人生を重ねてきた私たちだからこそ、分かることがあります。それは、本当の豊かさとは何か、ということです。今日は、優しいけれど収入が多くはない男性との恋愛について、温かくお話しさせていただきますね。
若い頃、私たちは収入や地位を気にしたものです。親からも「安定した仕事に就いている人を」と言われたかもしれません。でも、人生の後半を迎えた今、心の豊かさの方が、どれほど大切か分かるようになったのではないでしょうか。
シニア世代の恋愛では、若い頃とは違った価値観が生まれます。もう子育てをする必要もありません。住宅ローンに追われることもない方が多いでしょう。年金があり、これまでの蓄えもある。そうした中で出会う男性の収入が少ないことは、若い頃ほど大きな問題ではないかもしれません。
でも、それでも不安や迷いがあるのも事実です。「この人は優しいけれど、一緒にいて大丈夫かしら」「将来、医療費や介護が必要になったらどうしよう」そんな心配が頭をよぎることもあるでしょう。
ゆっくりと、一緒に考えていきましょう。
まず、優しさという宝物について考えてみたいと思います。
人生を長く生きてくると、優しさがどれほど貴重なものか、身にしみて分かりますよね。相手の話を最後まで聞いてくれる。体調を気遣ってくれる。小さなことでも覚えていてくれる。そんな優しさは、お金では買えないものです。
私の知り合いに、春子さんという70歳の女性がいらっしゃいます。春子さんは5年前にご主人を亡くされ、娘さんと近くに住みながら一人暮らしをされていました。趣味のコーラスサークルに通うのが唯一の楽しみでした。
そのサークルで出会ったのが、正夫さんという72歳の男性でした。正夫さんは元公務員でしたが、年金は決して多くありません。奥様を3年前に亡くされ、小さなアパートで慎ましく暮らしていました。
最初は何気ない挨拶から始まりました。コーラスの練習後、お茶を飲みながら話すようになり、次第に心を開いていきました。正夫さんは本当に優しい方でした。春子さんが風邪で休んだときは、心配の電話をくれました。練習で歌う曲の歌詞が覚えられないと悩んでいたら、手書きでメモを作ってくれました。
春子さんは次第に正夫さんに惹かれていきました。でも、娘さんに相談したとき、こう言われたそうです。「お母さん、その人の年金はどれくらいなの? もし病気になったら? 介護が必要になったら?」
娘さんの心配は分かります。親を思う気持ちからの言葉でしょう。春子さんも不安になりました。「確かに、正夫さんの年金は少ない。私の年金と合わせても、何かあったときに大丈夫かしら」
春子さんは悩みました。夜も眠れない日が続きました。正夫さんの優しさは本物です。でも、将来のことを考えると不安になる。心と頭が、別々のことを言っているようでした。
ある日、春子さんは勇気を出して正夫さんに気持ちを打ち明けました。「あなたは本当に優しくて、一緒にいると幸せです。でも、将来のことを考えると不安になってしまうの」
正夫さんは静かに聞いていました。そして、こう答えました。「春子さん、私の年金が少ないのは事実です。でも、私には少しの貯金があります。健康にも気をつけています。それに、春子さんに何かあったときは、精一杯支えたい。もし私が病気になっても、娘や息子に迷惑をかけないよう、既に準備もしています。お金持ちではないけれど、春子さんを大切にする気持ちは誰にも負けません」
春子さんの目から涙が溢れました。正夫さんは、ちゃんと現実を見据えていたんです。収入は少なくても、できる限りの準備をしていた。そして何より、春子さんを心から大切に思ってくれている。
春子さんは娘さんにもう一度話しました。「お金のことは大事。でも、優しさはもっと大事なの。正夫さんと一緒にいると、毎日が温かくて幸せなの。もう若くないから、残りの人生、幸せに過ごしたいの」
娘さんも最終的には理解してくれました。今、春子さんと正夫さんは、週に2回ほど会って、お茶を飲んだり、散歩をしたり、一緒に食事を作ったりして過ごしています。結婚はしていません。それぞれの家で暮らしながら、パートナーとして支え合っています。
「高級なレストランには行けないけれど、正夫さんと一緒に作るお味噌汁が、何よりのごちそうなの」春子さんの笑顔は、本当に幸せそうでした。
さて、ここで少し本筋から外れますが、面白いお話があります。ある80代の男性が、デートに誘った女性に「ごめんね、年金が少ないから高級なお店には連れていけないんだ」と正直に話したそうです。すると女性は笑って「あら、私もよ。じゃあ、お弁当を作って公園で食べましょうよ」と提案したんだとか。お二人は近所のスーパーで材料を買い、それぞれの得意料理を持ち寄って、公園でピクニックデートを楽しんだそうです。「若い頃よりも、今の方がデートが楽しい」とお二人は笑い合ったそうですよ。お金をかけなくても、工夫次第で素敵な時間は作れるんですね。
シニア世代の恋愛で大切なのは、価値観を共有することです。
「豪華な生活がしたい」という方もいれば、「質素でも心豊かに暮らしたい」という方もいます。どちらが正しいということはありません。大切なのは、お二人の価値観が合っているかどうかです。
横浜に住む68歳の女性、節子さんの話をお聞きしました。節子さんは元教師で、年金も比較的しっかりもらっています。ご主人を10年前に亡くされ、一人暮らしをされていました。
節子さんは地域のボランティア活動で、修さんという65歳の男性と知り合いました。修さんは若い頃に小さな工場を経営していましたが、倒産して大きな借金を抱えた過去がありました。その後、様々な仕事をしながら借金を返済し、今はアルバイトで生計を立てていました。年金はわずかです。
でも、修さんは本当に心の優しい人でした。ボランティア活動では率先して重い荷物を運び、お年寄りの話を丁寧に聞き、子供たちと遊んでくれました。節子さんは修さんの人柄に惹かれていきました。
ただ、周りの友人たちは心配しました。「節子さん、その人、お金ないんでしょ? あなたの年金を当てにしているんじゃないの?」そんな声も聞こえてきました。
節子さんは悩みました。確かに修さんの収入は少ない。でも、あの優しさは本物です。節子さんは思い切って、修さんに聞いてみました。「修さん、率直に聞いてもいいですか。私との関係を、どう考えていますか」
修さんは真剣な顔で答えました。「節子さん、正直に言います。私は経済的に豊かではありません。あなたに贅沢をさせてあげることはできないかもしれない。でも、私があなたと一緒にいたいのは、あなたの年金が目当てではありません。あなたの優しさ、笑顔、考え方、全てが好きなんです。私にできることは、あなたを毎日大切にすること。それしかありません」
節子さんは、修さんの言葉が真実だと感じました。その後、お二人は何度も将来について話し合いました。お互いの経済状況を正直に開示し、どんな生活をしたいか、何を大切にしたいか、じっくりと話し合いました。
結果として、お二人は結婚という形は取らず、パートナーとして一緒に過ごすことを選びました。それぞれの家を持ちながら、週に何日かは一緒に過ごす。旅行は近場の温泉。食事は家で一緒に作る。お金のかからない楽しみ方を、二人で工夫しています。
「若い頃は、お金がないと幸せになれないと思っていました。でも、違うんですね。お金があっても心が満たされないこともある。修さんと一緒にいると、毎日が温かくて、笑顔が増えました。これが本当の幸せなんだと気づきました」節子さんの言葉には、深い実感がこもっていました。
もちろん、現実的な問題から目を背けてはいけません。
収入が少ない男性とお付き合いする場合、いくつか考えておくべきことがあります。
まず、医療費や介護の問題です。私たちの年代になると、突然の病気や怪我、介護が必要になることも考えられます。そのとき、経済的にどうするのか。お互いの貯蓄はどれくらいあるのか。保険には入っているのか。そうしたことを、事前に話し合っておく必要があります。
次に、生活費の分担です。デート代だけなら何とかなっても、もし同居や結婚を考えた場合、家賃や光熱費、食費をどう分担するのか。一方だけに負担が偏ると、不満が溜まってしまいます。
そして、お互いの家族への配慮です。子供さんや親族が、収入の少ないパートナーとの交際を心配することもあるでしょう。家族の理解を得るためにも、誠実に説明し、理解してもらう努力が必要です。
名古屋に住む73歳の女性、美智子さんは、こうした現実と向き合いました。
美智子さんは元看護師で、年金はそれなりにもらっています。3年前に夫を亡くし、寂しい日々を過ごしていました。ある日、昔の同級生の集まりで、敏夫さんという男性と再会しました。敏夫さんは若い頃から美智子さんのことが好きでしたが、美智子さんが別の人と結婚したため、想いを伝えられずにいました。敏夫さんも奥さんを亡くしていました。
50年ぶりの再会で、お二人の気持ちは再び燃え上がりました。でも、敏夫さんの経済状況は厳しかったんです。会社員時代に離婚を経験し、慰謝料や子供の養育費を支払ってきたため、貯蓄がほとんどありませんでした。年金も少なく、アパート暮らしでギリギリの生活でした。
美智子さんは息子さんに相談しました。息子さんは反対しました。「お母さん、その人と一緒になったら、お母さんが苦労するだけだよ。お金の問題は深刻だよ」
美智子さんも悩みました。でも、敏夫さんの優しさを手放したくない。悩んだ末、美智子さんは敏夫さんと徹底的に話し合うことにしました。お互いの貯蓄額、年金額、月々の支出、全てを開示し合いました。そして、将来の医療費や介護費用についても、具体的にシミュレーションしました。
その結果、結婚はせず、それぞれの住まいを保ちながら、パートナーとして支え合うことにしました。週に3回ほど会い、一緒に食事をしたり、散歩をしたり。旅行は年に1回、近場の温泉に。デート代は折半。もし医療費が必要になったら、まずはそれぞれの貯蓄から。足りない場合は家族に相談する。そんな具体的な取り決めをしました。
息子さんにも、この計画を説明しました。「お母さんは、ちゃんと考えているんだな」息子さんも最終的には理解してくれました。
今、美智子さんは幸せそうです。「敏夫さんとの時間は、宝物です。若い頃は叶わなかった恋が、こうして実現するなんて。お金は少なくても、心は豊かです」
優しさとお金、どちらが大事かという問いに、簡単な答えはありません。でも、一つ言えることがあります。それは、お金があっても優しさがなければ幸せになれない、ということです。
高収入でも、暴言を吐く人、冷たい人、自分のことしか考えない人と一緒にいて、幸せでしょうか。きっと、心が疲れてしまうでしょう。
反対に、収入が少なくても、毎日優しい言葉をかけてくれる、体調を気遣ってくれる、一緒に笑い合える。そんな人と一緒にいる方が、心が満たされるのではないでしょうか。
もちろん、理想は「優しくて、経済的にも安定している人」かもしれません。でも、人生は理想通りにはいきません。完璧な人なんていないんです。
大切なのは、何を優先するか、です。そして、その選択に自信を持つことです。
もし、あなたが優しいけれど収入の少ない男性と出会ったら、こう考えてみてください。
お金は減ることがあります。病気や事故で収入が途絶えることもあります。でも、優しさは減りません。むしろ、困難な時こそ、相手の優しさが心の支えになります。
また、私たちの年代では、お金の使い道も若い頃とは違います。派手な生活をする必要もありません。美味しい食事、温かい家、信頼できるパートナー。それがあれば、十分幸せではないでしょうか。
工夫を楽しむ気持ちも大切です。高級レストランに行けなくても、家で一緒に料理を作る楽しみがあります。海外旅行に行けなくても、近所の公園で季節の花を楽しめます。お金をかけなくても、心豊かに過ごす方法はたくさんあるんです。
そして、何より大切なのは、お互いを尊重し、支え合う気持ちです。収入が少ない分、家事を多く担当する、健康に気をつける、感謝の言葉を忘れない。そうした小さな配慮が、関係を長続きさせます。
札幌に住む75歳の男性、清さんの話も素敵でした。清さんは年金が少なく、小さなアパートで質素に暮らしていました。でも、69歳の女性、千代さんと出会い、恋に落ちました。
清さんは千代さんに正直に話しました。「私は貧乏です。あなたに贅沢はさせてあげられません。でも、あなたを毎日大切にします。それしかできません」
千代さんは笑って答えました。「私も贅沢は必要ありません。あなたの優しさがあれば、それで十分です」
お二人は今、週に2回ほど会っています。清さんは千代さんのために、庭で採れた野菜を持っていきます。千代さんはそれで料理を作り、二人で食べます。お金はかかりませんが、心は満たされています。
「若い頃は、お金があれば幸せになれると思っていました。でも、違いました。大切なのは、誰と過ごすか、です。千代さんと一緒にいると、毎日が楽しい。それが幸せなんだと、今になって分かりました」清さんの言葉が、心に響きました。
人生の後半を迎えた私たちには、若い頃とは違った豊かさが見えてきます。お金では測れない価値があることを、身をもって知っています。
優しさ、思いやり、信頼、尊重。そうした目に見えないものこそが、本当の宝物なのかもしれません。
もし、あなたが今、優しいけれど収入の少ない男性との恋愛に悩んでいるなら、どうか自分の心に正直になってください。周りの意見も大切ですが、最後に決めるのはあなた自身です。