耐力も必要ですが、だからこそ深い満足感があります。
花を育てるのも素敵です。四季折々の花が咲く庭を作れば、毎日の水やりが楽しみになります。ご近所さんに「きれいですね」って声をかけられると、本当に嬉しいものです。
音楽で感性を磨く
音楽は、心を豊かにしてくれます。聴くだけでなく、自分で演奏する喜びを知ると、音楽がもっと身近になります。
カラオケは手軽に楽しめる音楽趣味です。友人と一緒にカラオケボックスに行って、好きな曲を歌う。ストレス発散にもなるし、新しい曲にチャレンジするのも楽しいですよ。カラオケ教室に通って本格的に学ぶ方もいらっしゃいます。
楽器を始めるのに、遅すぎることはありません。ピアノ、ギター、ウクレレ、ハーモニカ。どれも初心者向けの教室がたくさんあります。少しずつ上達して、簡単な曲が弾けるようになった時の喜びは格別です。
コーラスやゴスペルのグループに参加するのもいいですね。みんなで声を合わせて歌う一体感は、とても気持ちがいいものです。発表会に向けて練習を重ねる過程で、仲間との絆も深まります。
社会との繋がりを持つ活動
趣味を通じて社会と繋がることで、生きがいはさらに深まります。
ボランティア活動は、誰かの役に立つ喜びを感じられます。地域の清掃活動、図書館での読み聞かせ、高齢者施設での傾聴ボランティア。自分の経験や時間を活かして、社会に貢献できることは大きな充実感をもたらしてくれます。
地域のサークルや趣味の会に参加すれば、同じ興味を持つ仲間と出会えます。定期的に集まって活動することで、生活にリズムが生まれます。「来週の集まりが楽しみ」って思える予定があることが、毎日の活力になるんです。
孫との時間を大切にすることも、大きな生きがいになります。一緒に遊んだり、何かを教えたり。孫の成長を見守る喜びは、何にも代えがたいものがあります。
実際の体験談から学ぶ
ここで、実際に60代から新しい趣味を始めた方々の話を紹介させてください。
62歳から登山を始めた男性の話です。若い頃はまったく興味がなかったそうですが、友人に誘われて近所の低い山に登ってみたら、頂上からの景色に感動したんです。それから毎週のように山に登るようになって、今では日本百名山制覇を目標にしています。「山に登っていると、日常の悩みなんてちっぽけに思える。自然の中にいると、生きているって実感できるんです」って、目を輝かせながら話してくれました。
64歳で料理教室に通い始めた男性もいます。定年前は料理なんてほとんどしたことがなかったそうです。でも奥さんが体調を崩したのをきっかけに、自分も料理ができるようにならなきゃと思って。最初は包丁の持ち方もおぼつかなかったのが、今では家族に美味しいって言われる料理が作れるようになりました。「料理って創作活動なんだって気づいた。毎日の献立を考えるのが楽しくて仕方ない」って笑っていました。
60歳でパソコンを習い始めた女性の話も印象的です。それまではスマートフォンすらほとんど使っていなかったそうですが、孫とビデオ通話がしたくて一念発起。最初は電源の入れ方から教わったそうです。今ではブログを書いて、自分の趣味の写真を公開しています。「世界中の人と繋がれるって素晴らしい。年齢なんて関係ないって実感した」って嬉しそうに話してくれました。
65歳から社交ダンスを始めた夫婦もいます。二人とも初心者で、最初は足を踏み合ってばかりだったそうです。でも練習を重ねるうちに、だんだん息が合うようになって。今では週に2回教室に通って、発表会にも参加しています。「夫婦で同じ趣味を持てたことで、会話も増えたし、一緒にいる時間が楽しくなった」って、お互いを見つめ合いながら話す姿が微笑ましかったです。
趣味を続けるための心構え
新しいことを始めるのは勇気がいります。「今さら」って思う気持ちもわかります。でも、今さらなんてことはないんです。人生100年時代と言われる今、60代はまだまだ折り返し地点。これから何十年も続く人生を、充実したものにするために今始めることが大切なんです。
最初は下手で当たり前です。誰だって最初は初心者。恥ずかしがらずに、楽しむ気持ちを大切にしましょう。上手下手じゃなくて、やってみることに意味があります。
一緒に楽しめる仲間を見つけることも大切です。一人で続けるのは大変でも、仲間がいれば励まし合えます。「次はいつ会える?」って楽しみにしてくれる人がいることが、続ける原動力になります。
無理せず、自分のペースで続けることも忘れないでください。疲れたら休んでいいし、気が向かない日は無理に頑張らなくていい。楽しいから続けるのであって、義務にしてしまったら本末転倒です。