最近、LINEでお友達や趣味仲間と楽しくやり取りをしている方、増えていますよね。スタンプを送り合ったり、写真を共有したり、孫の話をしたり。画面越しの会話は、確かに便利で楽しいものです。でも、ふと気づくと「あれ、LINEでは毎日のように話しているのに、実際には何ヶ月も会っていないな」なんてことはありませんか。
今日は、シニアの方々が抱えがちなこの悩みについて、一緒に考えていきたいと思います。どうすれば、LINEでの楽しいやり取りを、実際の温かい対面の時間につなげていけるのか。そのヒントをお伝えできればと思います。
まず、なぜLINEでは頻繁に連絡を取り合っているのに、実際に会うことができないのか。その理由を考えてみましょう。
私たちシニア世代は、若い頃とは違った事情を抱えています。体力のこと、健康のこと、家族の介護のこと、あるいは単純に外出することへの億劫さ。理由は人それぞれですが、「会いたいな」と思いながらも、なかなか重い腰が上がらない。そんな経験、ありますよね。
LINEなら、自宅でゆっくり座りながら、自分のペースでメッセージを送れます。疲れたら休めるし、体調が悪ければ返信を遅らせることもできる。相手に気を遣わせることもない。そんな手軽さが、私たちシニアにとってLINEが快適な理由なのです。
でも、画面越しの言葉だけでは伝わらないものがあります。相手の表情、声のトーン、一緒に過ごす空気感。そして何より、手を取り合って笑い合う温もり。そういったものは、やはり実際に会わなければ感じられないものなのです。
ある70代の女性は、こんなことを言っていました。「LINEで毎日のように昔の友人と連絡を取り合っているの。でも、ある日ふと寂しくなってね。画面の向こうの友人の顔が見たい、声が聞きたいって思ったのよ」と。その気持ち、よくわかります。
LINEでのやり取りには、いくつかの落とし穴があります。
一つ目は、「つながっている安心感」に満足してしまうことです。毎日メッセージを交換していると、「この人とはちゃんと関係が続いている」という安心感が生まれます。でも、それだけで満足してしまい、実際に会う必要性を感じなくなってしまうのです。
二つ目は、時間の感覚が麻痺してしまうことです。LINEで頻繁に連絡を取っていると、まるで最近会ったかのような錯覚に陥ります。「この前もLINEしたばかりだし」と思っていると、実は前回会ってから半年以上経っていた、なんてこともあるのです。
三つ目は、会うことへのハードルが高くなってしまうことです。久しぶりに会うとなると、「どこで会おう」「何を話そう」「服装はどうしよう」と、色々考えてしまいます。それが面倒になり、「また今度にしよう」と先延ばしにしてしまうのです。
では、相手の心理はどうでしょうか。あなたと同じように、相手もきっと複雑な思いを抱えているはずです。
「会いたいけれど、足腰が弱くなってきて、遠出するのが大変」と思っているかもしれません。あるいは、「持病があって、体調の良い日が限られている」という事情があるのかもしれません。「一人暮らしで、家を長時間空けるのが不安」という方もいるでしょう。
また、「自分から誘うのは図々しいかな」「相手も忙しいだろうし、迷惑じゃないかな」と遠慮している場合もあります。シニアになると、若い頃のように気軽に「会おうよ!」と言えなくなってしまう。そんな遠慮深さが、お互いの距離を遠ざけてしまっているのかもしれません。
実は、ここで面白いエピソードがあります。私の知り合いの80代のご夫婦の話なのですが、奥様が地域のカラオケサークルに入っていらっしゃるんですね。サークルのメンバーとLINEグループを作って、毎日のように歌の動画を送り合っているそうなんです。ところが、月一回の定例会になると、毎回のように欠席者が出る。LINEではあんなに盛り上がっているのに、なぜだろうと不思議に思った奥様が、あるメンバーに理由を聞いたそうです。すると、「実は、カラオケボックスの階段が怖くて…」という答えが返ってきたそうなんです。それを聞いた奥様たちは、すぐに会場を一階の公民館に変更しました。すると、欠席者がぐんと減ったそうです。会えない理由は、意外と些細なところにあったんですね。
では、どうすればLINEでのやり取りを、実際に会う機会につなげられるのでしょうか。
まず大切なのは、会うハードルを思い切り下げることです。
「久しぶりに会おう」と考えると、どうしても大げさに考えてしまいます。立派なレストランで食事をしなければ、とか、一日たっぷり時間を取らなければ、とか。でも、そんな必要はないのです。
近所のカフェでお茶を一杯、30分だけ。それだけでいいんです。「今日、近くまで来たから、ちょっとだけ顔を見せてもらえないかしら」そんな軽い誘い方でいいのです。
相手の生活圏内で会う提案をすることも効果的です。「あなたの家の近くに用事があるから、ついでに少しだけお茶しない?」と言えば、相手も「ついでなら」と気軽に応じやすくなります。
時間を区切ることも大切です。「1時間だけ」「お茶一杯だけ」と最初から時間を限定すれば、お互いに気楽です。体力的にも無理がありませんし、「長時間拘束されるのは疲れる」という不安も解消できます。
金銭的な配慮も忘れてはいけません。シニアになると、年金生活で出費を気にする方も多いでしょう。「お茶代は私が出すから」「割り勘でいいから気楽に来て」と、さりげなく伝えることで、相手の心理的ハードルを下げることができます。
具体的な目的を持った誘い方も効果的です。
「新しくできたパン屋さんに行ってみたいんだけど、一人じゃ寂しいから一緒に来てくれない?」「孫に頼まれたプレゼントを買いに行くんだけど、センスのある○○さんに見てほしいの」こんな風に、具体的な目的があると、相手も誘いに応じやすくなります。
「あなたの力を借りたい」という言い方も良いですね。人は誰かに頼られると嬉しいものです。「○○さんの意見を聞きたくて」「○○さんと一緒じゃないと不安で」そんな風に言われたら、断りにくいですし、自分が必要とされていることに喜びを感じるものです。
また、「引き」の姿勢を見せることも時には必要です。
毎日のようにLINEを送っていたら、たまには間隔を空けてみる。いつもすぐに返信していたなら、少し時間をおいてから返信してみる。こうすることで、相手は「あれ、最近連絡が少ないな」「どうしたのかな」と、あなたのことを考える時間が増えます。
そして、ふと「久しぶりに会って、元気な顔を見たいな」という気持ちが芽生えるかもしれません。いつでも連絡が取れる存在ではなく、少し距離を置くことで、かえって会いたい気持ちが高まることもあるのです。
ただし、これは相手を試すためではありません。あなた自身の生活を大切にし、LINEに依存しすぎない健全な関係を築くためです。LINEはあくまでコミュニケーションの手段の一つ。それが全てになってはいけないのです。
会う約束につながらないLINEは、思い切って切り上げることも大切です。
ダラダラと毎日メッセージを交換していても、それだけで満足してしまい、会う機会が失われてしまいます。「そろそろ休むわね、おやすみなさい」と、あなたから会話を終わらせる勇気を持ちましょう。
そして、たまには「最近、LINEばかりで実際に会えていないわね。今度お茶でもしましょうよ」と、率直に気持ちを伝えることです。遠回しな表現ではなく、ストレートに「会いたい」と言う。それが、一番確実な方法なのです。
実際に、LINEでのやり取りから実際の交流につなげることに成功したシニアの方々の話を聞くと、いくつかの共通点が見えてきます。
ある60代の男性は、趣味の釣り仲間とLINEグループを作っていました。でも、実際に一緒に釣りに行くことは、なかなかありませんでした。そこで彼は、毎週土曜日の早朝、自宅近くの小さな釣り場で「朝活釣り会」を始めたのです。「朝6時から8時まで、来られる人だけで釣りをしましょう」とLINEで呼びかけました。
時間が早朝なので体も軽いし、2時間だけなので負担も少ない。最初は2、3人でしたが、徐々に参加者が増えていきました。そして、釣りの後に近くの喫茶店で朝食を取る。それが彼らの楽しみになったそうです。LINEでは毎日やり取りしていましたが、実際に顔を合わせると、やはり違う。笑い声、表情、一緒に過ごす時間の温もり。それが、彼らの友情をより深いものにしたといいます。
別の70代の女性は、少し違うアプローチを取りました。彼女は、久しぶりに会いたい友人に、LINEで「実は相談したいことがあるの」と送ったそうです。友人は心配して「どうしたの?」と返信してきました。彼女は「LINEじゃなくて、直接会って話したいの。来週、都合のいい日はある?」と誘いました。
友人は快く応じてくれ、二人はカフェで会いました。実際の相談内容は、それほど深刻なものではありませんでした。でも、対面で話すことで、お互いの近況を知り、心の内を分かち合うことができました。「やっぱり会って話すのはいいわね」と、二人とも感じたそうです。それ以来、彼女たちは月に一度は必ず会う約束をするようになりました。
もう一人、80代の男性の話も印象的です。彼は妻を亡くし、一人暮らしをしていました。近所に住む同年代の友人とLINEで毎日のように連絡を取り合っていましたが、実際に会うことはありませんでした。二人とも、家から出るのが億劫になっていたのです。
ある日、その友人が「散歩に行くのに、一人だと寂しい。一緒に歩いてくれないか」とLINEで誘ってきました。彼は最初、「面倒だな」と思いました。でも、友人の寂しさを思うと、断れませんでした。
実際に会って一緒に歩いてみると、それが思いのほか楽しかったそうです。季節の花を眺めたり、昔の話をしたり、時にはベンチに座って休んだり。それから二人は、週に2、3回、一緒に散歩をするようになりました。「LINEも楽しいけど、やっぱり一緒に歩くのはいいもんだ」と、彼は言っていました。
これらの話から学べることは、会うハードルを下げ、短時間から始め、相手の事情に配慮することの大切さです。
そして、もう一つ大切なことがあります。それは、自分から積極的に誘う勇気を持つことです。
シニアになると、「相手に迷惑をかけたくない」「断られたら恥ずかしい」と、遠慮してしまいがちです。でも、遠慮していては何も始まりません。もしかしたら、相手もあなたと同じように「会いたいけれど、どう誘えばいいかわからない」と思っているかもしれないのです。
断られたら、それはそれで仕方ありません。タイミングが合わなかっただけかもしれません。また別の機会に誘えばいいのです。大切なのは、諦めずに声をかけ続けることです。
そして、会えた時には、その時間を心から楽しむことです。「会えて嬉しい」「また会いましょうね」と素直に伝えることです。そうすれば、相手も嬉しくなり、次回につながりやすくなります。