シニアからのはるめくせかい

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シニアの爪を噛む癖を持つ人の心理

ふとした瞬間に自分の手元を見て、無意識に爪をいじっている自分に気づいたことはありませんか。あるいは、大切な人との会話の最中に、知らず知らずのうちに爪を噛んでしまっていた経験はないでしょうか。

実は、このような小さな癖は、私たちシニア世代にとって、心の状態を映し出す大切なサインなのです。今日は、長年にわたって多くの方々の人生相談に携わってきた経験から、爪を噛む・いじる癖が持つ深い意味と、それが私たちの日常生活、特に人との関係にどのような影響を与えるのかについて、優しくお話しさせていただきます。

なぜ私たちは無意識に爪をいじってしまうのか

60代、70代になっても、ふとした時に爪をいじってしまう。そんな自分に気づいて、「この歳になってまだこんな癖が治らないなんて」と落ち込んでいる方もいらっしゃるかもしれません。でも、安心してください。この癖は決して恥ずかしいものではなく、むしろあなたの心が発している大切なメッセージなのです。

長い人生を歩んできた私たちシニア世代は、若い頃とは違った種類のストレスや不安を抱えています。健康への心配、家族との関係、経済的な不安、そして何より「これからの人生をどう過ごすべきか」という漠然とした焦り。こうした様々な感情が心の奥底に積み重なっているとき、私たちは無意識のうちに爪をいじることで、心のバランスを保とうとしているのです。

例えば、病院の待合室で診察を待っている時、子どもや孫との電話で少し緊張する瞬間、あるいは友人との会話の中でふと寂しさを感じた時など。そんな日常のちょっとした場面で、私たちは自分でも気づかないうちに爪をいじっているものです。

これは単なる悪い癖ではありません。長年生きてきた中で身につけた、自分自身を落ち着かせるための方法なのです。心理学的には「自己鎮静行動」と呼ばれ、赤ちゃんが指をしゃぶるのと同じように、私たちが不安を感じたときに自然と行ってしまう行動なのです。

シニア世代特有の心理的背景

若い頃と違って、私たちシニア世代が爪をいじる理由には、特有の心理的背景があります。

まず一つ目は、人生の節目における不安です。定年退職、配偶者との関係の変化、友人との別れなど、人生の後半戦には多くの変化が訪れます。こうした変化に対する漠然とした不安が、爪をいじるという行動に現れることがあります。

二つ目は、時間の過ごし方への戸惑いです。長年働いていた方が退職すると、突然時間を持て余すようになります。何をしていいかわからない、手持ち無沙汰な時間が増えることで、つい爪をいじってしまうのです。

三つ目は、完璧主義の名残です。若い頃、家族のため、仕事のために全力で頑張ってきた方ほど、今でも「しっかりしなければ」という思いが強く残っています。しかし、体力や記憶力の衰えを感じる中で、理想と現実のギャップに悩み、それが爪をいじる行動として表れることがあるのです。

ここで、少し面白いお話をさせていただきましょう。以前、75歳の男性から「ゲートボールの試合中、順番を待っている時に必ず爪をいじってしまう」という相談を受けたことがあります。よく話を聞いてみると、その方は若い頃、営業マンとして大事なプレゼンの前に爪を噛む癖があったそうです。

「まさか75歳になっても、あの頃の癖が出るとは思いませんでした」と苦笑いしながら話してくださいましたが、実はこれ、とても興味深い現象なのです。若い頃の緊張する場面で身につけた癖は、年を重ねても同じような「勝負の場面」で無意識に現れてくるものなのです。

その後、その方は試合前に深呼吸をする習慣をつけることで、爪をいじる頻度が減ったそうです。「おかげで試合にも集中できるようになりました」と嬉しそうに報告してくださったことを、今でも覚えています。

人との関係において、この癖が持つ意味

シニア世代にとって、人との繋がりは人生の宝です。しかし、爪を噛む・いじる癖は、時として大切な人間関係に微妙な影響を与えることがあります。

例えば、久しぶりに友人と会った時、無意識に爪をいじっている姿を見て、相手が「何か心配事でもあるの?」と気を使ってくれることがあります。本当は何でもないのに、相手に余計な心配をかけてしまうのは、少し申し訳ない気持ちになりますよね。

また、孫と一緒に過ごしている時に爪を噛んでいると、「おじいちゃん(おばあちゃん)、爪を噛んじゃだめだよ」と注意されることもあります。孫からの純粋な心配の言葉が、かえって自分を恥ずかしく感じさせてしまうこともあるでしょう。

しかし、見方を変えれば、この癖は人との距離を縮める機会にもなり得るのです。自分の弱さや人間らしさを見せることで、相手も心を開きやすくなることがあります。完璧な人間などいません。小さな癖を持っていることで、かえって親しみやすい印象を与えることもあるのです。

実際の体験から学ぶ、癖との向き合い方

ここで、実際に爪をいじる癖を持つシニア世代の方々の体験談をご紹介しましょう。

68歳の女性の話です。彼女は長年、地域の俳句サークルに参加していますが、自分の句を発表する時にいつも爪をいじってしまうことに悩んでいました。「みんなの前で発表するのが緊張して、つい爪をいじってしまうんです。恥ずかしくて仕方ありませんでした」

しかし、ある日、サークルの仲間から「緊張している姿も含めて、あなたらしくて素敵よ」と言われたことで、気持ちが楽になったそうです。「完璧に見せようとしなくていいんだと気づいたら、不思議と爪をいじる回数も減りました」と彼女は振り返ります。

今では、緊張を感じた時は「私、今緊張してます」と素直に伝えるようにしているそうです。そうすることで、周りの人も温かく見守ってくれるようになり、サークル活動がより楽しくなったと話してくれました。

また、72歳の男性の体験もご紹介しましょう。彼は定年後、妻と二人暮らしを始めましたが、長年の仕事のストレスから爪をいじる癖が抜けませんでした。妻から「ずっと爪をいじっているけれど、何か心配事があるの?」と聞かれた時、最初は「大丈夫だよ」とごまかしていたそうです。

しかし、妻の優しい問いかけを何度も受けるうちに、自分が退職後の生活に漠然とした不安を抱えていることに気づきました。「何もすることがなくて、自分が役に立たない人間になったような気がしていたんです」と、妻に正直な気持ちを打ち明けたそうです。

すると妻は「あなたは十分頑張ってきたんだから、もっと自分を大切にしていいのよ」と言ってくれました。その後、二人で散歩を始めたり、地域のボランティア活動に参加したりするようになり、爪をいじる頻度が自然と減っていったそうです。

「妻に自分の弱さを見せられたことが、かえって夫婦の絆を深めることになりました」と、彼は穏やかな表情で語ってくれました。

新しい人間関係を築く際の心構え

シニア世代の中には、趣味のサークルや習い事、あるいは地域のコミュニティ活動などで新しい人間関係を築いている方も多いでしょう。そうした場面で、爪をいじる癖が気になって自信が持てないという声もよく聞きます。

でも、考えてみてください。新しい環境で緊張するのは、何歳になっても自然なことです。むしろ、新しいことに挑戦しようとする前向きな姿勢の表れだと言えるでしょう。

爪をいじってしまう自分を責めるのではなく、「今、自分は新しいことに挑戦している最中なんだ」と前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。そして、もし誰かに気づかれたら、素直に「少し緊張しているんです」と伝えてみましょう。

その正直さが、かえって相手との距離を縮めるきっかけになることも多いのです。完璧を装うよりも、人間らしい弱さを見せることで、相手も心を開きやすくなるものです。

日常生活でできる対処法

爪をいじる癖を少しずつ減らしていきたいと思っている方のために、シニア世代に適した対処法をいくつかご紹介します。

まず、手を別のことで忙しくする方法です。例えば、人と会う時は温かいお茶を用意して、カップを両手で持つようにする。これだけでも、爪をいじる機会が減ります。また、編み物や折り紙など、手を使う趣味を持つことも効果的です。

次に、爪のお手入れを習慣にすることです。定期的に爪を綺麗に整え、ハンドクリームで手を保湿することで、自然と爪を大切にする意識が芽生えます。綺麗に整えた爪を見ると、「これを傷つけたくない」という気持ちが生まれ、爪をいじる頻度が減ることがあります。

また、ストレス解消の方法を見つけることも重要です。散歩、ガーデニング、カラオケ、友人とのおしゃべりなど、自分なりのストレス発散方法を持つことで、爪をいじって気を紛らわせる必要がなくなります。

そして何より大切なのは、自分を責めないことです。長年続いた癖を完全に直すのは難しいかもしれません。でも、少しずつ改善していけばいいのです。焦らず、ゆっくりと、自分のペースで向き合っていきましょう。