シニアからのはるめくせかい

年齢を重ねた今だからこそときめきはるめく!毎日が楽しくなるシニアのための悠々自適生活応援マガジンです

介護認定がなくても利用できる!知っておきたい高齢者支援サービス

こんにちは。今日は、「介護認定を受けていないけれど、少し生活に不安がある」「将来に備えて介護予防に取り組みたい」という高齢者やそのご家族に向けた情報をお届けします。

「介護のサービスって、要支援や要介護の認定がないと何も受けられないんじゃないの?」

こんな風に思っている方、実は多いのではないでしょうか。私の母も最近、階段の上り下りが少しつらくなってきたようですが、「まだ介護認定を受けるほどじゃない」と言って、何も対策をしていませんでした。

でも実は、介護認定がなくても利用できる支援サービスはたくさんあるんです。むしろ、認定が必要になる前の段階でこそ、適切なサービスを利用することが大切なのかもしれません。

今回は、介護認定なしで受けられるサービスについて、実際の声や具体例を交えながら詳しくご紹介します。ご自身やご家族の生活の質を高めるヒントになれば幸いです。

なぜ認定なしでもサービスがあるの?知っておきたい背景

「介護サービスって、認定がないと受けられないんじゃないの?」

こう思われる方は多いですが、実はそうではありません。この背景には「介護予防」という重要な考え方があるんです。

日本の高齢化は世界でも類を見ないスピードで進んでいます。私の住む地域でも、この10年で高齢者の数が1.5倍になりました。そんな中、かつての介護保険制度には大きな課題がありました。それは、一度要介護状態になると、その状態が維持されるか、むしろ悪化しやすいという点です。

「うちの母は軽い認知症と診断されて要介護1になったんだけど、その後すぐに要介護3になってしまったの。もっと早く対策していれば…」

こんな声をよく耳にします。こうした事態を防ぐため、国は「介護予防」に力を入れるようになりました。つまり、「介護が必要な状態になるのを未然に防ぐ」「たとえ要介護状態になっても、それ以上悪化させない」という考え方です。

介護認定なしで利用できるサービスの多くは、まさにこの介護予防や地域での支え合いを目的としています。元気なうちから適切なサービスを利用することが、健康寿命を延ばし、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるための鍵なのです。

「予防」という言葉、身近なところでいえば「虫歯予防」や「生活習慣病予防」のように、問題が起きる前に対策するのが一番効果的なのは、介護の世界でも同じなんですね。

まずはここに相談!地域包括支援センターの役割

介護認定を受けていない高齢者やそのご家族が、まず最初に相談すべき場所をご存知ですか?それは「地域包括支援センター」です。

「地域包括…なんて?初めて聞いた」という方もいらっしゃるかもしれませんね。実は私も母の相談をする際に初めて知りました。

地域包括支援センターとは、各市区町村に設置されている公的な相談窓口です。保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家が配置されていて、高齢者の生活や介護に関するあらゆる相談に対応してくれます。

「足腰が弱ってきたけど、どんなサービスが使えるのかな?」 「一人暮らしの父が心配。見守りサービスはないかな?」 「物忘れが増えてきた母。どこに相談すればいいの?」

こんな悩みを抱えた時、真っ先に相談できる場所なんです。

私の近所の地域包括支援センターは、昔からある小さな建物の中にありますが、いつも明るい雰囲気で迎えてくれます。センターの田中さん(仮名)は、「介護の専門家に相談するのは敷居が高いと思われがちですが、ちょっとした不安や心配事でも気軽に相談してほしい」と話していました。

どこにあるか分からない?大丈夫です。お住まいの市区町村の役所に問い合わせれば、最寄りのセンターを教えてもらえますよ。多くの場合、市区町村のホームページでも検索できます。

地域包括支援センターは、いわば「高齢者の総合相談所」。介護保険サービスだけでなく、介護予防事業、見守りサービス、配食サービスなど、地域のあらゆる支援情報を知っているプロフェッショナルがいます。困ったときはまず、ここに相談してみることをおすすめします。

介護認定なしで利用できる5つの公的サービス

次に、介護認定を受けていなくても利用できる主な公的サービスをご紹介します。ただし、これらのサービスは自治体によって内容や条件が異なるため、お住まいの地域の情報をチェックすることが大切です。

1. 介護予防事業・通いの場

「最近、階段の上り下りがつらくなってきた」 「物忘れが増えてきた気がする」

こんな不安を感じ始めたら、介護予防事業がおすすめです。体操教室や脳トレ、栄養改善教室など、様々なプログラムがあります。

68歳の佐藤さん(仮名)は、定年退職後に運動不足になり、ふくらはぎがつることが増えてきたそうです。「友人に誘われて、週1回の『いきいき体操教室』に通い始めたんです。最初は気が進まなかったけど、同年代の仲間ができて、体も少しずつ軽くなってきた気がします。何より、予定があると生活にリズムができるのがいいですね」と笑顔で話してくれました。

「通いの場」は、体操だけでなく、おしゃべりや趣味の活動など、気軽に参加できる場所です。地域のコミュニティセンターや公民館で開催されていることが多いので、ぜひ探してみてください。

2. 配食サービス

一人暮らしの高齢者にとって、毎日の食事作りは大変なこともあります。

「妻が亡くなってから、自分で料理するのがおっくうで、コンビニ弁当や冷凍食品ばかりになっていました」という75歳の山田さん(仮名)。息子さんが心配して、市の配食サービスを調べてくれたそうです。

「週3回、バランスの良い食事が届きます。値段も手頃だし、何より届けてくれる方が『お元気ですか?』と声をかけてくれるのが嬉しいんです」

配食サービスは、栄養バランスの取れた食事を自宅まで届けてくれるだけでなく、安否確認の役割も果たしています。市区町村が直接提供している場合と、民間事業者に委託している場合がありますが、公的なサービスでは利用料金が抑えられていることが多いです。

3. 移送サービス(外出支援)

「病院に行きたいけど、バスに乗るのが不安」 「スーパーが遠くて、重い荷物を持って歩けない」

こんな時に便利なのが、移送サービスです。病院への通院や買い物など、外出が困難な方を送迎してくれます。

近所の井上さん(仮名)は、足腰が弱り、バス停まで歩くのがつらくなったそうです。「でも、病院には定期的に行かないといけない。タクシーだと高いし…」と悩んでいたところ、市の外出支援サービスを知りました。「登録制で、病院の予約日に自宅まで迎えに来てくれて、帰りも送ってくれるんです。ボランティアの方が運転してくれるから、料金もリーズナブル。おかげで通院の心配がなくなりました」

自治体によっては、タクシーチケットの助成や、コミュニティバスの運行など、形態は様々です。外出の機会が減ると、心身の機能低下につながることもあるので、積極的に活用したいサービスですね。

4. 見守りサービス

「一人暮らしの母が心配で、毎日電話しているけど、留守だと不安になる…」

高齢者の見守りサービスは、一人暮らしの方やその家族の安心につながります。

定期的な電話や訪問による安否確認、緊急通報システムの設置など、地域によって様々な形態があります。民間サービスもありますが、自治体が提供する公的なサービスもあるのをご存知ですか?

83歳の鈴木さん(仮名)は、「ひとり暮らしだけど、市の見守りサービスに登録していると、週に1回、民生委員さんが訪問してくれるの。困ったことがないか聞いてくれるし、何かあれば連絡してくれるから、遠くに住む娘も安心してるみたい」と話します。

また、最近では ICT技術を活用した見守りサービスも増えてきています。センサーで動きを検知したり、電気やガスの使用状況から異変を感知したりするシステムもあります。

5. 日常生活のちょっとした手助け

「電球が切れたけど、脚立に上るのが怖い」 「庭の草取りが大変になってきた」

日常生活の中で、ちょっとした困りごとはありませんか?

自治体や社会福祉協議会では、電球の交換や簡単な修理、庭の手入れなど、高齢者自身では難しい作業を支援するサービスを提供していることがあります。多くの場合、シルバー人材センターや地域のボランティア団体と連携して運営されています。

私の叔父は、腰を悪くして以来、庭の手入れが難しくなりました。市の窓口に相談したところ、シルバー人材センターを紹介され、月に一度、手頃な料金で庭の草取りをしてもらっています。「同じくらいの年齢の方が来てくれるから、話も合うし、庭をきれいにしてもらえるのは本当にありがたい」と喜んでいました。

料金体系は地域によって異なりますが、公的なサービスとして提供されている場合は、一般の業者よりも安価に利用できることが多いです。

民間の介護関連サービス:選択肢の幅を広げる

公的サービスだけでなく、民間企業が提供するサービスも充実しています。介護認定がなくても利用できる主な民間サービスをご紹介します。

自費ヘルパー:自分のペースでサポートを受ける

「母はまだ要介護認定を受けるほどではないのですが、最近、水回りの掃除が大変そうで…」

こんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。介護保険サービスを利用するには要支援・要介護認定が必要ですが、認定がなくても利用できる「自費ヘルパー」という選択肢があります。

自費ヘルパーは、その名の通り全額自己負担となりますが、介護保険サービスよりも利用条件が柔軟です。掃除、洗濯、買い物、料理といった家事援助から、入浴介助や外出の付き添いなど、幅広いサービスを提供してくれます。

中村さん(仮名)は、80歳の母親のために週1回、自費ヘルパーを利用しているそうです。「母はまだ日常生活は自立していますが、背が低いので高いところの掃除や重い物の持ち運びが難しくなってきました。でも介護認定はないんです。そこで、民間のヘルパーサービスを調べてみたら、時間単位で頼めることが分かって。今は週に2時間だけ来てもらって、主に掃除や買い物の手伝いをしてもらっています。母も『プロに頼むと隅々まで綺麗になるからありがたい』と喜んでいます」

自費ヘルパーを選ぶ際のポイントは以下の通りです:

  • 会社の実績や評判を確認する
  • サービス内容と料金体系を比較する
  • 担当者との相性も重要なので、お試し利用ができるか確認する
  • 契約内容をしっかり確認し、不明点は質問する

民間の配食サービス:多様な選択肢から選ぶ

「父は糖尿病があるので、食事内容に気を付けないといけないんです。でも、私が毎日作るのは難しくて…」

配食サービスは公的なものもありますが、民間企業が提供するサービスも充実しています。特に、民間サービスの強みは、メニューの豊富さや、特定の食事制限にも対応できることです。

最近では、冷凍タイプの宅配食も人気です。1週間分をまとめて届けてもらい、電子レンジで温めるだけで食べられるので、毎日の配達が不要という利点もあります。

田中さん(仮名)は、遠方に住む父親のために、糖尿病に配慮した冷凍宅配食を利用しているそうです。「最初は『冷凍食品なんて…』と抵抗があったようですが、実際に食べてみると想像以上に美味しくて、今では『自分では作れないような料理が食べられて嬉しい』と言っています。カロリーや塩分も調整されているので、健康面でも安心です」

家事代行サービス:生活全般をサポート

自費ヘルパーが介護目的なのに対し、家事代行サービスは健康な方でも利用できる生活支援サービスです。掃除、洗濯、料理、買い物など、日常のあらゆる家事をプロがサポートしてくれます。

「退職してから、家事が億劫になっていました。特に料理は面倒で、どうしても簡単なものばかりになっていたんです」という70歳の吉田さん(仮名)。週に1回、2時間の家事代行サービスを利用し始めたところ、「部屋が片付き、冷蔵庫に作り置きのおかずがあると気持ちも明るくなります。お金はかかりますが、生活の質が上がったと思います」と話してくれました。

見守りサービス:遠方の家族も安心

「母は一人暮らしだけど、私は遠方に住んでいるので、毎日様子を見に行くことができなくて…」

こんな悩みを持つ方には、民間の見守りサービスがおすすめです。電力会社やガス会社、警備会社、携帯電話会社など、様々な企業が見守りサービスを提供しています。

定期的な電話確認、訪問サービス、緊急通報システム、センサーによる動作検知など、サービス内容は多岐にわたります。最近では、AIやIoT技術を活用した高度な見守りシステムも増えてきています。

加藤さん(仮名)は、200km離れた地方に住む母親のために、緊急通報システムを導入したそうです。「母がボタンを押すと、すぐに警備会社のスタッフが駆けつけてくれます。万が一の時だけでなく、定期的に電話での安否確認もしてくれるので、私も安心して暮らせています。母も『何かあっても一人じゃないと思うと心強い』と言っています」

買い物代行・移動スーパー:買い物の負担を軽減

「近所のスーパーが閉店してしまって、買い物に行くのが一苦労になりました」

買い物は日常生活に欠かせませんが、高齢になると重い荷物を持って歩くことが負担になります。そんな時に便利なのが、買い物代行サービスや移動スーパーです。

買い物代行サービスは、注文した商品を自宅まで届けてくれるサービスで、最近ではネットスーパーも充実しています。また、移動スーパーは、トラックなどで商品を積んで地域を巡回し、自宅近くで買い物ができるサービスです。

佐々木さん(仮名)のご近所では、週に2回、移動スーパーが来るそうです。「歩いて行ける距離にスーパーがなくなって困っていたんですが、この移動スーパーのおかげで新鮮な野菜や魚が買えるようになりました。なにより、同じ時間に近所の人たちが集まるので、井戸端会議の場にもなっていて楽しいですよ」とのこと。

利用者の声:サービスを活用して変わった暮らし

ここからは、実際に介護認定なしでサービスを利用している方々の声をご紹介します。サービスを活用して、どのように生活が変わったのでしょうか。

「一人で抱え込まずに相談してみる」

78歳の伊藤さん(仮名)は、膝の痛みに悩まされるようになり、外出が億劫になっていました。「このくらいのことで相談するのは申し訳ない…」と思っていたそうですが、娘さんの勧めで地域包括支援センターに行ってみることに。

「最初は遠慮していましたが、センターの方が親身に話を聞いてくれて、自宅でできる簡単な運動を教えてくれたり、地域の体操教室を紹介してくれたりしました。今では週に1回、体操教室に通っていて、同じような悩みを持つ仲間もできました。膝の痛みも少し和らいできたような気がします」

伊藤さんは、「困ったことは一人で抱え込まず、まずは相談してみることが大切」と話しています。確かに、一歩踏み出す勇気があれば、新しい可能性が開けるかもしれませんね。

「予防の大切さを実感」

65歳で定年退職した木村さん(仮名)は、「これからは趣味を楽しむ時間だ」と思っていたものの、実際には自宅でテレビを見て過ごすことが多くなったそうです。「そのうち足腰が弱って、階段の上り下りが大変になってきました。このままではいけないと思い、市の広報で見つけた『いきいき百歳体操』に参加してみることにしたんです」

今では週2回、地域の公民館で行われている体操に参加し、新しい友人もできたとのこと。「体を動かすようになって、気持ちも前向きになりました。何より、『予防』の大切さを実感しています。困ってからではなく、元気なうちから少しずつ取り組むことの重要性を多くの人に知ってほしいですね」

「家族の負担も軽減」

高齢の母親の介護を担当している中村さん(仮名)は、「母はまだ要介護認定を受けるほどではありませんが、一人での入浴が心配で…」と話します。地域包括支援センターに相談したところ、自費ヘルパーサービスと入浴補助具の紹介を受けたそうです。

「週に1回、ヘルパーさんに入浴の見守りをお願いしています。また、浴室に手すりを付けたり、すべり止めマットを敷いたりと、安全対策も教えてもらいました。母も安心して入浴できるようになり、私自身の負担も減りました。『介護認定がないから何もできない』わけではないんだと知って、本当に助かっています」

「新しいコミュニティとの出会い」

70歳の佐藤さん(仮名)は、長年住んでいた地域から息子夫婦の近くに引っ越してきました。「知り合いもいない新しい土地で、どうやって人間関係を作ればいいのか不安でした」と振り返ります。

市の広報で見つけた「ふれあいサロン」に参加してみたところ、同世代の方々と交流する機会が生まれ、今では週1回の楽しみになっているそうです。「手芸や将棋、時には料理を作ったり…。年を取ると新しい出会いが少なくなりがちですが、こういった場所があるのは本当にありがたいです。介護予防のためにも、人とのつながりは大切だと実感しています」

「技術の力も活用」

独り暮らしの父親を心配していた田村さん(仮名)は、最近、ICT技術を活用した見守りサービスを導入しました。センサーで父親の動きを検知し、普段と違う動きがあると田村さんのスマートフォンに通知が届くシステムです。

「以前は毎日電話をしていましたが、父も『毎日確認の電話をされるのは少し煩わしい』と言っていました。このシステムを導入してからは、お互いにストレスなく見守りができています。父も『息子に心配をかけずに済む』と安心しているようです。人の手だけでなく、技術の力も上手に活用することが大切だと思います」

サービス選びのポイント:失敗しないために

様々なサービスをご紹介してきましたが、ここでは実際にサービスを選ぶ際に注意したいポイントをお伝えします。

情報収集を怠らない

「周りに聞いたら『そんなサービスあるの?知らなかった』という声が多くて驚きました。もっと早く知っていれば…と思います」

これは、サービスを利用し始めた多くの方から聞かれる言葉です。介護や高齢者支援のサービスは、地域によって内容が大きく異なります。また、新しいサービスが始まったり、既存のサービスが変更されたりすることも少なくありません。

情報収集の方法としては:

  • 市区町村の広報やホームページをこまめにチェックする
  • 地域包括支援センターに定期的に問い合わせる
  • 地域の民生委員や町内会の情報を活用する
  • 同じような状況の方々と情報交換する

「困ったときだけでなく、元気なうちから情報を集めておくことが大切です。いざという時に慌てずに済みますから」と、民生委員として活動している高橋さん(仮名)は話します。

複数のサービスを比較検討する

「最初に見つけたサービスをすぐに契約してしまったけど、後から知った別のサービスの方が条件が良かった…」

特に民間サービスを選ぶ際は、複数の事業者を比較検討することが大切です。料金やサービス内容、対応エリア、スタッフの質など、様々な角度から比較してみましょう。

「自費ヘルパーを探す時は、3社ほど資料を取り寄せて比較しました。単に料金だけでなく、急な依頼にも対応してくれるか、スタッフの研修制度はどうなっているかなど、細かい点まで確認しました」と語るのは、母親のために自費ヘルパーを利用している山本さん(仮名)です。

無料の体験サービスや相談会を実施している事業者もあるので、積極的に活用してみるのも良いでしょう。

小さなことでも相談する勇気を持つ

「こんな小さなことで相談してもいいのかな…」と躊躇してしまうことはありませんか?

多くの方が、「まだ大丈夫」「人に迷惑をかけたくない」という思いから、サービス利用のタイミングを逃してしまいます。しかし、小さな困りごとが積み重なって大きな問題になる前に対処することが大切です。

「最初は『こんなことで相談するのは申し訳ない』と思っていました。でも、地域包括支援センターの方が『小さなことでも気軽に相談してください』と言ってくれたのがきっかけで、勇気を出して相談したんです。すると、自分が想像もしていなかったサービスを紹介してもらえて、生活がずいぶん楽になりました」と話すのは、一人暮らしの斎藤さん(仮名)です。

困りごとは人それぞれ。あなたにとっての「小さなこと」が、実は多くの人が抱える共通の課題かもしれません。遠慮せずに相談してみましょう。

自分に合ったサービスを選ぶ

「周りの評判が良かったサービスを選んだけど、自分には合わなかった…」

サービスは、どんなに評判が良くても、すべての人に合うわけではありません。あなた自身のニーズや生活スタイル、価値観に合ったサービスを選ぶことが大切です。

小林さん(仮名)は、「配食サービスを利用し始めたんですが、量が多すぎて食べきれず、もったいないと感じていました。でも、別のサービスに変えたら、小分けにして届けてくれるので、自分のペースで食べられるようになりました」と話します。

合わないと感じたら、我慢せずに別のサービスに変更する勇気も必要です。多くの事業者は、利用者の声を聞いて柔軟に対応してくれるものですよ。

将来を見据えたサービス選びを

「今は元気だから大丈夫と思っていたけど、突然の体調変化で慌てることになりました…」

現在のニーズだけでなく、将来的なニーズも考慮したサービス選びが重要です。例えば、現在は家事援助だけで十分かもしれませんが、将来的に身体介護が必要になる可能性も視野に入れておくと良いでしょう。

「最初は配食サービスだけを利用していましたが、ケガをしてから自費ヘルパーも必要になりました。同じ会社が両方のサービスを提供していたので、スムーズに利用を開始できました」という経験を持つ方もいます。

サービスを選ぶ際は、「今だけ」ではなく「これから」も見据えて検討することがポイントです。

まとめ:介護予防と早めの備えの大切さ

ここまで、介護認定なしで利用できる様々なサービスについてご紹介してきました。最後に、改めて大切なポイントをまとめてみましょう。

「困った時が来てから慌てるより、今から少しずつ備えておく」

これが、多くの方の体験から見えてきた重要なメッセージだと思います。介護の世界では、「予防」という考え方が非常に大切です。身体機能が低下してから対策するのではなく、元気なうちから適切なサービスを利用することで、健康寿命を延ばし、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができます。

介護認定がなくても利用できるサービスは、単なる「お世話」ではなく、あなたの自立した生活をサポートするためのものです。「まだ大丈夫」と思っていても、例えば体操教室に参加することで筋力低下を防いだり、配食サービスを利用することで栄養バランスを整えたりと、将来の介護リスクを減らすことにつながります。

また、サービスを利用することは、決して「弱い」ことではありません。むしろ、自分の状態を客観的に把握し、必要なサポートを上手に活用する「賢さ」と言えるでしょう。

「最初は人の手を借りることに抵抗がありました。でも、少しだけサポートを受けることで、逆に自分でできることが増えたんです。今では、必要な時に必要なサービスを使うことが、自立した生活を続けるコツだと思っています」

この言葉は、様々なサービスを上手に活用している83歳の方からお聞きしたものです。

地域には、あなたの生活をサポートするたくさんの資源があります。地域包括支援センター、自治体の窓口、民間のサービス事業者…。一人で悩まず、まずは相談してみることから始めてみませんか?

最後に、私たちが忘れがちな大切なことをお伝えします。それは、「つながり」の重要性です。人とのつながりは、心身の健康に大きな影響を与えます。地域のサロンや体操教室などに参加することで、新たな出会いや交流が生まれ、生活に張りが出てくることもあります。

「家に閉じこもりがちだった母が、地域の体操教室に通い始めてから、表情が明るくなり、話題も増えました。『来週の体操が楽しみ』と言うようになったんです」

これは、母親のことを心配していた娘さんの言葉です。

介護予防と早めの備え。そして人とのつながり。この二つが、これからの豊かな人生を支える大きな柱になるのではないでしょうか。

あなたやあなたの大切な人が、いつまでも健やかに、自分らしく暮らせることを心から願っています。